「レヴェナント:蘇えりし者」、「バベル」、「アモーレス・ペロス」、「BIUTIFUL」などでお馴染みのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督によるブロードウェイの舞台裏をコメディータッチで綴ったスピーディーなドラマ。
ノンストップのカメラワークが斬新なものの、肝心なストーリーがいまいちの失敗作です。28点(100点満点)
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡のあらすじ
かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡(ふうび)した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみ、リーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め……。
シネマトゥディより
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡の感想
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は好きな監督の一人ですが、この作品はつまらなかったです。そもそもコメディー向きじゃない監督がコメディーなんかに手を出すとかなり寒いことになるのは当然の結果ですね。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督といったら群像劇の人間ドロドロドラマをやっていればいいのにどうしてこんなものに手を出したのか信じられません。新境地を開拓したかったのでしょうが、新しい世界での生みの苦しみを感じる映画でした。
見所はワンカットで撮ったかのような撮影手法でしょう。カメラはブロードウェイの舞台裏にいる俳優たちをランダムに追い、控え室、更衣室、屋上、バーなどいたるところに彼らの後を追いかけるようにして付いていきます。
それがまた「どうだこのカメラワークすごいだろ」的なしつこさがあって、「分かった分かったからもういいよ」って言いたくなりました。
あれをエキサイティングと思えるかどうかで評価が左右するはずです。僕にとっては忙しくて、慌しい、「監督、無理してるなあ」と思わせるだけの演出でした。
よかったシーンはマイケル・キートンがパンツ一丁でマンハッタンを歩くシーンだけです。あれには感動しました。でもそれだけです。
カメラワークに合わせるために脚本を書いたようなところがあって、必然的に会話も早口になっていましたね。短い時間でオチをつけようとするために脈略のないエピソードが連発します。
マイケル・キートンやナオミ・ワッツの演技は悪くないのに彼らにほとんど見せ場を作ってあげていないんですよね。
登場人物たちは短い持ち時間でいきなりキスをしたり、口論をしたり、喧嘩をしたり、泣いたり、わめいたりして、とにかく終始せかせかしているのが可哀相でした。
さらにそこに「超能力(幻想?)」といったシュールなスパイスを注入しているため、もうなんのことやら分かりません。
ラストのオチなんてまるでコーエン兄弟の映画のオチのようで、「さてはアレハンドロ、パクったな」と言いたくなりました。
コメント
ポールトーマスアンダーソンのインヒアレントヴァイスといい
この監督といい群衆劇が得意な監督がコメディに挑戦すると大体コケますね
確かにそれありますね。そもそもコメディ監督じゃないと難しいですよね、笑いは。