さむい女の自分探しの旅。終始ヒロインにイラつかされること間違いなしの映画です。23点(100点満点)
七夜待のあらすじ
一人旅でタイを訪れた彩子(長谷川京子)はタクシーでホテルへ向かうが、たどり着いたのは深い森の中。そこで彼女は、タイ人の母子と一人のフランス人青年と出会う。相手が何者かもわからず言葉も通じない、コミュニケーションが取れないもどかしさからいら立つ彩子だったが、タイの古式マッサージに触れ、次第に癒されていく。
シネマトゥデイより
七夜待の感想
「2つ目の窓」、「あん」、「光」で知られる日本一さむい監督、河瀬直美の作品。ドキュメンタリータッチで主人公を追っていく手法、田舎の美しい映像、構成、テーマは悪くない。なのに登場人物がさむすぎてさむすぎて耐えられなくなってくる一本。
河瀬直美の映画を見ていると是枝裕和の女バージョンという言葉があてはまります。二人が海外で評価されているのはリアリティーと映像美が備わったドキュメンタリータッチの撮影法じゃないかと思います。
ただ、河瀬直美の場合、これに自分を全面に押し出してくるあつかましさがあって、そこが「さむい」につながってしまいます。主要登場人物の女に全部自分像を当てはめているような気配もあります。
今回の登場人物の彩子も外国にいるさむい日本人女の代表のようなタイプでした。その理由を挙げると次のようになります。
- わけもなく突然泣き出す
- 無用心にもほどがある
- スキンシップを好む
- やたらと地元の人になりきろうとする
- 日本は豊かだけど人々が冷たい、タイの人は貧しいけど優しい、などというようなことを表面的な印象だけで述べる
- なぜかフランス人の男に弱い
最近では河瀬直美の映画を見る度に今回はどんなさむい女が出てくるんだろうってちょっと期待するようになりました。
そういう意味では新しい楽しみ方を教えてくれたとも言えますね。この映画で一番面白かったのは、タイの田舎町でタクシーのオヤジに襲われて(もしくは、襲われたと勘違いして)、助けてくれたのがイケメンのフランス人の男という下りでした。いまどき官能小説でもそんな筋書きにしないよ。あれは完全に監督の空想です。
コメント
箇条書された監督の手法がわかり深追いせず大変助かりました。
フランス人の下りは。。見てて、はぁぁ?・・・でしたので全てに腑に落ちました。
それで十分かと思いました
お役に立ててなによりです。