リアルすぎて背筋が凍りつく不良たちの犯罪ドラマ。平和なスウェーデンのヒトコマだけに余計に怖いです。77点(100点満点)
映画プレイのあらすじ
スウェーデンのヨーテボリにあるショッピングセンターで白人の子どもたちが遊んでいると、そこに突如年上の黒人の不良少年たちが現れ、携帯電話を見せてくれと頼む。なんでも兄弟が最近誰かに携帯を盗まれて探しているという。
しかしそれは不良グループによるいつもの手口だった。不良グループはやがて3人組の少年に目をつけ、後を付ける。3人は成す術なく、言われるがままに不良たちに一日中連れまわされることになる。
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読者のカイさんのリクエストです。ありがとうございます。
映画プレイの感想
「スクエア・思いやりの聖域」などでお馴染みのリューベン・オストルンド監督による、リアリティーが半端ない上質の少年犯罪ドラマ。
ドキュメンタリーかと思うほどの迫真の演出にハラハラ、ドキドキ、イライラすること間違いなし。もっと有名になっていなければおかしい作品です。
黒人の不良たちにからまれる少年たちの目線で見ると、とても恐ろしい映画です。ホラーといってもいいかもしれない。それもそんじょそこらのホラー映画ではなく、実際にどこでも起こりうるホラーです。
男なら誰でも少年時代に不良や体の大きな年上のグループに絡まれたことは一度や二度あるのではないでしょうか。そのときの記憶が鮮明に蘇る内容になっていて、そういえば子供は子供の世界で色々と危険なことがあるよなあ、と思い出されます。
黒人の不良たちはスウェーデン人ではなく海外からの移民でそこでは外見からして異質な存在です。態度や話し方にその落ちこぼれぶりが出ていて、まだ少年とはいえ地元の人々が誰も関わりたくない、といった様子なのが印象的でした。
彼らの携帯を盗む手口はおそらくいつも同じパターンなのでしょう。バレバレの演技を繰り返し、金品を盗む目的を果たすまでの過程にも迷いがあるのか、あるいはただ頭が悪いだけなのか、いたずらに時間をかけるのが余計にタチが悪いです。
さっさと盗むものを盗んだら、次のターゲットに行けばいいものを一日かけて被害者を連れまわし、電車やバスに乗せ、人里離れたところまで連れて行くなんていう拉致や誘拐まがいのことをします。
にもかかわらず、暴力でぶん取るのではなく、相手を悟るようにして、ゲームで負けたらお前らの持ち物は俺たちのものだからな、などといった女々しさがあって、それがなおさら見ている人をイラつかせます。
途中、黒人の少年を大人が捕まえて尋問し、そこに正義の味方ぶった女性が止めに入るシーンがあります。その女がまた妊婦で「ちょっとあなた、その黒人の子供になんでそんな怒鳴ったり、掴んだりしてるわけ。警察呼ぶわよ」なんて優しい人面します。母性本能丸出しなのです。
黒人の少年が近所で盗みを働いている事情を説明しても、女は「彼らは移民で貧しいからしょうがないのよ」みたいな態度に出ます。日本にもああいう人多いですよね。弱者の味方になろうとする平和ボケ偽善者。自分の息子が一日中拉致されてもなお同じことが言えるなら立派ですけど、おそらく無理でしょう。
「彼らが悪いんじゃないの。悪いのは彼らにチャンスを与えない世の中なの」
あのな、おばちゃん、チャンスがなく、貧しい移民の人でも犯罪をおかさず頑張っている人もたくさんいるんだよ。そういう人たちに失礼だから。本当に社会が悪いと思って犯罪に走ってるんだったら、携帯泥棒なんてちっぽけなことしてないで、国立銀行でも襲えって。子供なんて拉致しないで、市長でも誘拐してみろよ。そこまでできるんだったら大したもんだよ。
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