「夜空はいつでも最高密度の青色だ」、「ハラがコレなんで」、「川の底からこんにちは」の石井裕也監督による国内で評価されたまずまずの映画。43点(100点満点)
舟を編むのあらすじ
玄武書房に勤務する馬締光也(松田龍平)は職場の営業部では変人扱いされていたが、言葉に対する並外れた感性を見込まれ辞書編集部に配属される。新しい辞書「大渡海」の編さんに従事するのは、現代語に強いチャラ男・西岡正志(オダギリジョー)など個性の強いメンツばかり。仲間と共に20数万語に及ぶ言葉の海と格闘するある日、馬締は下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に一目ぼれし……。
シネマトゥディより
読者の みーさんのリクエストです。ありがとうございます。
舟を編むの感想
日本アカデミー賞の最優秀作品賞受賞作。辞書製作という地味な仕事内容にフォーカスするチャレンジャー精神は賞賛できるものの、映画の出来まで地味に仕上げてしまったもう少しの作品。
最初から最後までボソボソトークが繰り広げられるだけで会話に工夫がなく、ユーモアも薄く、笑えたとしてもクスクス止まりでした。
映像も特別きれいでもなく、こだわりも感じられず、ほとんどシーンが古いオフィス内という殺風景なシーンばかりで、となるとあとは視聴者を興奮させるか、感動させるぐらいしかこの映画が救われる手段はないのに、それもなく終わっていく呆気なさがなんとも言えませんでした。
唯一の泣きシーンともいえる、辞書完成間近>松本先生病気>死ぬまでに辞書の完成が間に合わず、という流れも最初から伏線を張りすぎて先が読めちゃったために意外性もなく、あれだけ何度も「死ぬよ、死ぬからね」と言われていたら今更どう泣けっていうんだ、という感じがしました。
そもそもこういうほのぼのした映画は誰かを殺す必要なんてないのです。それをあえてやっちゃうところが監督の自信のなさですね。そうしないと見せ場を作れないと自分で思っているからです。
ただ、日本映画には珍しくそれほどサブいシーンがなかったと思います。突然世界の中心で愛を叫んじゃうようなノリではなかったので少し安心しました。普段地味な作業をしている人間たちを元気づけるような内容だとも思えました。
とはいえ地味な仕事をしている人間が性格も、生活も地味で、名字も「馬締(マジメ)」だなんてというステレオタイプはいかがなものかと。周囲からはどんな真面目な男と思われててもいいでしょう。
でもプライベートではド派手に金を使いまくり、ギャンブル大好きで、仕事の昼休みの合間を縫って風俗に行くぐらいのキャラでもよかったと思います。それで何食わぬ顔でオフィスに戻ってきてはまた黙々と作業を続ける。
そんな姿を見て周囲の人たちから「やっぱり馬締さんって真面目だなあ」などと勘違いされている登場人物のほうが僕は好きですね。 あるキャラクターの特徴を一面でしか描けていないことは、かなりの問題だと思います。
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