可もなく不可もなく、ベタでコテコテで、できるだけ安全な道を選んだ長編アニメ。見ても見なくてもどっちでもいいと思います。45点
野生の島のロズのあらすじ
ある日、ユニバーサル・ダイナミクス社の貨物船が嵐に巻き込まれ、積んでいたアシスタントロボットが無人島に流れ着く。その中で唯一生き残ったのは「ロズ」ことロッザム7134だけだった。ロズは偶然にも野生動物によって起動され、動物たちが自分の主人であると勘違いする。ロズは動物の言葉を学ぶと、動物たちと話せるようになり、彼らの力になろうとする。
しかし動物たちはロズの助けなど必要としていなかった。自分を必要とする主人を見つけられなかったロズは仕方なくユニバーサル・ダイナミクス社に戻ろうと、シグナルを送るが落雷に撃たれ、グリズリーに襲われてしまう。
その途中、誤ってロズは誤って雁(がん)の巣を踏みつぶしてしまい、卵一つを除くすべてのヒナと卵が死んでしまう。ロズは空腹のキツネ、フィンクからその卵を守る。やがて卵からヒナが孵化し、ロズを親だと思い込む。ロズはヒナを「キラリ」と名付け、キラリが冬の渡りの前に飛べるようになるまで育てることを決意し、自分の息子同様に育てることに。こうしてひょんなことからロズはキツネのフィンク、雁のキラリと共同生活を送ることになるのだった。
その一方でユニバーサル・ダイナミクス社は、無人島で行方が分からなくなったロズのことをなんとしてでも回収しようとしていた。
野生の島のロズのキャスト
- ルピタ・ニョンゴ
- ペドロ・パスカル
- キット・コナー
- キャサリン・オハラ
- ビル・ナイ
- ステファニー・スー
野生の島のロズの感想と評価
「リロ・アンド・スティッチ」、「ヒックとドラゴン」などで知られるクリス・サンダース監督による、児童小説を基にしたロボットと動物たちによる疑似家族ドラマ。アカデミー賞ノミネート作品です。
ロボットと人間ではなく、ロボットと野生動物の愛と友情を描いたエンタメアニメーションムービー。ベタなストーリーとコテコテの演出だけど、テンポが良く、話がシンプルで、子供から大人までそこそこ楽しめる内容になっています。
これまでアシスタントロボットが登場する物語は、近未来都市を描くことが多かったけれど、本作は文明のない無人島を舞台にしているほか、人間じゃなく野生動物との交流を主に描くことで違いを出しています。あえて人間を排除しているのか、極力人を登場させないようにしていましたね。
無人島でロボットがどうやって電源を確保するんだよっていう突っ込みどころはあってソーラーエネルギーだとか都合のいい説明をしたり、危うい設定は結構あります。しかしそういう部分もファンタジーに完全に舵を振り切っているので、特に気にせず見れるでしょう。
ストーリーが本題に入るのは、ロボットが無人島で鳥の卵を見つけるくだりからで、卵からヒナが孵化してから赤ちゃん鳥に愛着を感じ、いつしかロボットが親代わりになっていくというのがだいたいの話の流れです。そして最後は別れが訪れ、感動のフィナーレを迎えるという展開になるのは誰もが予想できるでしょう。
極力人間の登場を排除しつつも、ロボットも動物もとにかく人間っぽい設定にしている部分はちょっとひっかかりましたね。果たして高性能AIロボットが感情や愛情を抱くのか?という疑問は払拭できないし、挙句の果てには母性まであるのかよと思いましたね。完全に人間のお母さんじゃんって。
動物も動物で本能よりも義理人情を優先するみたいなことになっていて笑えました。あのとき助けてくれたから今回は私が助けますよみたいな態度は野生動物にいらないから。目の前の獲物を食べることだけ考えてればいいのに、動物同士みんなで助け合おうみたいな人間社会の理想を押し付けてるようなところもありましたね。
せっかく人間ではなくロボットと動物の物語にしたんだから、もっとそれぞれの特徴を出してもよかったかなあと思いますね。結局のところロボットと動物の姿をした人間のストーリーになっちゃってたなあ。ただ、売れる映画を作ろうと思ったらそうするしかないんですかね。ロボットが主人公だからといって友情も愛情も芽生えませんってなったら、視聴者の感情が動かないからね。難しいところですね。
この映画に欠けているのは心地よいテーマソングでしょうね。誰もが口ずさみたくなるような歌です。なんかの曲は途中で流れるんだけど、印象が薄くてもう忘れました。これでもっと印象深い音楽があったらよかったのに。
あと、若干ロボットがラピュタのロボット兵に見えなくもないですね。ロボットのデザインも丸々じゃなくてもいい気がするんだけどなあ。
終盤はロボットVS動物の大戦争みたいなことになって大分ハチャメチャになっていきます。今まで自然界の話だったのがあそこでぶち壊された感があって、SF色が強くなったところでハリウッドお馴染みの「アイラブユー」でハッピーエンドを迎えるという、いわば何の捻りもサプライズもなく幕を閉じます。アニメはそれでいいのかもなあ。子供はきっと喜びますよ、この映画。
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