ダミアン・ジフロン監督によるアルゼンチンのドタバタコメディー。日本人でこれを見て笑える人はあんまりいないでしょう。37点(100点満点)
人生スイッチのあらすじ
1、飛行機の中で音楽批評家のサルガードが隣の席に座っていた女性に話しかけると、偶然にも共通の知り合いがいることに気づく。
その知人の名前はパステルナーク。二人が彼の思い出話をしていると、次々とほかの乗客まで彼を知っていると言い出す。やがてキャビンアテンダントがその飛行機のパイロットがパステルナークであることを明かす。実は乗客たちはみなパルテルナーク自身が集めた復讐の相手だった。
2、ある日の夜、高速道路沿いにある寂れたレストランに企業家であり、政治家の男がやってくる。
ウエイトレスは男を見ると、昔自分の家族と問題を起こし、父親を自殺に追い込んだ張本人であることを思い出す。それを聞いたキッチンで働く同僚は食べ物にねずみ殺しを入れることを提案する。
3、ディエゴはある日、自慢のアウディでサルタ州の高速道路を滑走していた。ディエゴは前方にオンボロの車がノロノロと走っているところに遭遇。なかなか道を譲らないことにイライラした彼は相手の運転手を罵り、オンボロの車を追い抜く。
ところが車がパンクし、罵った相手に追いつかれてしまい、ディエゴは思わぬ喧嘩に巻き込まれてしまう。
4、シモンは爆発物を扱うエンジニアでダイナマイトを使ったビルの解体などに携わっていた。ある日、彼は不当な理由で路上に止めていた車をレッカー移動されてしまう。
警察に抗議しても相手はまったく聞き耳を持ってくれず、トラブルを起こして会社を首になってしまう。そんな彼は爆発物を使って警察に復讐を試みる。
5、裕福な家庭に育ったサンティアゴはある晩、妊婦をひき殺してしまい、事故現場から逃げて帰宅する。
息子が大事故を起こしたことを知ると両親は、お手伝いの男に大金を払う代わりに罪をかぶってもらうことを計画する。
6、ロミーナはアリエルと幸せな結婚式を迎えるはずだった。ところがあろうことかアリエルが自分の浮気相手を結婚式に招待し、ロミーナはそれに気づいてしまう。
ロミーナは大泣きし、発狂し、ヤケクソになり、屋上でコックと性交に及んでしまう。それからロミーナは結婚式でできる限りの復讐を試みる。
人生スイッチの感想
アカデミー賞外国語部門にノミネートしたアルゼンチン発ブラックコメディー。6つの復讐をテーマにしたショートストーリーから成るオムニバス映画で、ラテン系のノリだけで突っ走る、クオリティーの低い映画。
笑いのレベルで言ったら、おそらく日本人にはコメディーであるかどうかも伝わらないぐらいの代物です。
ラテン系の典型的な笑いというのは、登場人物の誰かが、罵る、あるいは罵られて笑う、浮気がばれて笑う、頭をぶつけて笑う、殴られて笑う、という程度のものばかりで会話の掛け合いから生まれる計算された笑いや知性を感じさせる笑いではありません。
これで大笑いできる日本人はラテン系の国に永住できる資質があるといえるでしょう。
ちょっと笑えるのは結婚式のストーリーぐらいでしょうか。それにしてもフフフ、程度のものです。
コメディー映画は映画館で見ると、ほかの視聴者と一体感が生まれて余計に面白く感じるという効果が期待できます。
しかしつまらないコメディーをつまらない箇所で笑う人たちと見てしまうと、余計に冷めてしまうという負の相乗効果もあるので注意が必要です。
僕が映画館で座った席の隣には笑い上戸のおっさんが座っていて、こいつがオチでもなんでもないところでもとりあえず大声で笑うもんだから、僕にとっては最悪の2時間となりました。
映画館のマナーで思い出したんですが、僕の住むブラジルでは上映時間に遅れて入ってくる馬鹿たちが結構いて、それだけならまだしも、遅れてきたくせに「私たち3人なんで一つずつ詰めてもらえますか」とか言って、すでに座っている人たちを全員立たせて横にずらす、という荒業をやってのける気狂いも多く存在します。
そして観察しているとそういう人たちに限ってこの手の映画で腹をかかえて馬鹿笑いしているので、ラテンの笑いと無神経な人間には何かしらの共通点があるように思えてなりません。
僕にとってはアカデミー賞の外国語部門というのは特に注目している部門なので、数少ない枠の中にこんな映画に割り込んで来られると、「私たち3人なんで一つずつ詰めてもらえますか」と言われるぐらい腹が立ちます。
コメント
はじめてブログを拝見いたしました。本日「人生スイッチ」観てまいりましたが、個別には好きなエピソードもあったのですが、全体とすると評価は僕も30点くらいでしょうか。実は上映間もなく一番目のエピソードのあたりで、ある女性が遅れて入場してきて僕の席の前をウロウロ。「私の席がない、間違えてませんか?」と。そんなやりとりをしてるうちにいつの間にか飛行機が墜落の場面へ…なんでそうなったかはココで知りました。結局隣の席に落ち着いた彼女は、映画男さんの言うとおり、「そこじゃない」ところでクスクスケラケラとひとり楽しそう。爆破シーンではキャア!なんて言って飛び上がったりして..ホントまいったなぁ。そのうちに主人公たちの感情と僕のモヤモヤ感が完全にリンクしてしまい、まるで自分が7番目のエピソードの主人公じゃないか!って思ったらなんだか笑えてきて。いろんな意味で忘れられない作品となりました。このブログを見て救われた思いです。おかげさまで楽しい思い出に変わりました。今後も楽しみにしております。
TAQiさん
コメントありがとうございます。TAQiさんは日本でこの映画を観賞したんでしょうか? もしそうだとしたら日本でも上映時間に遅れてくる人なんているんですね。本当に映画館って変な人がいたら、せっかくの作品が台無しになってしまいますよね。
この作品は東京都内で観ました。日本人は真面目すぎるのかもしれませんが、まぁこういうことも含めて映画館ならではの体験ですね。今回の「人生スイッチ」は何かと記憶に残る「体験」となりました。
日本でもそんなことがあるんですね。途中から入ってきたんなら、おとなしく空いてる席に座ればいいんですけどね。