シェリー・ホーマン監督によるスーパーモデル、ワリス・ディリーの半生を描いたバイオグラフィー。壮絶な修羅場をくぐってきた少女がロンドンでモデルに転進し、大成功するいわゆるサクセスストーリーです。48点(100点満点)
デザートフラワーのあらすじ
ソマリアの遊牧民家庭で生まれ育ったワリス・ディリーは、13歳で結婚させられそうになったことを機に家族のもとを離れる。砂漠からロンドンへたどり着き、路上生活を送っていた彼女は、一流ファッションカメラマンに見いだされショーモデルに転身。やがて世界的トップモデルとなるワリス(リヤ・ケベデ) だったが、しきたりで幼いころに受けた傷に今も苦しめられていた……。
シネマトゥデイより
デザートフラワーの感想
ソマリア出身のスーパーモデルのちょっと変わった生い立ちとロンドンに移住後の生活をつづった物語です。
子供の頃に強制された割礼により成功後も大きなトラウマを抱え、公で自分の過去を赤裸々に語り、ソマリア女性を始めとする、世界中の割礼被害に遭った女性たちを背負っていくような気迫が感じられた。
ただ、ワリス・ディリーの人生がすごいのであって、この映画がすごいかというとまた違います。展開はとんとん拍子だし、おとぎ話的であり、いかにも“映画”の中の出来事という印象を受けました。
事実を基にした映画を見るとき、ああこの部分はフィクションだろうなあ、と思えるシーンに度々ぶつかります。
この映画でもロンドンのナイトクラブで黒人男性と知り合い、しばらくしてからニューヨークの彼の自宅に突然訪ねにいくシーンは特に違和感を覚えました。ワリスの行動というより、モデルになって昔の面影もないようなワリスをあの男がしっかり覚えていたことが不自然でしたね。
偽装結婚の部分もちょっと怪しいですね。結婚するにしても大抵の国では不法滞在の状態では結婚の申請ができないのが法律だと思います。
真偽はどうであれ、徐々に結婚相手の要求がエスカレートしてくるところは人間的で面白かったです。
いくら親切心で結婚したからといっても、共同生活までして色々な犠牲を払っていたら、男は「せめて一発やらせてくれ」とせがんでくるものです。
あのぐらいはいくらワリスがピュアでも最初から予想できたはずです。それでも得るもののほうが大きいとワリスは考えたのでしょうか。
僕自身もブラジルの永住権を得るために偽装結婚を本気で考えたことがありました。タイミングよく偽装結婚してもいい、という相手も現れました。
その相手は数ヶ月前に友達になったばかりの女の子で、入国管理局がいつ来るか分からないので僕と同棲しても構わない、なんとか助けてあげたいから結婚すると言いました。
お礼に僕がいくらかのお金を払うことで話がまとまりました。そのコは性格が良く、心の優しい人でした。しかしいかんせん顔が醜い。今まで見た女の中でもトップ3に入るぐらいのブス。それでももしせがまれたら、これだけしてもらったんだからやってやろうじゃないの、と覚悟を決めましたよ。
二人して書類を揃え、後は結婚届けを役所に提出するだけでした。そして迎えた当日。彼女はいつになっても待ち合わせ場所に現れません。心配になって電話をしてみると、彼女はこう言いました。
「お父さんに話したら、やめときなさいって言われたの」。
当たりめえだろ。偽装結婚に賛成する親が世の中のどこにいるよ。顔だけじゃなく、頭も悪かったみたいです。今、思うと結婚しないでおいて本当によかったなぁ。
コメント
お!イイデスネ!eigaotokoサン、作家に転身、デスカ?
そのお話、本にされたら読んでみたい、デス!ww
トンボネコさん
本なんて書きませんよ。まさか。文句言ってるほうがよっぽどいいですよ。
ワリス自身この映画の内容、評価などは一切問題ではないとインタビューで言っていました。
彼女はただ、アフリカにおける割礼の事実を知ってほしいという強い思いからこのような映画にまで話が進んだのだと思います。
男性の視点からは難しいのかもしれませんが、こういった女性の勇気ある行動に対しては称賛を贈るべきでしょう。
20さん
コメントありがとうございます。おっしゃるとおりです。彼女の勇気ある行動に対しては称賛を贈るべきですね。この映画には無理ですが。