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ミッシングはしんどいだけで面白くない

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人気女優を起用し、悲しいだけのテーマを用いて視聴者を感動の渦に巻き込もうとする、ずるい映画。リアリティーはあるけど、いまひとつの作品です。48点

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ミッシングのあらすじ

ある日、街で小さな少女、美羽が行方不明になる。母親の沙織里はあらゆる手段で娘を捜そうとした末に積極的にメディアの力を借りて事件の風化を防ごうとする。しかし地元テレビ局は、あくまでもセンセーショナリズムに訴えようとして本当に美羽の無事を願っているとはとても思えなかった。

数か月も経つと、世間の関心は薄れていき、沙織里と夫の豊も焦りを感じ、イライラを募らせていく。夫婦の間で喧嘩が絶えなくなり、沙織里は豊が本気で娘を探すことに向き合っていないように感じる。

一方で失踪当日、沙織里がアイドルのライブに行っていたことがSNSで拡散され、毒親のようなイメージが生まれ、誹謗中傷を受けるようになる。さらに最後に美羽と一緒だった沙織里の弟、圭吾もよかれと思って嫌々ながらメディアの取材に応じると、コミュニケーション能力のなさや挙動不審な言動から逆に事件との関わりを疑われてしまう始末に。

こうして美羽の失踪事件をめぐって家族、親族たちは日々様々なストレスにさらされ疲弊していくのだった。

ミッシングのキャスト

  • 石原さとみ
  • 青木崇高
  • 森優作
  • 有田麗未
  • 中村倫也
  • 小野花梨

ミッシングの感想と評価

犬猿」、「さんかく」、「BLUE/ブルー」、「ヒメアノ〜ル」、「愛しのアイリーン」、「空白」、「麦子さんと」の吉田恵輔監督による、行方不明になった娘を探す家族の人間ドラマ。家族の苦しみは伝わってくるものの、ストーリーが大して膨らまず、起承転結もなく特にオチもない作品。

失踪した娘を探す夫婦や家族の苦悩を描く、というプロットは悪くないでしょう。その背景にSNSでの誹謗中傷やメディアの偏向報道による家族への理不尽な疑いの目が向けられたりといったあるあるエピソードも現代を出来事をリアルに表しています。ただし、本当にそれだけなんですよね。びっくりするぐらいそれ以外の捻りや展開が全くないんですよ。

見せ場といえば、終始テンパってる石原さとみの表情ぐらいで、ストレスマックス疲労困憊の様子は十分に伝わってくるものの、それ以外の演技演出の幅がないから、ずっと同じエピソードと同じシーンを2時間見せられている気になりました。

とりあえずあるあるエピソードを集めてきてそれをまとめて一つの話にしたような内容の薄さが目立ち、そもそも脚本に問題があるのが分かります。だから30分ぐらいの話をなんとか2時間に延ばしたみたいな印象を受けるんですよ。

なぜか娘失踪後の両親の心境ばかりを描いていて、どういう状況で失踪したのか、事件前の娘はどんな子だったのか、警察の捜査状況や手がかりなどは深く掘り下げていないんですよね。ただ、叔父さんと公園で遊んだ後に一人で自宅まで帰る途中で行方不明になった、っていう簡単な説明しかしてなくて、それ以上深く触れるとボロが出るからやめておいたのかなって思っちゃいました。

もうちょっと謎を残すような手がかりとか、事件性を匂わすような出来事とか、事件なのか事故なのか両方の観点で見れるようなしかけをばらまいてもよかったですよね。

確かに両親の気持ちを思うと、いたたまれないんですよ。絶望でしかない日々。どこに向けていいか分からない怒り。SNSやメディアをはじめ周囲から来るストレス。身内に対して抱くフラストレーション。いずれも現実感があって感情移入をするのは難しくないはずです。

それなのになぜか全く面白くない。なんでなんだろう。石原さとみをゴリ押ししているからかなあ。もうとにかくずっと石原さとみなんですよ。まるで彼女に賞を獲らせるための映画かのように。

本作で演技力が目立っていたのはむしろ森優作でしょう。あのキャラ、表情の作り方はすごかったよ。唯一、ストーリー上でメリハリをつけていたのも森優作扮する圭吾が出演するシーンでしたよね。あれ、もしかしたらこいつ犯人なのかな?っていうサスペンス要素を生んだのも彼でした。でも地味だからどうせ正当に評価してくれないんでしょ? 可哀想に。

ラストはどうなんでしょうかね。結局、娘の行方が分からないまま、絶望が続いていく中、まるで母親がどこか苦しみを克服したかのような、安らぎを得たかのようなポジティブなエンディングにしていましたね。絶望の中にも人々の優しさや些細な出来事に一寸の光を見つけたというメッセージなんだろうけど、なんか綺麗に終わらせようとした感がぬぐえないですよね。嫌いです。

コメント

  1. シャインマスカット より:

    本作のご感想ありがとうございます。

    個人的には、昨年観た作品の中では評価が高いのですが、一方でご指摘なさる点については納得です。

    構成としては、「娘見つかるかも→やはり無駄足」という単調な行が何度も繰り返され、何度も振り出しに戻される感じだったので、(監督の意図かもしれませんが)体感時間が非常に長く感じられました。2時間以内の上映時間でしたが、2時間半か3時間以上あると思ってました。

    後は、予告編にてサスペンス要素や感動コメントなども匂わされていたので、そちらを期待した人も多かったと思います。これはミスリードでしたね。

    キャストについては、石原さとみさんはかねてより吉田監督のファンだったそうで、「逆オファー」の意味もあったようです。

    私も森優作さんがとても印象に残りました。あのヌボーっとした立ち振る舞いや、怪しさ満点の言動には振り回されました。

    個人的には、夫役の青木崇高さんも良かったです。娘の失踪という悲しい出来事と壊れていく妻の奇行に板挟みになりながらも、何とか理性を保とうと葛藤している姿には胸が痛くなりました。(不倫や暴力に走る可能性もあったので。)

    尚、吉田監督は、邦画の中でもオリジナル脚本で勝負できる数少ない監督の一人だと思いますので、今後の作品も期待していきたいところです。ファンが多いのも納得です。