ちょぴっと難解なアート系ホラー映画。これ以上、訳わからなくなるともう無理っていうギリギリの線を行く作品で、僕は楽しめました。55点
MEN同じ顔の男たちのあらすじ
ハーパーはイギリスの静かな田舎町に家を借りて2週間一人でゆっくりしようと考えていた。というのも彼女は夫のジェイムスを自殺で亡くしたばかりで、そのことが頭から離れなかったからだ。ジェイムスとは離婚するつもりだったが、それが理由でジェイムスは命を絶ってしまったのだ。自分に責任がないとは分かっていてもハーパーはどうしても自責の念や後悔、といった負の感情に包まれた。
そんな中、リフレッシュするためにやってきた田舎町でハーパーを大きな屋敷で過ごすことにする。大家のジェフリーに家の中を案内してもらい、やっと一人になると、ハーパーは森の中を散歩に出かけた。するとどこかともなく男が現れ、ハーパーのことを尾行してくるのだった。
男は衣類を身にまとっておらず全裸だった。ハーパーは警察を呼んで男を捕まえてもらうも誰も親身になって聞いてくれる対応してくれそうにはなかった。やがてハーパーは次々と不気味な出来事に見舞われ、村を逃げ出そうとするが、、、、
MEN同じ顔の男たちのキャスト
- ジェシー・バックリー
- ロリー・キニア
- パーパ・ エシエデュ
MEN同じ顔の男たちの感想と評価
「エクス・マキナ」、「アナイアレイション」などの作品で知られるアレックス・ガーランド監督によるシュールなSFホラー。
傷心旅行のために訪れた田舎町でヒロインが、同じ顔をした様々な男たちと遭遇しながら自殺した夫によって受けたトラウマと向き合っていく様子を描いた物語で、恐怖と芸術と意味不明さが絶妙にミックスされた作品です。
ジャンル的には、「レリック」、「ポゼッサー」、「セイント・モード」といった作品と似ていて、分かるようで分からない。でも全く意味不明なわけではない、といった類のホラーです。
「Nope」のようにメタファーとか、聖書の引用といったお約束の芸術路線ネタが多く使われているのはマイナスですが、本作がまだましなのはホラーシーンがしっかり怖いところです。グロいシーンも容赦ないし、気持ちの悪いシーンも多く、ホラー映画として基本的な部分で手を抜いていないのが分かります。裸のおっさんが庭にいたりとか、出産のシーンとかなかなかの気持ち悪さでしたね。
序盤は大分スローですね。テンポの悪さで損してる感が強く、もっとエンタメ寄りにしたほうが売れたでしょう。トンネルのシーンとか、教会のシーンとか、あんなに時間を使わなくてもいいよね。
その一方で序盤に種を巻きつつ、気持ち悪いキャラを小出しにしていって中盤から一気にホラーシーンを畳みかけてくるのが痛快で、前半のスローなところを盛り返すだけの強さが後半にありました。
物語の解釈の多くは視聴者に委ねられていて、一体なぜ村で登場する男たちの顔が全員同じ顔をしているのかをまず考えるのがポイントとなりそうですね。
あれは夫によってトラウマを受けたヒロインのハーパーからしたら、どんな男も同じに見えるという心理状態の表れだったのか。あるいはいずれの男も特定の男ではなく「男社会」全体の闇や悪を同じ顔をしたひとりひとりがさらけ出していたのでしょうか。
一人一人の男を見ても、まあ実際にいそうな嫌な男ばかりじゃないですか。セクハラ男、女性差別男、女性蔑視男、女性の言うことまともに聞かない男、などなど。女性なら「うわあ、こういう男いる」って思うんじゃないでしょうか。
そしてそんな男たちの悪と向き合うことは、すなわち夫と向き合うことでもあったのでしょうか。思えばジェイムスはダメな男の代表格のような存在でしたね。夫というより、まるで子供のようなわがままを押し通そうとしてはハーパーを困らせていました。俺と別れるんだったら死んでやるとか。
ジェイムスはハーパーの妻としての愛を求めていたというより、母性に近い無条件の母親の愛のようなものを望んでいて、それに応じてくれなかったら暴力を振るうとか最悪なパターンじゃないですか。そんなのに付き合いきれないのは当然で、あいつとはハーパーは別れて正解ですよ。死にたければ勝手に死ねって話なわけで。
でも実際のところ本当に死なれるとやっぱり人間だからハーパーのように責任を感じてしまうんでしょうね。ハーパーはなにも悪くなくても、もっと自分がこうしておけば死なずに済んだじゃないだろうとか考えだしたら、深い暗闇へと落ちていきそうですもんね。
散々苦しんだけど、ラストにハーパーの笑顔が見れたのが唯一の救いじゃないでしょうか。あのとき彼女はトラウマを克服したと僕は受け取りました。まあ、そもそもあんなやばい町に来てしまったら、もっと早く逃げようぜっていう話なんだけどね。
コメント
ちゃんと怖くてちゃんとグロくて、意味不明さももちろんありますが面白かったです。
同じ顔しか出てこないってあんなに不気味なんですねw
そもそも年齢のせいか外国人の顔の見分けがつかない。黒人以外の男は管理人も警官も神父もお面の子供?も同じ顔なの?主人公がそこのとこの反応が無かったから。
田舎の景色は綺麗。
ストーカー気質の死んだ旦那の怨念を引きずってその亡霊に悩まされる話。
嫌な男ばかり出てくる。
最後に来た友達もお腹が、大きかった様な。
外国人の顔の見分けがつかないっていうのは、外国人が日本人の顔の見分けがつかないというのと似たところがありますね。年齢のせいなのか、多人種の顔は認識しずらいのか。いずれにしろそれができないとそもそもこの映画の趣旨は理解しがたいですね。