ディズニーとは大違いの大人向けの世にも恐ろしい美女と野獣。ちっとも優しくないです。51点(100点満点)
フランス映画美女と野獣のあらすじ
バラを盗んだ代償に命をささげるよう言われた父親の代わりに、若く美しい娘ベル(レア・セドゥ)が野獣(ヴァンサン・カッセル)の住む城に連れていかれてしまう。
彼女は命さえ投げ出す覚悟で城に出向いたものの、毎晩同じ時間に野獣と夕食を取る以外何の制約も受けなかった。自由に城内を移動する彼女は、恐ろ しい外見の野獣の意外な過去に気付く。
シネマトゥディより
フランス映画美女と野獣の感想
「美女と野獣」の実写版映画。ディズニー映画を実写化したのかと思いきや、原作のほうを基にしたみたいで、子供が楽しめる要素が少ない大人向けのダークファンタジー。
この映画を見たら、ディズニーがどれだけすごいのかを思い知りました。ディズニー映画の原作となった小説の中には結構えぐいストーリーがあったりするそうです。
オリジナルのストーリーではピノキオは人殺しで、眠れる森の美女のお姫様は乱暴され、リトル・マーメイドの人魚は自殺する、という説があります。
そういった話をちゃんと子供から大人までもが見れる映画に変え、ポジティブなエンディングに仕上げるディズニーの手法はさすがですね。
そして今では原作より、むしろディズニー映画のストーリーのほうがあたかもオリジナルのような認識をされているような気配すらあって、原作者からしたらどんな気持ちになるのかなあ、なんてことを考えたりもします。完全にもってかれてるわけだからね、原作も大昔のだから著作権も切れてて全部タダ。ああ、恐ろしい。
僕だけじゃなく、どうしても視聴者はこの映画とディズニー映画の「美女と野獣」を比較してしまうはずです。ヒロインのベルに兄弟がたくさんいたり、王子様が野獣にされる原因が違ってたり、細かい設定に相違点があることに対してディズニーファンは抵抗を覚えるかもしれません。
なにより最も違うなあ、と感じるのはそのダークな雰囲気で、結構な頻度で「殺す」とかいった言葉が飛び交っていたような印象でした。
特に野獣が恐ろしく、「お前はバラを盗んだんだから命を出せ」とか老人を脅迫したり、「お前の家族を一人ずつ殺していくからな」などと若い娘を恫喝していく姿なんかはチンピラそのものです。「美女とチンピラ」というタイトルでもぜんぜんいけると思います。
その一方で映像がファンタジックだったり、魔法をかけられた犬たちが可愛かったりと、フランス映画の「アメリ」のようなキュートな要素も兼ね備えているのが女性に受けそうな予感もあります。
ヒロインのベルを演じたのは「アデル、ブルーは熱い色」でレズを演じたレア・セドゥです。これを見ると、なおさら「アデル、ブルーは熱い色」の役作りのすごさに感服しますね。
ただ、アニメもそうですが、この映画でも一体野獣のどの部分にベルが惚れたのかがまったく理解不能でした。レア・セドゥの演技力をもってしてもその部分では説得力に欠けていましたね。
ただの毛むくじゃらの卑屈なチンピラですよ。あんなのに惚れる女なんていないでしょ。同じ毛むくじゃらならスターウォーズのチューバッカのほうがよっぽど可愛いって。
コメント
6周年おめでとうございます!ひとつひとつの解説がとても丁寧で、映画を選ぶのに参考にさせていただいてます。これからも辛口コメント、期待していますよ。
さて、ヴァンサン カッセルが野獣ですか。はまり役なのではないかしら?彼、ヨーロッパでは男の中の男、と女性にも男性にも言わせるほど人気があるのですが、東洋人の私の目にはどうしてもイケ面には映りません。元嫁がモニカ ベルッチ。こんな美女をとりこにするんだからいい男に違いないのだろうけど、2人が一緒にいる姿は、私にはまさしく「美女と野獣」。ぜひみたい作品です!
いきさん
コメントありがとうございます。ヴァンサン・カッセルは特徴のある顔なので、男前というよりエキゾチックな雰囲気のあるモテ男なんじゃないでしょうか。あのいかにもスケベそうな顔がいいんだと思います。野獣の役にはまっていたかどうかは疑問でしたけど。
はじめまして
先日「美女と野獣」を観てきた者で、ふとたどりつきました。
このお話には「外見で判断するな」という教訓があるのに、ただのやかましい小娘の映画にしてしまったディズニーにはちょっと・・・と私は思っています(^^;
この映画は衣装やセットがすばらしく、今では忘れられてしまった「女性らしさ」「つつましさ」があちこちに見受けられます。
なぜ野獣にひかれたか・・は、私もはっきりとはわかりませんが、粗野な外見に隠された繊細さと暗い過去なんでしょうか(想像するだけですが)
ちなみにピノキオは人殺しではなく、ただのいたずらっ子です。
こちらは「親の言うことをききなさい」という教訓がありますよね(^^)
あんnさん
コメントありがとうございます。女性らしさやつつましさの表現には気づきませんでした。外見で判断するな、の教訓はそもそも野獣が美人を選んでいる時点でアウトだと僕は思っています。野獣なら野獣のような醜い女を愛してこそ、その教訓が活かせるのになあ、と。
だいぶ以前の記事にコメントしてしまってすみません。
2014年のフランス版「美女と野獣」を見て謎が残ったままだったので訪れた次第です。
そう、私は女性なんですが、こんな老け顔の毛むくじゃら、おまけに俺様のチンピラときた!こんなやつ、好きになる奴なんかいんの?野獣かどうかよりそっちがファンタジーw
しかもアニメと一緒で、「どこが愛やねん!」とw
概ねこんな文句私だけだと思ってました..、同士がいて感激です。
ベルの人格や容姿がもう出来上がってしまっているので野獣と対比になっても、「外見で判断するな」が教訓になりませんよね。罰を受けて成長しなければならないのは野獣の方なのに、アニメもこの映画も反省の「は」の字も感じられないのにはあ〜むかつくw
う〜ん、これは原作を読まないと無理かもと、もう一度原作の方をさらっと読んできました。原作が生まれた時代を考えると、当時は政略結婚の方が恋愛結婚よりも主流だった時代。今時の恋愛結婚として見るにはかなり無理があるようで、だとするなら、女は好きでもない男との結婚を強いられる世の常、それでも「住めば都」にするしかない、結婚は地獄でしかないけど慣れたら愛も芽生えるさ〜と言いくるめられてきた背景のことを考えたら、異様な説得力を感じました。
悪役も野獣も大して違わないのに、あのEDは私にはバッドエンドで、それでも、演じきった役者たちにはあっぱれをあげたいところですが。
ナギサさん
コメントありがとうございます。この手のクラシックなおとぎ話は、そろそろ現代風にアレンジしてもいいかもしれませんね。
こんにちは
netflixで見て、ディズニーの実写も公開される事だし、みなさんこっちの方はどんな感想かなと思って拝見させていただきました。
私はディズニーと違って登場人物が突然歌い出すことが1番気に入りました。
そして私もベルがなんで野獣を愛してるって言えたものか、本当に納得できません!笑
下手にCG使ってビデオゲームみたいな絵図を作る前に、そこさえ納得させてくれたらなぁ、と思います。
「なぜ野獣になってしまったのかを描きたかった」って、自業自得やん…となってしまいました。
また読ませていただきます!
スッキリしました(*´-`)
ゆり
ゆりさん
コメントありがとうございます。ぜひディズニー版も見て比べてみてくださいね。