ジュリアン・ムーアが主演を務め、アカデミー賞主演女優賞に輝いた作品。若年性アルツハイマーに襲われた大学教授の苦悩と家族との関係を描いた闘病もので、そこそこ普通の感動はあるものの平凡な物語です。48点(100点満点)
アリスのままでのあらすじ
50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、大学での講義中に言葉が思い出せなくなったり、ジョギング中に家に戻るルートがわからなくなるなどの異変に戸惑う。
やがて若年性アルツハイマー病と診断された彼女は、家族からサポートを受けるも徐々に記憶が薄れていく。ある日、アリスはパソコンに保存されていたビデオメッセージを発見し……。
シネマトゥディより
アリスのままでの感想
リチャード・グラツァーとワッシュ・ウェストモアランドが共同監督した闘病ドラマ。
日本映画の「明日の記憶 」を連想させる若年性アルツハイマーを扱った映画で特に新しい発見はありませんでした。
闘病ものといえば「私の中のあなた」や「ブレス しあわせの呼吸」など色々あるけれど、どうしてもテーマ自体が重く、悲しいためについつい涙を流してしまうことがあるはずです。
とはいえその映画がとびきりいい映画かというちょっと話が違ってきます。感動=いい映画、という式を取っ払わないと冷静に映画の良し悪しを判断できなくなるのです。
この映画は一見、「事実を元にした映画」のような雰囲気で持っていますが、基になっているのは同名のフィクション小説だそうです。
生涯学問に全てを捧げてきた大学教授のアリスは記憶を失くしていき、自分のしてきたことが水の泡になるといった嫌悪感に陥ります。
単語がどんどん出てこなくなり、そのうち人の顔も認識できなくなってくる。なんとか記憶の喪失に立ち向かおうとして運動やクロスワードに励んだり、スマホに予定や計画を保存したりしていくものの、病はそれ以上に猛スピードで進行していきます。
やがて自分の家のトイレの場所が分からず洩らしてしまったり、自分の娘の顔も分からなくなったり、言葉もほとんど発せられなくなっていく、というのが筋書きです。
主人公を始め、家族や周囲の人たちが美化されまくっているため、この手の映画は観賞中は、「本人も大変だけれど、家族も大変だなあ」といった感想しか出てこないのが退屈ですね。
アルツハイマーという病をめぐって本人や家族のエゴや損得勘定をむき出しにしていけばリアリティーが出るのに、闘病映画となると登場人物をみんな優しい人という前提で描写するのがありきたりで嫌ですね。
娘たちが母親の面倒を見るのが嫌だから、何かと言い訳をして遠くに引っ越したり、若年性アルツハイマー(家族性アルツハイマー)は遺伝によるものが強いといって子供たちが母親を責め立てる、という設定だったらよかったかもしれません。
「お母さんのせいで、私までボケるじゃない」とか言う強烈な娘が一人ぐらい出てきても面白いと思います。そうすることで家族愛と自己愛の狭間で起こる葛藤、自己嫌悪などが浮かび上がっていいんだけどなあ。あるいはアルツハイマーを抱えた人が浮気をしたら、それは浮気になるのかどうかというのも追求してもらいたいです。
果たして「彼のことてっきり旦那だと思ってた」などという言い訳は通じるのかどうか。 それを知った旦那は許せるのかどうか、といった心理戦があってもいいのにねえ。
コメント
この作品も味方によっては感動ポルノに思えるなと。
そんな風に思う私は歪んでますね。素直になれないだけ⁉
あくまでも一意見として
クソ邦画に比べたらましですが、あの出来は残念かなあ。
闘病ものはどうしても感動ポルノになるリスクはありますね