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アイ・ライク・ムービーズは懐かしい映画!

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卒業間際の高校生が大学進学するまでの期間をコミカルに描いた地味でほどよく退屈でちょっと面白い映画。なかなかよかったです。60点

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アイ・ライク・ムービーズのあらすじ

ローレンスはカナダの高校に通う17歳。映画オタクで親友のマットと自主制作映画を撮ったり、毎週土曜日に家で映画観賞会を開くのが習慣だ。ローレンスは、高校卒業後ニューヨーク大学に進学したいと願っていた。ニューヨーク大学は多くの有名映画監督を輩出しており、彼らに続きたいと思ったからだ。しかしそれにはまず大学に受からないといけないし、たとえ受かったとしても高額の授業料を払う必要があった。

たとえそうだとしてもローレンスはカナダの大学に行きたくはなかった。カナダの大学に行って平凡なカナダ人監督になりたくなかったのだ。

人付き合いが下手なローレンスは自分の思ったことをなんでも口にしてしまうところがあった。それはマットに対しても同じで、彼も卒業後ニューヨークに一緒に行きたがったが、ローレンスは卒業後は新しい人たちと出会うから、マットとは一緒に遊ばなくなるだろうなどと言う。すると、マットは当然気を悪くした。

さらにマットが片思いを抱いていた女子生徒を映画製作の編集者として仲間に入れようと提案すると、ローレンスは猛反対したのだった。それを機にローレンスはマットと距離を置くようになる。

ちょうどその頃、ローレンスはレンタルDVD屋でバイトを始めることに。そこの店長のアラーナはかつて女優を志したことがあった。しかしローレンスはアラーナが映画に対する情熱に欠けていることに気づき、自分はこんな場所では決して終わらないと思うのだった。

アイ・ライク・ムービーズのキャスト

  • アイザイア・レティネン
  • ロミーナ・ドゥーゴ
  • クリスタ・ブリッジス
  • パーシー・ハインズ・ホワイト

アイ・ライク・ムービーズの感想と評価

チャンドラー・レバック監督による映画オタクの高校生を主人公にした青春映画。2000年代頭のカナダを舞台に、冴えない男子高校生が夢と現実を天秤にかけながら成長していくコメディータッチの人間ドラマです。

無名俳優を集めた、低予算映画なので演技はややB級寄りですが、新人監督特有の初々しさとアイデアが感じられる好感の持てる作品。

若者の話だけど、今の若者向けというよりどちらかというと40代、50代の人たちに向けて作っているような気がしました。時代性から20代の人たちが見たらピンと来ない部分も多そうです。

2000年代初期といえばまだまだビデオとかDVDの時代で、当時の映画好きは当然レンタルビデオやDVD店に入り浸れていたわけで、そんな時代を生きてきた人ならノスタルジーを感じることでしょう。

レンタルビデオといえばその日に見る映画を店の中で選ぶワクワク感があったりとか、あれも見たいこれも見たいと思って店内を回っていたら何時間も過ぎていたみたいなこともあって、映画に詳しい店員との絡みがあったり、誰かと鉢合わせしたりっていうハプニングも含めて店に行くこと自体が一つの娯楽だったんですよね。

そういう思い出がある人が見たら、よりこの映画を楽しめるんじゃないかと思います。2000年代初期にちょうどカナダに住んでいたこともあって、自分にとってはすごく懐かしくなる映画でした。

主人公が当時流行っていた映画を次々と言及するんだけど、監督の映画の好みを挙げているような気配があって、当時から映画を見ていた人ならピンポイントの会話に自然と親近感がわいてくるはずです。ストーリー自体も監督自身の学生時代を反映させてるのかなあなどと想像しちゃいました。ちなみに監督は女性です。

主人公の少年は、若者特有の根拠のない自信と歪んだ劣等感と優越感を併せ持っていて、実績も実力もないけど、自己主張だけは人一倍強い性格の持ち主。共感とか感情移入できるキャラではありませんでした。イケてないナルシストってまあ見るに堪えられないじゃないですか。それでもまだ可愛げがあるのはやはり若さゆえなんですかね。あのぽっちゃりした体格も関係あるのかもしれないですね。いずれにしろ嫌味なところはありつつ、どこか憎めないキャラになっていました。

そんな主人公がニューヨークの大学進学を目指し、それと並行しレンタルDVD店で働くっていうだけなのになぜか普通に見れちゃうのは優れた脚本によるものでしょう。大学進学を目指すっていっても受験勉強を頑張るとかでもないし、高い授業料を捻出するっていう割にはそんなに頑張って働いている感じでもないんですよ。大きな夢は抱くんだけど、情熱はこれっぽちも感じられないっていうね。

終始とにかく緩くて、変化を求めている若者にしては、あんまり行動しないし、何が起こるということでもないけれど、ところどころの会話が心地よかったです。なにより一緒に店で働く年上の先輩店員たちが素敵ですね。

帰りに車で家まで送って行ってくれたり、店で寝泊まりさせてくれたり。DVDを売るノルマも低い低い。1日5本売れたらいいみたいな。新人が提案することも店長がすんなり受け入れてくれるし、あんな優しい店ならぜひ働いてみたいわ。

もうちょっと店長と主人公の関係が発展したら面白かったかもしれませんね。別に真剣な恋愛関係にならなくても主人公が店長にもて遊ばれて、勘違いしてもよかったかもしれません。初恋、または失恋の相手がレンタルビデオ屋の店長っていうのも悪くないでしょ。

主人公とお母さんの関係性はほどよく憎しみ、そして愛し合っていたのがよかったです。お互いひどいことを言い合ったりするんだけど本当は傷つける気はなくて、お父さんが亡くなってから親子二人で生きてきただけに何かが欠けているのを感じつつ、精一杯生きているのがじんわり伝わってきました。

なにかしらの喧嘩や衝突はあるものの、一切の暴力がなく銃も登場せず、性で売ることもしていないのが優秀で、そのせいかものすごく平穏な気持ちにさせてくれる映画でしたね。「クラークス」、「ハイフィデリティー」といった秀作を彷彿とさせる要素が強く、その一方でカナダを強く出しているのもいいですね。それもバンクーバーやトロントといった大都市ではなく、郊外の都市を拠点にしているのもセンスがあります。ラストシーンも主人公の成長を感じさせる終わり方になっていてなかなか味わい深かったです。いい映画でした。

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