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赤い航路の感想とネタバレ

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この記事は 約4 分で読めます。

アメリカ人作家オスカーとフランス人美女ミミによる意地悪合戦が面白く、サスペンスというより上質のコメディーとして楽しめる見ごたえたっぷりの一本。78点(100点満点)

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赤い航路のあらすじ

結婚7年目のイギリス人夫婦・ナイジェルとフィオナは、自分たちの愛を確かめるためにイスタンブル行きの豪華客船で地中海クルージングの旅に出た。その船上でナイジェルは、車椅子のアメリカ人作家・オスカーとその妻のフランス人・ミミに出会う。オスカーはナイジェルにミミとの馴れ初めを話し始め、パリでの出会い、過激な性生活、車椅子になってからの生活などを語っていく。

Wikipediaより

読者のインコさんのリクエストです。ありがとうございます。

赤い航路の感想

「戦場のピアニスト」などでお馴染みのスケベ監督ローマン・ポランスキーによる小説『Lunes de fiel』を基にしたツンデレ映画。

映画というより、小説を読んでいるかのような巧みなストーリーテリングにたちまち引き寄せられ、早く話の続きが聞きたくなるウズウズの興奮があります。

作家オスカーとミミはある日バスの中で劇的な出会いをし、その後レストランで偶然再会します。

バスの中でチケットを持っていなかったミミにオスカーは自分のチケットを渡して彼女を助ける、というキザなアプローチをしかけるのですが、そんなロマンチックな出会いとは裏腹にお互いを知るうちに二人の関係性に闇の部分が顔を出します。

あれだけゾッコンだったオスカーがミミを少しずつ鬱陶しく思い始め、イジメ出すのです。

そのイジメ方がまた本格的で愛し合っている最中に「シンディー」などと他の女の名前を呼んだり、ミミが頑張って作った少し焦げた七面鳥を見て、「火葬したのかよ」と退けたり、「せめて少しでも食べないの?」と言われると、「おれは歯医者をリスペクトしているから無理だよ」と絶妙の切り返しを見せます。

また、化粧したミミを見て「ハロウィーンの仮装か」と言ったり、グレーに染めた髪の毛を見て「お隣さんの犬みたいだな」と言ったり、ハイレベルの突っ込みを連発します。

突っ込み知らずの外国人からしたら、あの突っ込みのレベルは尋常じゃないです。女性からしたら「ひどい」だけのシーンですが、僕的には大笑いできました。

ただ、さすがにオスカーがミミに中絶を強要したり、飛行機に一緒に乗って自分だけ離陸前にこっそり降りて、ミミをハメる下りでは笑えませんでした。

稀に見る100%男の方が悪い、と男が素直に認めることができる映画です。その後、ミミと離れることに成功したオスカーは散々女遊びを繰り返していた矢先、交通事故に遭い脚を怪我します。

そして病院のベッドで寝てると、そこにいなくなったはずのミミが姿を現し、ミミの復讐が始まります。

ミミは脚を怪我して寝込んでいるオスカーをベッドから引きづり下ろし、彼を下半身不随にしてしまうのですが、あれぐらいの衝撃で下半身が麻痺するかよ、と思わずにはいられない引きづり下ろし方で、もうそこから先は完全にコメディーです。

ミミは、注射器を何度もオスカーの腫れあがった脚の同じ箇所に刺したり、オスカーを風呂桶にいれたまま自分は電話で友達と長電話をしたり、若いダンサーを家に連れ込んでオスカーの前でやったりとやりたい放題です。

なによりシャレが効いててよかったのは、誕生日のプレゼントと称してピストルをプレゼントしたときで、そのときバースデイソングを歌いながらミミが持ってきたケーキが衝撃でした。

polanskhy

どんだけロウソクでかいんだよ。あんなに大きなロウソクはなかなか売ってないよ。ミミは怖いというよりただの可愛い子ですね。

別れを告げられると、泣いて自分を捨てないようにお願いしたり、最初に出会ったときのバスのチケットを取っておいたり、SMプレイにも付き合ってくれ、寝る前にセクシーダンスを踊ってくれるなんて最高じゃないですか。意地悪しているときの顔もどこか憎めないです。

二人のかけあいのシーンからも分かるようにオスカーにしても、ミミにしても相当センスのいいユーモアの持ち主です。

もちろん物語の中ではユーモアとして描かれていません。相手に意地悪をするためなら次から次へとアイデアが浮かび、自然とそういったセンスが研ぎ澄まされるのです。  おそらくこの映画の成功は原作そのものの質の高さにあると思われます。

あのセンスがポランスキー独自のアイデアだとは到底思えません。ポランスキーのアイデアがあるとしたら、ミミが自分の体に牛乳をわざとこぼし、それをオスカーに舐めさせるシーンぐらいでしょう。あれは牛乳じゃなくて、ブラジルのアサイーにするべきでしたが。

コメント

  1. インコ より:

    リクエスト作品への文句をありがとうございます!!
    オスカーとミミの男女造形が素晴らしい作品ですよね。
    愛に飽きた人間の薄情さも愛に裏切られた側の復讐への執拗さも
    あそこまでではないにしてもみんな似た経験ある気が・・・。
    ミミのオスカーへのプレゼントの拳銃は「死ね」と言う意味もあれば
    「もう、終わりにさせて。殺して」と言うものだったのでしょうかね・・・

    アサイー・・・そんなに??(笑)

    • 映画男 より:

      インコさん
      いつもリクエストありがとうございます。セリフ、会話が特に優れた作品だと思いました。

  2. なざ美 より:

    はじめまして☆
    さっきケーブルTVでやってたの観て、他の方の感想が読みたくって来ました。
    うーん、男の人が観たらそういう感じなのでしょうか?
    でも、私のようなイジワル女の目から見たら、オスカーは何やかや言いつつミミの事が終始一貫好きで好きでゾッコン?みたいに見えました。
    ミミへの言葉責めもそうです。で、ミミの方もその事が解っているからこんなオッサンの元に留まるんでしょう。

    さて、あの病院でのシーンですが、あの落ち方は充分背骨折れます。
    あと、ミミが一人で飛行機で行った先でダンサーだかウェイトレスだかしてたというのは嘘だと思います。小金持ちのオッサンに食わせてもらってたんでは?

    • 映画男 より:

      なざ美さん

      コメントありがとうございます。やはり同じ映画でも男女で感じ方もかなり違うようですね。ミミとオスカーがどれだけお互いのことを思っていたかは定かではありませんが、いろんな意味で愛憎を感じさせてくれる映画でした。

  3. sh より:

    直近のコメントの方に共感したもので、つい…。

    私も、オスカーのミミ苛めを屈折した愛情表現だと思って見てました。いやな男ですよね(笑)愛情というより愛玩かな。すごく勝手だけど、なんとなく理解できる。

    嬉々としてオスカーに嫌がらせを繰り返すミミも、生き生きとしてよかったです。どんどんきれいになってくるし。ダンスフロアで踊っているシーンなんか、ハリウッド基準だとぽっちゃりし過ぎているのかもしれないけど、セクシーだった。

    ずっと昔に映画館で観て、詳細は覚えていないところもあるのですが、非常に好きな映画でした。
    なので、採点も心もち高めで嬉しかったです(^^)

    原作も、よかったですよ。
    結末が映画よりも更に衝撃的で。

    • 映画男 より:

      shさん

      二人ともかなり性根がひん曲がっていて笑えましたね。いい映画でした。