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教皇選挙は意外と面白い宗教ドラマ!

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いかにも小説的な部分はあるものの、全体的に脚本、ストーリーの完成度が高い作品。キリスト教にそれほど興味が強いわけじゃないけど、それなりに楽しめました。65点

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教皇選挙のあらすじ

教皇が心臓発作で亡くなると、英国出身の枢機卿団長トーマス・ローレンスの指導の下、枢機卿会が招集され、後継者を選出する。最有力候補として挙げられたのは、リベラルな故教皇の路線を継ぐアメリカ出身のアルド・ベリーニ、社会保守派のナイジェリア出身ジョシュア・アデイェミ、中道派のカナダ出身ジョゼフ・トレンブレイ、そして伝統主義のイタリア出身ゴフレド・テデスコの四名であった。

教皇庁長官ヤヌシュ・ヴォジニャクは、故教皇が亡くなる夜にトレンブレイの辞任を要求したと主張するが、トレンブレイはこれを否定する。一方、ベリーニは支持者たちに対し、「テデスコの教皇即位を阻止することが目的だ」と明言する。その頃、ローレンスは、前教皇が前年に枢機卿に指名した「イン・ペクトレ」の存在であるカブール大司教ヴィンセント・ベニテスが、急遽バチカンに到着したことに驚く。

ローレンスは、枢機卿団に「不確実性を受け入れるべきだ」と説く説教を行い、これが彼自身の教皇選出への野心の表れだと解釈する者もいた。最初の投票では、三分の二の得票を得た候補はおらず、アデイェミがわずかにリードし、ベリーニとローレンスがリベラル票を分け合う形となった。ローレンスの補佐役であるレイモンド・オマリーは、ベニテスの経歴を調べる中で、故教皇が彼のジュネーブ行きの飛行機代を支払っていたことを知る。その目的は、キャンセルされた医療診察であった。

2日目の昼食休憩中、枢機卿団は、首位を走るアデイェミと、ナイジェリアからバチカン市国に異動した修道女シャヌミの対立を目撃する。ローレンスは密かにシャヌミと話し、彼女が不適切な関係を持ち、その結果として息子を出産したことを告白される。ローレンスは守秘義務を負うが、ささやきによる噂が広がり、アデイェミの候補者としての立場は揺らぐ。ベリーニはやむを得ずトレンブレイを支持することを決める。

ローレンスは、枢機卿の宿泊施設を管理する修道女アグネスと協力し、シャヌミの異動がトレンブレイの手配によるものであったことを突き止める。問い詰められたトレンブレイは、「それは故教皇の指示によるものだった」と主張する。ローレンスはついに故教皇の私室へ忍び込み、トレンブレイが聖職売買(シモニア)を行っていた証拠を発見する。ローレンスがベリーニに証拠を見せると、ベリーニはそれを公にしないよう懇願し、二人は激しい口論となる。

3日目、ローレンスはトレンブレイの不正を公表した後、ベリーニと和解し、共にテデスコの阻止に動くことを決める。6回目の投票では、ローレンス自身も自分に投票するが、その最中に爆発が発生し、彼は吹き飛ばされ、システィーナ礼拝堂も損傷を受ける。枢機卿団は、自爆テロがバチカンの近くで発生し、多くの群衆が犠牲になったことを知る。テデスコは「宗教戦争」を宣言するが、ベニテスは「暴力には暴力で応じるべきではない」と訴える。そして7回目の投票が開かれると、以外な結果が待っていた。

教皇選挙のキャスト

  • レイフ・ファインズ
  • スタンリー・トゥッチ
  • ジョン・リスゴー
  • セルジオ・カステリット
  • イザベラ・ロッセリーニ

教皇選挙の評価と感想

エドワード・ベルガー監督による、ローマ教皇を選ぶ選挙をテーマに同名小説を基にした宗教ドラマ。アカデミー賞ノミネート作品です。

ゴリゴリの宗教映画なので、キリスト教徒であるかどうか、キリスト教に興味があるかどうかによって意見が割れそうな映画です。もし「2人のローマ教皇」を見てそれなりに楽しめたのなら、これも楽しめるんじゃないかと思います。

ローマ教皇ってどんなふうに選ばれるの?という一般人が抱きそうな好奇心を裏事情とともに伝えていて、その実態は美しさや神聖さとは程遠く案外ドロドロの争いだったという内容になっていました。宗教家のトップ同士の戦いはまさに政治家の選挙と同じで、候補者は別の候補者を蹴散らすことしか考えておらず、そのためならいかなる手段も択ばないといった様子で、汚い話がたくさん出てくるのが見どころになっています。

神に一生を捧げる聖職者といえど結局はただの人間でそれぞれのエゴと思惑と陰謀がうごめくバトルはなかなか見ごたえがありました。ただ、やはり司祭同士の会話とかボキャブラリーとかがとっつきにくいものがあって、さらにスローなテンポのせいで退屈を感じる時間帯もありました。

そんな中、最後まで視聴者の集中力を切らさないようにしているのは、優れたBGMが要因だったと思えました。お堅いテーマの話にサスペンス性を持たせることに成功したのは間違いなくあの音楽のおかげでしょう。

それと色の使い方、ビジュアルが綺麗ですね。出演者が身にまとうローブとか建物とか芸術的で格好いいです。やっぱり服装って大事なんだなあ。全員がジーパンにTシャツだったらあんな威厳は出せないもんね。

司祭のスキャンダルや陰謀などを明らかにしていく様子は刑事ドラマっぽいです。とはいえ誰かが殺されるわけでもなく、人が死ぬレベルの裏切り行為があるわけでもなく、ある意味平和でかわいい闇エピソードが盛りだくさんになっていて、それなのに舞台がバチカンというだけで大事に感じてしまうのが不思議です。もっとゴリゴリの悪党とか出てきてもよかったかもしれませんね。

あの地位にまで行った宗教家たちがゴリゴリ差別主義だったりするのもさもありそうで笑えますね。特にイタリア人司祭を保守的な差別主義者として描いていたのはリアルでした。それにしても今後アジア人や黒人がローマ教皇になることあるのかなあ。

前半、中盤とそれほど気持ちが昂るものはないのに対し、後半一気に畳みかけて来る感じは見事でした。そして最後の最後であの人が教皇に選ばれるとは意外性に溢れ、伏線が効いていて見事なオチになっていたかと思います。さらにその人のバッググランドにしても最近のジェンダー問題を絡めてきているのには上手いなあという感じがしました。

ひとつ疑問に思ったのは教皇選挙って誰かが三分の二の多数票を獲得するまで最大34回の投票が続くそうなんだけど、複数回の投票の中で最初のほうはほとんど票をもらえなかった人がいきなり終盤に大逆転するみたいなこと実際あるんですか? あれはちょっと映画的だなあって思っちゃいましたね。

その辺の内部事情についてはうといので、どこまでがリアルで、どこまでがフィクションか自分にはあまり見分けがつかなくて、その辺ゴリゴリの宗教家の人たちが見たらどう評価するのか気になるところです。鑑賞後、キリスト教徒の友人に感想を聞いてみるのも面白いかもしれませんね。

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