地味に面白いオーストラリア映画。美男美女がイキりまくるっていうことがなく、静かに事件を解決していく成熟した視聴者向けのエンタメ作品です。59点
渇きと偽りのあらすじ
連邦捜査官のアーロンは、かつての親友ルークが起こしたとされる殺人事件を聞きつけ、乾燥地帯である故郷のビクトリア州キエワラにやってくる。なんでもルークは自分の妻のカレンをはじめ、長男を銃殺し、なぜか赤ん坊の次男だけは生かしておいたということだった。最後はルーク自身も自殺した。
しかしアーロンはこれを家族殺しの末の自殺と扱うのに抵抗があった。そこで地元の警官とともに独自に捜査を進めていくことにする。
ところがアーロンはかつて自分の恋人エリーが川で溺死したことに関わったのではないかと疑われていて地元の人々からは白い目で見られていた。そのせいでなかなか人々から協力を得られず、捜査は難航した。
そんなある日、アーロンはある書類から重要な証拠を突き止める。
渇きと偽りのキャスト
- エリック・バナ
- ジュネヴィーヴ・オライリー
- キーア・オドネル
- ジョン・ポルソン
渇きと偽りの感想と評価
ロバート・コノリー監督による、オーストリアの乾燥地帯を舞台にした犯人捜し殺人事件もの。小さな田舎町でおきた奇妙な事件を解決していく、見ごたえのあるサスペンススリラーです。
友人は家族を殺して自殺したのか、それとも他殺か、というのを主人公の捜査官が調べていき、やがて答えを突き止めていくまでを描いた推理ストーリーで、よくある刑事ドラマのカーアクションやシューティングなど大げさなアクションなどが一切ない大人向けの作品です。
怪しい地元の人々たちとのやり取りを通じて徐々に容疑者のアリバイや証拠が明かされていく作りになっていて、メインの殺人事件と並行して過去に起きた恋人の溺死事件の記憶をたどっていくパラレルストーリーになっています。つまりある意味、二つの事件を同時に主人公が解決していくことになります。
二つの事件はリンクするのか、しないのかというのも重要なポイントになっているんですが、オチに関してはちょっと拍子抜けする部分もありました。またそんな事件、視聴者は推理しようがないよねっていう付いていけないパートもありました。たまたま帰った土地の事件の捜査を自分本位に捜査できるのか、そんな権限が連邦捜査官にはあるのかどうかも怪しいところです。
伏線とミスリードを多用していてちょっとミスリードの比重が多すぎるというのも気になりますね。これであともう一つグロさとか、不気味さ、色気が増せばなあ、という物足りなさも正直ありました。どうせなら幼馴染の女性とはもっといやらしいことをして最後までいってもよかったよね。あともっと悪そうなキャラの数を増やしてもよかったですよね。ミスリードに使われている容疑者候補も少数だしね。
その一方で脚本、演技はしっかりしていて、突っ込みどころはありつつもリアリティーはあるので最後まで普通に楽しめる完成度にはなっています。ハリウッド映画とはまた違った地味さが際立っていて、それが逆に本作の個性や良さになっていました。主人公が一回も銃を抜かない刑事ドラマってなかなかないですよね。そもそもアーロンは銃を携帯すらしていなかったんじゃないのかなぁ。凶悪事件を頭脳だけで解決するつもりだったんでしょうか。
舞台が都会ではなく、西部劇に出てきそうな乾燥地域っていうのもいい味出しています。地元住人のつながりが密な地域では凶悪事件が起きても人々が揉み消したり、警察に協力しなかったり、ということがありそうなので、そんな村社会の雰囲気がまた怖さを引き出していました。
砂だらけでいわば無機質な景色ばかりの連続なんだけど、スリラー映画としては絵的にマッチしているし、映像にもセンスの良さを感じました。あの寂しげな感じが好きです。住みたくはないけど。
なので事件ものが好きな人にはおすすめできると思います。特別なにか見たい映画があるわけじゃないけど、なんか映画見に行きたいなあっていうときに見る映画ですね。
コメント
シンプルかつストイックな良作刑事ドラマという印象。
下手くそな監督が撮ったら、主人公と幼馴染の男女関係をネットリ描写したり、幼馴染4人組の死んだ女の子の家庭内性的虐待とかをクドクド描いてシツコい映画になっていたと思う。
こういうのが観たいんですよ、変な「政治的メッセージ」とか要らんのです。
これなかなかいいですよね
久々に硬派なサスペンスを見た感じがしました。
犯人や動機なんかはある程度読めるし、目新しいものはないようにも思うのですがジワジワとじっくり見せる演出が良かったです。
田舎特有の閉塞感、人々の嫌なネットリ感が干上がったカサカサの街と相まって、嫌悪感をしっかり感じれましたw
オーストラリアではヒットした様で、続編が作られているそうです。
続編出るんですね、どうなることやら