普段テレビドラマしか見てない人向けの典型的な低レベル邦画。演技、演出、プロット、脚本、全部ダメダメです。7点
前科者のあらすじ
佳代はコンビニで働きながら元受刑者の更生を助ける保護司の仕事をつとめていた。国家公務員ながら保護司には報酬が払われなかった。それでも佳代は第二の人生を真っ当に送ってもらおうと必死で元受刑者たちと向き合おうとした。
そんなある日、佳代はかつて殺人を犯した工藤誠を担当することになる。工藤は口数が少なく黙々と働くいたって真面目な男だった。自動車修理工場のオーナーからも気に入られ、保護観察期間が終わったら正社員にしてあげると約束してもらっていた。
ところが保護観察終了前の最後の面談に現れず、工藤は忽然と姿を消してしまう。奇しくも同時期に連続殺人事件が起こる。
前科者のキャスト
- 有村架純
- 磯村勇斗
- 若葉竜也
- マキタスポーツ
- 石橋静河
- 北村有起哉
前科者の感想と評価
読者のERさんのリクエストです。ありがとうございます。
「あゝ、荒野」、「二重生活」などで知られる岸善幸監督による社会派人間ドラマ。元受刑者の更生を助ける保護司を主人公にした典型的なダメ邦画です。
評価が高かったので見ましたが、ふたを開ければ過剰演出、リアリティーなしのストーリー、ダラダラのテンポ、ボソボソ喋りからの怒鳴りの応酬、といったマイナス要素にしか目が行かず、とても褒められたもんじゃないです。
あまり知られていない職務、「保護司」に焦点を当てたのは目の付け所がいいです。それは「おくりびと」が納棺師という職業を紹介したのに似ています。ただどちらも職業のチョイスだけセンスが良いだけでその描き方がいかにも映画的なのが残念です。
冒頭のシーンでヒロインは保護観察中の元受刑者のアパートを訪れるんですが、居留守を使われていると知ると、いきなり傘で家のガラスを割るんですよ。普通に犯罪だからね。更生を手助けするっていう人が初っ端からアウトローなことしてどうするんだよって。なんならお前が受刑者になっちゃうよ。
ヒロインの仕事に対する情熱を描きたかったんだろうけど、そんな見せ方しなくてもいいのにね。ヒロインのキャラ設定において最初からつまづいてるんですよ。
なんだよ、あの眼鏡。眼鏡かけて地味な色の服着てたら真面目な女でしょ?みたいな発想が古いんだって。だったらもともと地味な女を起用すればいいじゃん。だいたい20代の女性じゃなくていいしね。50代ぐらいでちょうどいいよ。なんだよ28歳コンビニ勤めの独身美人保護司って。こっちが相談受けてえよって。
それからは特に興味深いエピソードもなく、保護司が主人公なはずなのになぜかずっと元受刑者の不幸エピソードばかりに時間が割かれます。それも保護司の目を通じた元受刑者の話にすらなっていません。ただただ元受刑者たちが過去につらい思いしたねっていう話です。2時間13分もあるのに保護司ネタが少なすぎるんですよ。なんなら保護司がいなくても話が全然成立してしまうレベルです。
保護司の話といったら終盤に「どうして私が保護司になったのか」のきっかけ不幸エピソードぐらいで、それも誰も聞いてないのに自分からいきなり話しだすからね、「実は私、昔強姦に襲われて」とかなぜ今このタイミングで?っていう突発的カミングアウトをするんですよ。それで「私もつらい思いしたからあなたも頑張ってね、ラーメン食べようね」みたいなまとめ方をしてくるのに違和感しか覚えませんでした。ラーメン一緒に食べても大して会話できねえだろうがよ。
挙句の果てには途中から兄弟の犯罪劇に変わっていき、警察が連続殺人犯を捕まえる映画に様変わりします。え、なんで? 保護司関係ないじゃん。なんなら保護司を職場の上司にしてもいいし、面倒見のいい学生時代の先輩にしてもいいし、なんでもいいよね。
劇中で起こる連続殺人事件は警察の銃を奪った兄弟の弟が昔自分たちにひどいことをした人々に復讐をしかけていきます。それがまたプロの殺し屋かよっていうぐらい躊躇なく全員を一発で仕留めるんですよ。それもかなり昔の遺恨なはずなのに本人確認もせずじゃんじゃん殺しちゃうところがさすがです。あれで人間違いだったっていうケースがひとつでもあればまだリアリティーが出るんだけど、夜道を歩いている人とかどうやって特定したんですかね。
犯人も犯人なら警察もまた笑っちゃいます。多くの人を銃殺した犯人を包囲しておいて、いざ犯人が銃を抜くと「おい、こいつ銃を持ってるぞ!」とか言ってびびって抵抗しなくなるっていうね。もともとそのつもりで捕まえに来たんじゃないのかよ。なんであんなに人数いて人質もいないのにすぐに銃で反撃しねえんだよ。それも最後はまた銃を奪われちゃうしコントにしか見えませんでした。
保護司と元受刑者の距離感もなんか不気味でしたね。もっとサバサバしてていいと思うんですよ。それがどういうわけかヒロインはすごいノリノリで対象者に近づいていくのが嘘っぽいです。なんなら抱かせてくれるんじゃねえのか?っていうぐらいアワヨクバ感すらさせてしまうのは職業倫理上どうなんでしょうか。特に異性の元受刑者にプライベートでご飯行きましょうとか絶対ダメだろ。それと対象者を自宅に入れてお酒を飲むなんてもってのほかだぞ。ガードゆるすぎ。一体なんのボランティアだよ。
コメント
こんにちは。本作、ご覧になったのですね。
私も、あんなに若い保護司は「ありえない」と思いました。※現に、映画男さんのツイートのレスでも、レビューサイトでも指摘されている方がいました。別にフィクションはフィクションでいいけれど、ここまでズレてると、あまりにも現実感が無さ過ぎて、醒めました。
しかも、2人の距離感と感情変化があまりにもバグり過ぎてて、そこに引っかかってしまったので、話に集中出来なかったです。極めつけは自宅に入れたシーンで??でした。「いやいや危険だよ!」としか思わなくて。
本作も、「ヤクザと家族」もですが、社会派映画にも関わらず、全体的にキャストありきな感じが否めません。やはり、邦画の社会派映画のレベルはここなんだなぁ…と思い知らされました。
これで酷評ならまだしも変に評価されてしまうから嫌ですね。
リクエストしたERです。
観てくださってありがとうございます。
とても酷評ですが、わざわざ時間を割いて観てくれたってだけで嬉しいもんですね。
リクエストしましたが正直、私も映画は微妙でした。
ドラマ版とは何か別物に感じました。かと言ってドラマも観る気はしないと思いますが…。
主役に(今回は保護司役)若い女性俳優を使うのは日本ドラマのお決まりなんでしょうかね。
100歩譲って仕方ないとして、仕事内容は無報酬で前科者の更生を支援と聞くだけで、やりたい人は中々いないと思うので、元受刑者の話中心になってしまったのでしょうね。
きっと私と映画男さんとは観て評価するポイントが違ったのだと思います。
人って強くて賢い人ばかりじゃないから、無知だったり気が弱かったり、追い詰められたりで犯罪に手を染めてしまう人もいるんですよね。
それを「無知は罪」「断らない方が悪い」で切り捨てずに、無報酬でもそんな人達に寄り添おうとする人がいる事に世の中捨てたもんじゃないなって知るキッカケになったから観て良かったと思いました。
本当に純粋に赤の他人の為だけに怒ったり、泣けたりする人って貴重です。
長々と失礼しました。
リクエスト&コメントありがとうございます。そもそも報酬しっかり払ったらいいのにねえと思いました。無報酬であんなに大変なことする人がいるってすごいですね
この映画見てないんですがずっと気になっていました。
というのも、この設定だとおそらく保護司は元受刑者にシンパシーを感じる展開があるはずで、
つまり保護司も社会に馴染めない異質な存在であるのが自然で、
なのに保護司と犯罪者という正反対な立場になった理由とはなんなのか、
それをとりまく社会の問題とは何なのか……
という展開があると思っていたんですけれども、
そんなことはなかったっぽいですね。
まともな脚本家ならこういう流れはあたりまえに組み込むはずだし、
素敵な脚本家ならそこからさらにツイストを入れてくると思うんですけれどもねぇ。。。
清純派女優が年齢を重ねて色気を出してきた今、
反社会的な内面を秘めているという匂わせをすれば世の男女のこころのちんこにも訴えかけられて一石二鳥なのに!
見なくて正解だと思います。人物描写があまいので全然話に入っていけなかったです
こんな若い保護司はありえない、設定が現実的じゃないとか意見あると思いますが、原作がそもそも漫画なので…割とトンデモになってしまいます。
上のコメントに
>主役に(今回は保護司役)若い女性俳優を使うのは日本ドラマのお決まりなんでしょうかね。
とありましたが日本ドラマが悪いわけじゃないのです…原作通りなのです…
保護司にリアリティを求めるのであればNHKプレミアムドラマの「生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔」がおすすめです!
主役は舘ひろしで元教師というしっかりした設定なので!
原作、そんなに漫画チックなんですね。
ありかすちゃんが好きなので楽しく観ました!
彼女繋がりで「ちひろさん」観ましたか?ネトフリであるので、ご興味があって観たら感想聴きたいです。私は原作ファンなのですが、
がっかりして途中でやめました。
(すみません、リクエストフォームがわからないので、こちらで。)
機会があったら感想書きますね