いつになったら面白くなるかなあ、と思いながら見ているとそのまま盛り上がりもなく終わっていく駄作。破天荒エピソード、感動エピソード、ちょっといい話などが一切ない、ただの平凡な少年の話です。10点
フェイブルマンズのあらすじ
1952年、ユダヤ系のフェイブルマン一家はニュージャージー州のハドンタウンシップで暮らしていた。ある日、母のミッツィと父のバートは息子のサミーを初めて映画館に連れて行く。彼が見たのは「地上最大のショウ」。映画の中で列車が脱線事故を起こす衝撃的なシーンがあり、そのシーンがサミーにトラウマとも感動ともいえるショックを与える。
まもなくしてサミーは電車の玩具を両親に買ってもらうが、映画の脱線シーンを再現したいと強く思うようになる。しかしそれをするとせっかくの玩具の電車が壊れてしまう。見かねた母親はサミーにビデオカメラを買い与え、脱線シーンを録画するように助言する。
そこからサミーの映像に対する興味が深まり、気づけばカメラを手放せなくなっていった。しかし父親のバートはサミーに趣味や空想の世界ではなく、社会に役立つことをしろ、といって息子の映画制作にはあまり賛成ではなかった。
そんなある日、バートが新しい職を得て一家はアリゾナ州フェニックスに引っ越すことになる。
フェイブルマンズのキャスト
- ガブリエル・ラベル
- ミシェル・ウィリアムズ
- ポール・ダノ
- デイヴィッド・リンチ
- セス・ローゲン
- ジャド・ハーシュ
フェイブルマンズの感想と評価
スティーヴン・スピルバーグ監督による、自身の幼年時代から思春期を描いた自伝的作品にしてアカデミー賞のノミネート作品です。
評価はそこそこ高いもののアメリカ国内では赤字になった、ということからどれだけヒットに値しない映画が想像できるかと思います。わざわざ映画にして語るほどでもない出来事の数々をダラダラと約2時間半もかけてつづっていて、これが本当に世界を代表する映画監督スピルバーグの半生なのかよ?と思うぐらい退屈でした。当然自分で撮ってるから美化しているだろうし、脚色もしているだろうけど、それでこのつまらなさだから、実際はもっとつまらなかったんだろうなあ。数あるバイオグラフィーの中でぶっちぎりワースト1じゃないかな。
幼少時代にカメラを手にした少年が映像制作に夢中になっていくくだりはまあいいでしょう。ただ、それ以外にスピルバーグ、あるいは彼の未来の作品とリンクしていくものはほとんどなく、なぜか話が脱線して両親の関係、特に母親にばかりフォーカスしていきます。
やれお母さんが別の人に恋をしていたとか、お母さんがピアノを弾くのが好きだったとか、踊るのが上手だったとか、急に竜巻を見に行こうとするほど衝動的な人だったとか、そんなどうでもいいことばかりを取り上げていたのにはびっくりしました。
家族の会話やエピソードがとにかくしょうもなく、どうでもよく、面白みがなく、ダレます。もっとぶっ飛んだ家庭に生まれて、あの想像力が培われたのかと思いきやもしかすると退屈によって育った才能なのかもしれませんね。
ユーモアも少ないし、ものすごく淡々としていて、かといってハートフォーミングなわけでもないからどういう気持ちで見ればいいのか困惑します。
中盤以降になると家族ドラマがチープな学園ドラマへと変わっていき、ユダヤ人であることでいじめにあったとか、初めて恋人ができたとか、もうほんと映画制作となんの関係があるんだよっていう話になっていきます。主人公が仲間を集めて映画撮影をしていたことや、ときどき学校で映画上映をして生徒たちを沸かせていた、というエピソードが唯一才能の開花や未来を暗示させるんだけど、それ以外はほんとなくてもいいエピソードばかりで脚本というか、実体験のチョイスが絶望的にひどいですね。
唯一面白いといえるシーンはラストシーンですね。デイヴィッド・リンチ扮するジョン・フォード監督と主人公の青年が対面したとき、ジョン・フォードがこう言います。
「(芸術作品は)地平線が上にあるときは面白い。地平性が下にあるときも面白い。地平性が真ん中にあるときはつまらない。分かったなら早くここから出てけ!」
わずか一瞬にしてジョン・フォード監督が主役の座を奪っていて笑えました。これジョン・フォード監督の自伝だろ。
コメント
興味深い感想でした。
このブログではフェイブルマン少年の話にフォーカスした感想をまとめられていますが、自分は「映画を撮ることの功罪(母親のあれや、学校のいじめっ子のあれなど)」について、映画を美化せず真摯に向き合っている点で素晴らしいと思いました。
今作はかなり明確に「映画を撮ることの贖罪」についての物語でしたが、映画男さんはそれについてどのように感じられましたか?本文では触れられていなかったので、映画をよくご覧になっている貴方にその点ぜひお聞きしたいです。
こんばんは。
映画男さんのブログ、いつも楽しみに拝見しております。
もし機会がありましたら、「ひらいて」という映画の感想をお聞きしたいです。どうかよろしくお願いいたします。
機会があれば見てみますね
思っていた内容とはだいぶ違っていてびっくりしましたー。
スピルバーグ青年がカメラを持って映像制作しているシーンは、スピルバーグがスピルバーグ監督になっていく様子が伺えてワクワクしたのですが、いきなりそう珍しくもない家庭問題見せつけられて、そのまま終わって、えーっとなりましたw
こんなに詳細に家族の事を描きたかったのなら、Netflixとかで連続ドラマにしたらよかったのに。
家庭問題の部分はカットでよかった
たしかにつまらなかったというか
あのひどい毒母親をどう美化しようとも虫酸が走って感情移入できなかったわ