探偵の主人公が色々な人に会いに行き、くどいナンセンスな会話を繰り広げるだけの駄作。一応アカデミー賞の脚本賞にノミネートしていますが、見事に落選しています。12点(100点満点)
インヒアレント・ヴァイスのあらすじ
1970年代初頭のロサンゼルス。ビーチを拠点に活動するマリファナ中毒のヒッピー探偵ドック(ホアキン・フェニックス)を、以前付き合っていた女性が訪ねてくる。彼女の依頼を受け調査を進めるドックだったが、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていき……。
シネマトゥディより
インヒアレント・ヴァイスのキャスト
- ホアキン・フェニックス
- ジョシュ・ブローリン
- オーウェン・ウィルソン
- キャサリン・ウォーターストン
- リース・ウィザースプーン
- ベニチオ・デル・トロ
- ジェナ・マローン
インヒアレント・ヴァイスの感想
「ザ・マスター」、「パンチドランク・ラブ」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「マグノリア」、「ブギーナイツ」などでお馴染みのポール・トーマス・アンダーソン監督の探偵ドラマ。
探偵小説の映画化らしく、小説のごとく探偵のドクは謎を解くために手当たりしだい、重要人物をあたっていきます。
視聴者はたらいまわしにされる主人公をずっと追っていくというだけで、その中にミステリーもサスペンスも見出せないはずです。唯一の見せ所は登場人物の下ネタのユーモアとドラッグでヘロヘロしている人たちの馬鹿馬鹿しさぐらいでしょうか。
ナンセンスな映画でも面白ければいいんです。意味不明な会話でも笑えたら拍手ものです。
ただこの映画は面白くもないし、笑えもしない。ただただくどいだけの物語です。この手の映画を僕は「キメ映画」と呼んでいます。
「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」が自慰するためのオナニー映画だとしたら、この映画はドラッグでキメて見る「キメ映画」です。
麻薬でラリッてる人にはこういうナンセンスな内容の映画が爆笑できるらしく、登場人物が滑稽であればあるほどツボにはまるようです。
その一方で素面の人が見てもなんの面白味もなければ、ナンセンスな部分にこそ価値を見出しているような演出にイライラさせられるはずです。
特にマリファナでトロんとしているホアキン・フェニックス扮するドックの口調や間の取り方なんて耐えられないと思います。
欧米にはこの手のキメ映画が結構あるんですが、日本ではメジャーな映画の中ではあまり見かけませんね。
マイナーな作品の中で強いて挙げるなら短編集の「Grasshoppa! 」が僕はそうだと思っています。
昔、日本人の女の子でこのシリーズが大好きだっていう子がいたんですが、あの子も相当なキメキメ女でした。
こういう映画に嫌悪感を抱く人は正義感を最大限に発揮して、映画館で意味不明なシーンで大笑いしている人がいたら警察に突き出したら面白いかもしれません。
「容疑者、ホアキン・フェニックス」を見てもそうだけど、ホアキン・フェニックスがコメディーに向いていないのはもう分かりきってるのに、よりによってなんで彼を起用するんでしょうか。
コメディー俳優という枠があるように、やはりコメディーは誰にでもできるジャンルじゃないというのが分かりますね。寒いなんてもんじゃないです。
ただ、ホアキン・フェニックス以上に寒かったのが70年代を舞台にした風景や登場人物をスタイリッシュに見せようとしている演出です。
フィルムの色をセピアにして、服装をヒッピーぽっくして、マリファナを吸わせたら70年代って。コマやメンコで遊んでる日本の少年を使って「昭和」を描くのと同じぐらいしょぼいアイデアですね。
コメント