未成年で金持ちの家に嫁いだ少女を悲しげに描いたひどい作品。どうせならエルビスをもっと極悪人に描いてくれたほうが面白かったです。27点
プリシラのあらすじ
1959年、14歳のプリシラ・ボーリューは家族とともに西ドイツのバート・ナウハイムに住んでいた。彼女の父親はアメリカ軍に所属し、ドイツに駐留していた。そんなある日、プリシラはパーティーに誘われ、そこで同じく軍隊でドイツに派遣されていた歌手エルビス・プレスリーと出会う。エルビスはキャリア絶頂のときに兵役義務を迎えていた。
エルビスはプリシラに即座に興味を持ち、プリシラもエルビスと出会えたことに心が躍った。年齢差もあってプリシラの両親は二人の関係に反対したが、エルビスは門限を守ってプリシラとデートし、両親にも真剣であることを告げていた。
やがてエルビスはドイツでの任務を終えてアメリカに帰国。しばらくプリシラと連絡を絶つも、1962年のある日突然またエルビスから電話がかかってくる。エルビスは自分の屋敷で一緒に暮らさないかと17歳のプリシラに提案する。プリシラの両親には高校は必ず卒業させるから心配しないでといって説得した。1963年、プリシラはついにメンフィス州グレースランドに引っ越し、新しい生活をスタートさせた。
グレースランドでエルビスと過ごす時間は楽しかったが、音楽活動があるときエルビスは何週間も家を空けることになり、その度にプリシラは寂しい思いをした。学校では友達は一人もできなかった。ほかの生徒たちは彼女をエルビスの女という目でしか見なかったからだ。そんなプリシラにとって唯一の心のよりどころはエルビスだった。しかしエルビスはプリシラを自分の理想の女のイメージにあてはめようとするだけでちっとも彼女の中身を見ようとしないのだった。
プリシラのキャスト
- ケイリー・スピーニー
- ジェイコブ・エロルディ
- ダグマーラ・ドミンスク
プリシラの感想と評価
「ヴァージン・スーサイズ」、「ブリングリング」、「マリー・アントワネット」、「ビガイルド 欲望のめざめ」、「SOMEWHERE」、「オン・ザ・ロック」、「ロスト・イン・トランスレーション」でお馴染みのソフィア・コッポラ監督による、エルビス・プレスリーの嫁の半生をつづったバイオグラフィー。
終始、エルビスとプリシラがボソボソ喋るだけの退屈な人間ドラマで、エルビスのこともプリシラのことも特に深堀りしていない浅いストーリーです。
ちなみにこの人がプリシラ・プレスリーです。
物語はエルビスが当時14歳だったプリシラとドイツで出会い、彼女が高校生のときにアメリカの自宅に呼び寄せ同棲を始め、やがて結婚し、子供を授かり、そして離婚するまでを描いていきます。
なにがつまんないってプリシラは本作の中でも主人公というより、やはりエルビスの嫁でしかなく、家でお留守番をするか、エルビスが家に帰ってきたらベッドでイチャイチャするかの二択しかないことでしょう。プリシラを描いているようでプリシラ目線のエルビスを描いているにすぎないんですよね。かといってエルビスの違った一面が見れたかというそうでもないし。
そんでソフィア・コッポラ監督が映画の中でよくやる、「私って女なのよ、私、寂しいの、だって女だし、一人だから」を全面に押し出してくるんですよ。自分がそうだからか、孤独な女が大好きなんだよね。そんでもってなんとなく、被害者ぶった感じがするんですよ。
プリシラはあまりにも若くしてエルビスと出会ってしまったばかりに、自分の意思でくっついたとはいえ、未熟な子供に違いないわけで、自分が所有物、あるいは奴隷のようになっていることにすら気づいていない気配がありました。そんな境遇に陥った彼女すらも悲劇のヒロインっぽく描いちゃうんですよね。
時代性もあるんだろうけど、両親はあの年齢の少女を一回りも年上の家に預けたりしちゃダメだよね。プリシラが自分でまともな判断ができないんだったら両親がちゃんと守らないと。娘がエルビスと結婚すればエルビスと親戚になれてハッピーとか思ってたのかな。金と名声に弱いよなあ人間って。
エルビスとプリシラの関係は今の時代なら年齢的な部分だけを見れば間違いなくアウトでしょう。交際スタートさせたとき14歳だからね。
ただし本当か、嘘か、エルビスは決して彼女に手を出さなかったんだそうです。ベッドでイチャイチャはするんだけど、絶対最後まではやらなかったとか。エルビスは硬派だから得意の腰フリダンスも使わず、プリシラが処女であることにある種の価値を感じていたらしく、結婚するまでは決して抱かなかったんだそうです。
逆にいえば外で散々複数の女とやってるから、自分の妻とやらなくてもいいっていう見方もできますけどね。いずれにしろ、やりもしない若いカップルがダラダラダラダラ甘ったる言葉をかけあうだけの時間は一体何を見せられているんだっていう感じがしないでもないです。
また、プラトニック大好き女ソフィア・コッポラが監督しているだけに、いざ二人が結ばれるっていうシーンもちゃんと見せません。だからじらしっぱなしなんですよ。それで気が付いたらいつのまにかプリシラは妊娠していたことになっていました。
そして子供が生まれてからエルビスは急にそっけなくなり、まもなくして二人は破局する、という感じで終わるんだけど、なに一つ深く取り上げてないからプリシラがなんで家を出て行ったのかよく分かりませんでした。ベッドで乱暴な感じで来られたのがダメだったんですか? 別れる理由なんてむしろ結婚前から山ほどあったのにあのタイミングで別れるのかよって。
なによりダメダメなのがロック界のキング、エルビス・プレスリーの音楽を全然堪能できなかったことですかね。もっとうまく音楽使えたでしょ。ラストの一番の見せ場で流した曲が「I Will Always Love You」だよ。なんでよ。離婚決意した女の表情とかぶせる曲じゃないだろうよ。
コメント
男には全然響かない映画だったけれど、女性客には響くんですかね?
何かこの監督も固定客狙いの「商業フェミニスト」みたいになってしまった感がある。
商業フェミニストですね、完全に
ラストの「I Will Always Love You」はオリジナルですね。
Dolly Partonのこの曲を後にホイットニーヒューストンがカバーしてます。
薄っぺらい点には同意します。
映画って難しいですね。
あれがオリジナルなんですね、ご指摘ありがとうございます