ブラッド・ピット主演の戦車を使った地上戦をテーマにした戦争ドラマ。戦車の戦闘シーンが迫力満点で、今までの戦争映画とは一味違った臨場感があり、娯楽映画として十分に楽しめました。68点(100点満点)
フューリーのあらすじ
1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カ リスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、 ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。
シネマトゥディより
フューリーの感想
「スーサイド・スクワッド」、「エンド・オブ・ウォッチ」などで知られるデヴィッド・エアー監督による戦争映画。
実話のような描き方がされていますが、本や資料や戦士たちの様々なエピソードをかき集めて、独自に創り上げたフィクションだそうです。ちなみに「Fury」は連合軍の戦車の名前で、英語で「激しい怒り」を意味します。
まあ、いかにもハリウッド映画風に描かれているので、これをまさか実話と思い込む人はいませんよね。アメリカにはいるかもしれませんが。
さて、デヴィッド・エアー監督がどんなふうに戦士たちを描いたかといえば、お決まりのハリウッド式「英雄」として描いています。特にブラッド・ピットの描き方に注目してください。
ブラッド・ピットが主演となると、もう監督の起用方法といったら、ほとんどが「格好いい男」としてしか描きません。ましてや戦争映画など敵をやっつける映画となればなお更のことで、ほかの映画ですでに登場しているキャラとかぶるのはもはや避けられません。
ブラッド・ピット演じる戦車の車長ウォーダディーのキャラが確立されるのは、連合軍が小さな町を制圧し、ドイツ人の女性2人を捕虜にしたときのシーンです。家の中で隠れていた女性2人を銃で脅し、ブラッド・ピットことウォーダディーが部下にドアを閉めるように命じます。
女性たちはこれからレイプされるのかと思っては恐怖に怯え、それがスクリーンを通じて視聴者にも伝わります。しかしウォーダディーはレイプはせず、鞄から卵を取り出し、女たちに料理を作らせるというオチが待っています。さらに、部下に若い女の子をあてがい、意気投合した二人にベッドルームで優雅な時間を過ごすようにと粋な計らいまでするのです。
あれは合コンでいい女がいたけど、友達が気に入ってたので譲ってあげた、などというレベルではありません。明日死ぬかも分からない地獄の中で自分に対してまんざらでもない天使を見つけたのにモラルと男気を優先したのです。
極めつけは、わざとらしくそのシーンの流れで上半身裸になり披露した肉体美。背中には大火傷の跡。監督さん、それじゃあ格好良すぎるじゃありませんか。もっとブラッド・ピットをゲスにしたほうがインパクトがあるのになぜしないの?
あのシーンを境にブラッド・ピットの格好良さは最後までとうとう歯止めがきかなくなります。勇敢で、部下思いで、何百人の敵にも一人で立ち向かっていく戦士。ナチス軍に果敢に挑むアメリカ人。ドイツ人がこの映画を見たら一体どんな気持ちになるのか聞いてみたいです。
おそらくアメリカ人とは正反対の意見になるんじゃないでしょうか。迫力ある面白い映画なだけに、アメリカ的な人物描写が残念でした。
コメント
ブラッド・ピットがカッコよすぎる、という見方はたしかにできると思いますが、男性の視点かなあ、と思いました。
私は女性ですが、冒頭から胸を締め付ける切なさに襲われ、その理由をさがしながら見ました。答えは、ブラッド・ピットの「悲惨さ」。戦場で壊れてしまった人間の悲惨さに涙がこみあげました。戦争の大義名分などどこにもなく、殺す理由は「殺さなければ殺されるから」。恐怖と憎悪が服を着て銃を構えている人間の凄惨さに胸が詰まりました。
戦車戦も仲間の絆も、「人殺し機械と化した人間の凄惨さ」の前にはかすんでしまっていました。
ラストシーン、「英雄だ」という友軍の呼びかけに、「クソくらえ」というブラピの声が聞こえたような気がしました。
「ヒドい映画」でした、よい意味で。
戦車戦映画とか、たった5人で戦った英雄映画、という見方の方が一般的だとは思いますし、そのように宣伝もしていますが、
私は「ヒドイ映画」と思っています。もう一度みたいのですが、あまりの凄惨さにちょっとためらっています。ウツになる映画です。
meiさん
コメントありがとうございます。僕的にはアクションに力を入れてるなあ、と感じただけで特に残虐な映画には思えませんでした。戦争の悲惨さより、戦車で戦う男たちのかっこよさばかりが光っていたような印象でした。人によってずいぶん印象が違うんですね。
まさにブラピ演じる戦車の車長は歴戦の戦いの猛者って感じがしますね!
今までの戦争映画のスタイルとは違い、戦車と戦車に乗り込む乗組員たちを通して、戦争を描いており思わず見入ってしまいました。
個人的な戦争映画の中でもトップ3に入るくらいオススメです!
コメントありがとうございます。
確かに今までの戦争映画とはスタイルが違いますね。戦闘シーンは迫力がありました。
この映画にでてくるドイツ戦車はフェイクでなく本物です。装甲車も本物や改造してsdkfz251Dにしたのが搭乗のします。できればタイガー戦車がアフリカ戦線で捕獲したものなので初期型なのが残念です。CGで後期型にするか、いっそのことタイガー2型のCG版をDVDで出してくれたら良いのにな。
確かに戦闘シーンや終盤のシーンもスリルと迫力がありましたね。
しかし、ブラピw
まあ、絶対にブラピはレイプなんてしないだろうなとは思いましたが。
もしかして同性愛者なのかもとすら思いました。
何年経ってもどんな作品でもいつも同じようなキャラで本人は嫌じゃないんでしょうかね。
ブラピは男前の役ばかりで残念です。昔は悪役とかやってたときもあったんですけどね