もうすぐ還暦なのにニコール・キッドマン、よくこんな役やるなあっていう感想しか抱かない、低品質な大人向け映画。製作費の半分以上がニコール・キッドマンのギャラが占めてそうな完成度です。9点
ベイビーガールのあらすじ
ロミー・マティスはニューヨーク市のロボティック・プロセス・オートメーション企業のCEOだが、劇場監督である夫ジェイコブとの性生活に不満を抱いている。ある日、仕事へ向かう途中、彼女は突然犬に襲われそうになるが、一人の若い男性が犬を落ち着かせて助けてくれる。その男性、サミュエルはロミーの会社のインターンであり、会社のメンターシップ制度を通じてロミーを「メンター」として選ぶことになる。
ある日、サミュエルはロミーとの個別ミーティングの際に関係を持ちかける。ロミーは最初は拒むが、やがて彼にキスをしてしまう。戸惑いを覚えながらも、二人は後にホテルで再会する。ロミーは、自身の立場を利用してサミュエルを搾取しているのではないかと懸念するが、サミュエルは「俺は電話一本で君をクビにできる」と告げ、自分の方が権力を持っているのだと主張する。やがて、ロミーはサミュエルとの支配-服従関係の中で激しい絶頂に達する。しかし、その直後、彼女はこの経験に対する深い葛藤に苛まれ、涙を流す。それでも二人の関係は続き、次第にその情事は激しさを増していく。
サミュエルはさらに境界を押し広げる。ある時、彼はロミーが会社に置き忘れたノートパソコンを返すという口実で、ロミーとジェイコブの田舎の別荘に突然現れ、家族に気に入られるように振る舞う。ロミーは彼の行動を不遜と感じ、怒りをぶつけ、「私の家族がすべてなの。もう二度と私の家に来ないで」と言い放つ。二人は口論になり、サミュエルは別の部署への異動を願い出ると言うが、ロミーはそれによって自分の関与が疑われることを恐れ、彼を引き止める。
絶望したロミーは、サミュエルとの関係を続けようと彼に懇願するが、彼女がサミュエルへの服従を受け入れることが条件となる。その直後、サミュエルはまたもやロミーの家に無断で現れ、今度はロミーの秘書であり恋人になったエスメを連れてくる。エスメはロミーに、サミュエルとの関係を知っていることを告げ、不倫を終わらせること、会社の組織を変革すること、そしてエスメを昇進させることを要求する。さもなければ真実を公表すると脅す。
ロミーは最終的にジェイコブに不倫を告白するが、詳細は伏せ、ただの一夜限りの過ちだったと説明する。彼女はジェイコブに対し、これまで抑えてきた強い性的欲求を伝えるが、ジェイコブは裏切りに激しく動揺する。その後、ジェイコブが田舎の別荘に戻ると、ロミーとサミュエルが一緒にいるところを目撃する。怒ったジェイコブはサミュエルに殴りかかるが、パニック発作を起こしてしまい、サミュエルが彼を介抱した後、立ち去る。娘のイザベルの励ましもあり、ロミーとジェイコブは夫婦関係を修復し、性生活の再構築を試みる。
その後、取締役の一人がロミーに、サミュエルが日本で新たな仕事を得たことを伝える。そして「君が何か関与していないか?」と意味深に尋ねると同時に、彼自身がロミーに興味を持っているような態度を示し、誰もいない時に自宅に来るよう誘う。しかし、ロミーは彼に嫌悪感を抱き、「私はあなたを恐れていない」ときっぱり告げ、オフィスから追い出す。
ラストシーンでは、ロミーとジェイコブが自宅で二人きりになり、関係を修復したことが示唆される。
ベイビーガールのキャスト
- ニコール・キッドマン
- ハリス・ディキンソン
- ソフィー・ワイルド
- アントニオ・バンデラス
- エスター・マクレガー
ベイビーガールの感想と評価
ハリナ・ライン監督による、年増の女CEOと部下による官能ドラマ。安っぽい支配と服従関係を描いた歳の差不倫カップルのソフトSMもので、色んな意味で痛々しくて見てられないです。
物語は、夫との夜の生活に不満を抱えるやり手のキャリアウーマンが、会社のインターンの若者男子に惹かれ、一線を越えてしまうというベタな官能小説のようなストーリーになっていて、それも手を出した男が実はS気が強く、上司である自分がドMだったことに気がつかされ、若い男との歪んだ情事にどんどんのめりこんでいくというチープな内容になっています。
つまるところ普段社内で部下に偉そうに指示している女性は、本当は胸の奥底では男から命令されたがってるんだよっていう男の都合のいい妄想のような設定になっていて、これを女性が監督して脚本を手掛けていると聞いて驚きました。監督の願望をもろに反映させたのかなあ。
お色気人間ドラマなので、肝心なのは男女の絡みのシーン、あるいはそこにたどり着くまでの過程でしょう。しかしそのいずれにおいてもなんだか興奮度が少なく、リアリティーもなく、こんなに滑稽でどうでもいい不倫劇は初めてかもしれません。一応スリラーのジャンルにカテゴライズされてるみたいだけど、ドキドキもしないし、不倫特有の背徳感やら見つかったらやばい的なスリルもありませんでした。
夫のキャラ設定が甘く、妻に対して愛情深く、妻に最大限理解を示す、よくできた男みたいな感じだったので、ああこいつなら不倫がバレても大して問題にはならないだろうなっていうのが予想できて面白くなかったです。
どうせラテン系の男を夫にするんだったら、もう嫉妬深く、独占的暴力的で、浮気=死を意味するぐらいのやばい男にするべきでしたよね。そのうえでもやっぱり若い男がいいってなったら、それはそれは命がけの浮気ということになるから、しっかりとしたスリラーになりそうなもんです。しかし一事が万事ソフトな世界観になっていて中途半端でしたね。
相手役の男の演技も危なっかしいし、夫役のアントニオ・バンデラスも最近すっかり見かけなくなったラテン系俳優という感じがして、全体的にB級感が溢れて出てしまっているのがせつなかったです。
結局のところニコール・キッドマンが脱いだという部分しか見どころがないんですよね。とはいえニコール・キッドマンももう60歳近くだし、彼女の裸だけで売れるのかなあ?って思いました。デミ・ムーアの「サブスタンス」もそうだけど、最近この世代の裸が需要があるんですかね。
それになんで大女優がこんなB級お色気映画なんかに今更出演したんだろうかっていう疑問がずっとぬぐえませんでした。事業に失敗して借金でもしたんでしょうか。あるいは、別荘でも買いたいんのか。それぐらい経済的な事情がないと出る意味がないぐらい脚本に惚れ込んで出演する映画とは程遠いんですよね。キューブリックの映画で彼女が脱ぐのは理解できても、この映画で脱ぐのはちょっとわからなかったです。やっぱりB級監督に撮ってもらったところで綺麗に撮ってもらえないしね。
あえて痛い女を演じたのか、おのずとそうなってしまったのかもはっきりしないところがあって、ずっとヒロインというかニコール・キッドマンが可哀想に見えてしまうのが不思議でした。これで「(ニコール・キッドマンが)アカデミー賞最有力」って宣伝してたのが笑えます。ノミネートすらされてないし。
それでいうとアントニオ・バンデラスも可哀想かなあ。出演したことでみんな損した感がありますよね。なにこの誰得映画?
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