ラルフ・ジマン監督による18禁アニメを基にしたくせに色気の欠片もないアクション映画。8点(100点満点)
カイト/KITEのあらすじ
少女たちを性の奴隷として取引することが横行する近未来、幼少時代に両親を殺されたサワ(インディア・アイズリー)は、父の親友だった刑事アカイ(サミュエル・L・ジャクソン)に殺し屋としてノウハウをたたき込まれる。娼婦(しょうふ)に成り済まし、両親の敵である人身売買組織にリベンジを果たすべく男たちを暗殺していくサワと、犯行現場の証拠を隠滅するアカイ。心身共に傷つきながらも、彼女は標的である組織のボスに近づいていくが……。
シネマトゥディより
カイト/KITEの感想
梅津泰臣の18禁アニメ「A KITE」の実写版。美少女が大男たちを相手に素手や武器で戦っていくだけのバイオレンスアクションで、肝心のアクションのレベルがひどすぎて話にならない一本。
yahoo映画の解説が面白いので紹介します。
過激な描写のみならず斬新な設定で、クエンティン・タランティーノ、ロブ・コーエンなどハリウッドの映画人たちをも魅了した梅津泰臣によるアニメを実写映画化。
「クエンティン・タランティーノも魅了した」という部分がポイントですね。作品を紹介するときに「誰々が絶賛した」などと謳っているもので、ろくなものはありません。
ましてやカルト映画やB級映画ファンのクエンティン・タランティーノがいいと言っている映画なんて一般の視聴者に受けるわけがなく、とにかく有名だからクエンティン・タランティーノの名前を出しておけばいいだろう、といった安易な宣伝方法が見てますね。もうこれでいいなら誰でもいいじゃんという気がしますね。
「安倍総理大臣も爆笑したコメディー」とかでもいいし、「あのイチローが興奮した映画」とかでもいいですね。
この手の解説を読んでいると、映画を見る前にもだいたいそのレベルが分かるようになってきます。ああ、他に褒める方法がなかったんだろうな、と。
さて、肝心なストーリーですが、美少女の殺し屋サワがほぼ一人で凶悪な闇組織と立ち向かい、両親を殺した人物を探し周り、仇を取るといった単純な復讐劇です。
一般向けに製作しているためか 「少女たちを性の奴隷として取引することが横行する近未来」という設定のわりにはいかがわしさもなく、18禁アニメを基にしているわりには色気もなく、バイオレンスなアクションだけを売りにしています。
そのくせ肝心なアクションのレベルがひどく、おそらくアクションどころかスポーツもろくにしたことのないような運動神経の鈍い子供たちが動きまわっているだけの代物です。
特に主人公の女の子はビジュアルだけで選ばれたのか、足も遅いし、動きの鈍さが半端ないです。あれで腕利きの殺し屋とか言われてもって感じです。
映像や世界観もひどいですね。腐敗した近未来や世紀末の雰囲気を出すのにダメな監督が決まってやることは「マッドマックス 」の世界をそのままパクることです。
壁は落書きだらけ、道は焚き火だらけ、悪者はタトゥーと傷だらけみたいな。まずそこから抜け出せない限り、二番煎じの作品になるのことは避けられないでしょうね。
ときどきこの映画のように少女を殺し屋やスパイに仕立てる映画ってありますが、あれってロリコン向けに作っているんでしょうかね。
華奢で小さな女の子にアクションをやらせる大人たちの意図するところがよく分かりません。少女に蹴られて吹っ飛ぶ大男たちを見て、誰が興奮するんでしょうか。
それとも「俺も蹴られてぇぇ」とか思っている男がいるんでしょうか。そのうち秋葉原辺りで、女子高生が思い切り蹴ってくれるサービスとかでてきそうで怖いです。
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