アフリカからアメリカに難民としてやってきたアフリカ人青年に待ち受ける貧困と困難を描いた移民ドラマ。ちょっといい人アピールがすぎる部分が玉にキズです。50点満点(100点満点)
グッド・ライのあらすじ
カンザスシティーの職業紹介所勤務のキャリー(リース・ウィザースプーン)は、スーダンの内戦で両親を亡くしたマメール(アーノルド・オーチェン)らを空港で出迎える。
これまで抜かりなく仕事をこなしてきた彼女の任務は、難民の彼らに勤め先を見つけることだった。だが、電話など見たこともなく、マクドナルドも知らない彼らの就職は困難を極める。
シネマトゥディより
グッド・ライの感想
「ぼくたちのムッシュ・ラザール」のフィリップ・ファラルドー監督による人間ドラマ。スーダンの過酷な戦場から歩いて国境を越えて難民キャンプまでたどり着いた子供たちが青年になってアメリカに亡命する、そこそこ感動するストーリー。
物語は序盤はサバイバル風で、登場人物たちがアメリカに移民する中盤から終盤にかけては人間ドラマになっていきます。アフリカのシーンは景色も綺麗で、戦闘シーンや難民キャンプまでの道のりはスリリングで悪くはないです。
一方で彼らの話す言語は分かりませんが、アフリカの子供たちの演技やセリフの言い回しが棒読みなのは一目瞭然で、演技もかなり微妙でした。
子供たちが青年に成長してからのシーンでは俳優たちが大人の俳優に入れ替わり、割とまともな演技になりますが、今度は肝心なストーリーが嘘っぽくなります。
特に気になったのはアメリカ人の描写の仕方ですね。とにかくみんないい人。職業紹介所で働くキャリーは口は悪くて、ガサツだけど、心は優しいという演出で、地元の男たちに片っ端から手を出してるかのようなだらしなさがあり、家も散らかし放題でなにもかもに無頓着。
それなのにスーダン人たちには親身になって接するというチグハグなキャラでした。スーダン人の前にボーイフレンドたちを大切にしろよって言いたくなります。
結局のところ優しい人しか出てこなかったような印象です。もっと難民移民の人たちに対する差別や彼らが抱える悩み、問題を深く追っていけたらよかったんですが、スーダン人の家族愛とアメリカ人の慈悲を薄く表現したにすぎませんでした。
アメリカの象徴としてなのか、あるいはスポンサーなのか劇中にナイキやマクドナルドがチラホラ登場します。
難民キャンプにいる青年に「Just Do It(とにかくやってみろ)」っていうTシャツ着せてるのがちょっと笑えましたね。あれは趣味の悪いアメリカンジョークなんでしょうか。頑張りたくてもどうしようもないから難民キャンプにいるのにねえ。
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