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愛する人に伝える言葉は嘘っぽい闘病ドラマ!ネタバ感想

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もうちょっとで名作になりかけては途中で脱線してしまった惜しいフランス映画。優しすぎる病院の話で医療機関で働くの人が見たら、笑っちゃうレベルかもしれません。50点

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愛する人に伝える言葉のあらすじ

バンジャマンは39歳にして名医のドクター・エデからステージ4の膵臓癌を宣告される。それもいまから治療することは不可能だと診断されるほど症状はひどかった。

バンジャマンに残された選択はわずかだった。化学療法を勧められたが、わずかな延命措置のために苦しむのは嫌だと彼は躊躇していた。

一方、バンジャマンの母クリスタルは最初から息子の治療に付き添い、最善の選択をしてあげたい気持ちで一杯だった。息子が弱っていくのを見るのは耐えがたく、自分になにか非があったのではないかと責める日々が続く。そんな中、バンジャマンのオーストラリア人との間に生まれた生き別れた息子が病院を訪れる。

愛する人に伝える言葉のキャスト

  • カトリーヌ・ドヌーヴ
  • ブノワ・マジメル
  • カブリエル・サラ
  • セシル・ド・フランス

愛する人に伝える言葉の感想と評価

「パリ警視庁:未成年保護特別部隊」の脚本家エマニュエル・ベルコが監督した、フランスの闘病ドラマ。

若くして末期癌になった男性の最期を感動的に描いた作品で全体的には優しくていい話ですが、若干感動ポルノ寄りのところがあり、現実味はあまりなかったです。

主人公の男性は俳優で、現在は若者たちに演技指導をしている講師。彼は癌になったことを生徒たちには言わず、残された時間をできるだけ普通に過ごしたいと考えています。しかし症状は悪化の一途をたどるばかりで、彼は大急ぎで終活することを迫られます。そして死の恐怖に耐え名医のドクターに相談しながら闘病生活を続けていくうちに自分が認知しなかった息子のことを思い、自分のやり残したことに気づいていく、というのがストーリーの流れです。

中盤ぐらいまではとても感動的でとにかくハートウォーミングです。ドクターは医者の鏡ともいえる患者一人一人にしっかりと向き合ってくれるキャラに仕上がっていて看護師たちも患者のために涙を流すほど熱心な人ばかりです。患者たちに癒しを与えるために病院にはミュージシャンまで駐在していて、至れり尽くせりなんですよ。そんな病院を見て人生の最期を過ごすならこんな病院がいいなあと誰もが思うんじゃないでしょうか。

そして若くして余命わずかであることを宣告され、やり残した仕事もたくさんあり、まだまだこれからというときにこの世を去らないといけない主人公の心境を考えると、涙なしでは見れません。

俳優たちの演技も素晴らしく、脚本も途中までは文句なしです。特に主人公が演技指導をしているときのワークショップの生徒たちの演技がかなりハイレベルでしたね。演技の中で、さらに演技をするっていう難しいことをいとも簡単にやってのけているのが驚きでした。

そんな全体的に完成度の高いはずの作品が中盤を過ぎたあたりで突然ボロを出し始めます。あろうことか主人公の患者と美人看護師がイチャイチャしだし、看護師のほうから患者の胸に顔をうずめ、涙を流したかと思うと、患者にキスをするのです。

それだけでも倫理上アウトだと思うんだけど、美人看護師は挙句の果てに手で患者のあそこをしごきだし、極上の奉仕をする暴挙に出るんですよ。いくらなんでもサービスが行き届きすぎだから。あんなことしてしまったら次会う時に彼女はどんな顔して患者と向き合うのよ。

案の定、それ以来美人看護師の登場機会は減り、最後のほうでしか顔を出さなくなるんですが、なんであんな余計なシーンを入れたのか理解に苦しみます。あんな素晴らしい病院があるなら今からでも入院したいよ。

そしてそれを皮切りに、「あれこの病院なんかちょっとおかしくない?」という疑問が浮上し、一事が万事嘘っぽくなってしまうのです。

だってさそもそも名医とも呼ばれるドクターがほかにも患者がいっぱいいる中で患者一人にあんなにゆっくり時間を使えないよね? 患者に時間を取るだけならまだしも、オーストラリアからやってきた息子にまで「お父さんと会ったほうがいいよ」とかみっちりアドバイスしだす始末で、個人の携帯の番号とか教えちゃうし、お医者さんの域を完全に超えちゃってるんですよ。

また、主人公とドクターの胸熱な関係性ばかりにフォーカスしているせいで母親と主人公の親子関係が描き切れておらず、カトリーヌ・ドヌーヴを無駄遣いしている印象も受けますね。

お母さんがただの付き添いのおばちゃんみたいな扱いで、母親目線で息子を失うことの辛さがあまり伝わってきませんでした。主人公も含めてお母さんも周囲の人も一度も取り乱すこともなく、常に冷静で紳士だし、まるで禅を極めた人々のような描写はちょっとありえないですね。

さらに生き別れた息子や片思いっぽい生徒まで出してくるから、もうなにがなんだか分からなくなってきて全然孤独な中年男の悲しい死の話じゃなくなっていくんですよ。

美人看護師にはご褒美もらえるは、20代のピチピチの生徒からはアプローチされるは、養育費も払ってない息子からはギターを弾いてもらえるは、お前、むしろ幸せ者だろって。もはや「ずるい!」ってほかの患者さんたちから言われても仕方がないぐらいのレベルですよ。

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