ウェイン・ブレア監督による色んな要素を詰め込みすぎた感の強いミュージカル。ありきたりな演出に満ちたサクセスストーリーです。48点(100点満点)
ソウルガールズのあらすじ
1968年のオーストラリア。アボリジニの居住区で生活しているゲイル(デボラ・メイルマン)、ジュリー(ジェシカ・マーボイ)、シンシアは、小さな頃から歌うことが大好きな3姉妹。
いとこのケイと一緒にカントリーミュージックを歌いながらシンガーとして成功をつかもうと奮闘していたが、コンテストに出場しても先住民族に対する偏見や差別から落選させられてばかり。
意気消沈する四人だが、ミュージシャンを自称する男デイヴ(クリス・オダウド)と出会い、彼からソウルミュージックのレッスンを受ける。
yahooより
ソウルガールズの感想
実在したアボリジニのバンド、「The Sapphires」とそのメンバーのストーリーからインスピレーションを受けて製作されたミュージカル・コメディー・恋愛ドラマ。
ライブのシーンに力を入れている一方でストーリーがやや手抜きで、浅い物語の中で沸き起こる軽い感動で満足できる人が見るべき映画。
アボリジニの4人の女性がオーストラリアで偏見や差別を受けながらも音楽で成功する、という物語かといえばそうではなく、オーストラリアはあっさり諦めて、戦争真っただ中のベトナムに行ってアメリカ軍人たちを歌で慰めに行く、というさっきまでテーマにしていた偏見や差別が序盤でいきなりブレます。
4人はマネージャーの勧めで、ベトナムにいる米軍の黒人兵士たちに受けるために、ソウルミュージックを歌わせられ、途中多少アイデンティティーに迷いが出ます。ただ、それも大したことないといったような感じに話が進んでいき、ふと気が付くとアボリジニがどうとか無関係の恋愛映画になっている、というオチが待っていました。
この手の軽い映画は意味だとかテーマだとかを考えるのがそもそも間違っているようで、音楽を聞いて奇麗な歌声だなとか、なんだか分からないけど感動するな、といった姿勢で見るのが正しい観賞の仕方なんだと思います。
ただベトナム戦争についても、アボリジニについても、掘り下げることなく終わっていくのは大分もったいないです。実在する人物がいるなら尚更外国人としてまたミュージシャンとしてベトナム戦争に”参加”する心境をもうちょっと知りたかったな、という気がしてなりませんでした。
最初に「ミュージカル・コメディー・恋愛ドラマ」などと紹介しましたが、それだけのジャンルを一つの映画に詰め込めばどんな結果になるかは想像に難しくないはずです。もちろんごっちゃちゃですよ。
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