思わせぶり、なんちゃって、雰囲気、メタファー連発ホラー映画。シンプルに作ればいいものを隠れたメッセージ性や風刺にこだわりすぎて方向性を見失った駄作。デビュー作で評価され、作品を作るごとに酷くなっていくダメ監督の典型的な例といえます。10点
NOPE/ノープのあらすじ
ヘイウッド一家は静かな牧場でテレビや映画で起用される馬を飼育していた。ところがある日、父のオーティスは空から落ちてきたコインが目に刺さり、命を落としてしまう。それはまるで目に見えない超常現象のようだった。
半年後、父を亡くした息子のOJと娘のエメラルドは代々受け継がれてきたビジネスをなんとか二人でやりくりしようとした。
二人は著名な監督によるCM撮影のために馬を連れてスタジオに行ったが、馬が暴れてしまい仕事を失ってしまう。
なんとか牧場を維持するために兄弟は近くにあるテーマ・パーク、ジュピターズ・クレイムのオーナーであるリッキー・“ジュープ”・パークのところに行き、馬を売ることにする。
ジュープはかつて子役俳優でチンパンジーが出演する人気のコメディードラマに出ていた。しかしドラマのセットでチンパンジーが狂暴化する悲劇が起こり、今もそのことがトラウマになっていた。
ジュープはOJに牧場を買う提案をもちかけた。エメラルドはOJにそうするように提案したが、OJはそれに乗らなかった。彼は家族のビジネスをなんとかして受け継ぎたかったのだ。
しかしそれからOJとエメラルドは牧場で次々説明のつかない超常現象を目の当たりにすることになる。
NOPE/ノープのキャスト
- ダニエル・カルーヤ
- キキ・パーマー
- スティーヴン・ユァン
- ブランドン・ペレア
- マイケル・ウィンコット
NOPE/ノープの感想と評価
「ゲット・アウト」、「アス」などで知られるジョーダン・ピール監督によるUFO・エイリアン系ホラー。
多くの社会風刺と聖書の引用と暗示をたくさん織り交ぜた結果、なにがしたいんだかさっぱりなただのつまらない恐怖映画に仕上がっています。
上映時間が2時間10分あるんですが、2時間半にも3時間も感じられるほど長く、ストーリーもなかなか先に進みません。最初の40分は何も起こらず、ずっとフリと意味深なサイドストーリーが続くだけでその時点でかなり眠くなります。
1時間ほど過ぎたところでやっと恐怖の出来事が起こり始めるんですが、そのほとんどが暗いシーンの中で突然物音がするといった程度の演出ばかりで、これでどうやって怖がればいいんだろうとしか思えませんでした。
早い話が牧場に住む兄弟にUFO+エイリアンが襲い掛かってくる話で円盤型のUFO自体が生命体として機能していて普段は雲の中に溶け込み、攻撃態勢に入るとクラゲのように宙をヒラヒラと舞います。
そのクラゲが掃除機のように攻撃対象を吸い込んでいくんだけど、なぜか目を合わせると狙われちゃうんだってさ。だから「見るな、見るな」と登場人物が叫ぶんですよ。馬と目を合わせると威嚇になるからエイリアンも同じだろうって滅茶苦茶な理論を振りかざしてきます。
しかしながらなぜ掃除機クラゲを見たら攻撃されるのか、そもそもなぜ掃除機クラゲがそこにいるのか、などについては一切触れず、それは置いておいてとりあえず戦おうみたいなノリで、いつの間にかミニインデンペンスデイのようなエイリアンVS人間のスケールの小さい戦いが繰り広げられます。
ここまで来ると映画館を出るか、この意味不明な戦いに付き合うかの究極の選択に迫られることになるんですが、最後まで見ても結局なんのエンタメも芸術も感じられないでしょう。
ほのめかし雰囲気SFエイリアン映画という意味では「メッセージ」と似てますね。どっちがむかつくかで言ったらかなりいい勝負だと思います。
自分の家の上空にエイリアンがいて危険が迫ってることを承知なのに、それを命がけで映像に収めようとする兄弟のジャーナリズム精神が理解できないんですよ。いつからあいつらはあんな勇敢な人間になったの? 最初は金目当てだったのが、途中から英雄さながらにエイリアンに立ち向かっていくのが笑えます。特に妹のエメラルドね。家族愛に溢れるわけでも馬たちを救いたいわけでもないんだったら逃げればいいじゃん。
エメラルド役を演じたキキ・パーマーの喋り方がわざとらしいキンキン声で、まあ鬱陶しいです。妹がそれなら兄貴役のダニエル・カルーヤはボソボソ喋ってちゃんと聞き取れないとし、二人ともダメダメだね。
最後、ポラロイド写真にエイリアンを撮れたのはいいけど、それと引き換えに何人も死んじゃったら本末転倒じゃない? どうでもいいけど、なんであんなに強かったエイリアンがバルーンを呑み込んだだけで死んじゃうんだよ。強さの設定が滅茶苦茶だろ。
チンパンジーのシーンも辻褄が合わないです。ドラマの撮影中にチンパンジーが暴走したんだったんだらあんなふうにならないでしょ。チンパンジーは狂暴かもしれないけど、人間よりも小さい子供のチンパンジーが暴れて、誰かに襲い掛かったら普通助けるでしょ。なんでセットで女性が倒れた状態でスタジオから全員避難して誰もいなくなってんだよ、それも子供まで置き去りにして。カメラマンとかプロデューサーとか監督とかどこに行ったよ。
そんでこんな滅茶苦茶な話の言い訳としてメタファーだとか、暗示だとか、風刺だとかという便利なワードが使われがちなのがまた腹立つんですよね。やれハリウッドで搾取される人々や動物を表してるとか、やれスペクタクル(見せ物)を追求した結果、モラルが失われるとか。やれエイリアンは白人を表していて黄色人種を呑み込んでは吐き捨てていく社会を反映させてるだとか。ほんと、そんなのいらないからちゃんとストーリーで楽しませて。
コメント
こんにちは。本作、ナイト・M・シャマラン監督作品かと思っていましたが、違うんですね。超常現象や、聖書をモチーフにした所が似ています。
こういう作品で脚本がとっ散らかると、訳わからなく感じます。別に、「超常現象そのものは謎でも良い」のですが、肝心のキャラの行動原理が意味不明だったり、設定がガバガバで解決方法がグダグダだったりすると、残念に思います。
もろシャマラン映画もどきですよ。訳の分からなさとか、自己満な感じが。
お返事ありがとうございます。
確かにもろシャマラン作品ですね。※監督のお名前ですが、M・ナイト・シャマランでしたね。ファーストネームとミドルネームを逆にしていました、失礼致しました。
追伸:リコリス・ピザとエルヴィスの記事にもご返信ありがとうございました。
昨日、劇場で観てきました。
チンパンジーの話まるまるカットでも全然問題ないし、ただただ長いですよね。
UFOが実は生命体だったという設定は面白かったので、もっとシンプルな90分くらいの映画にしてればよかったんじゃないかと思います。
ジョーダン・ピールは前2作の成功で、なにがなんでも隠喩やメッセージ性を盛り込まないといけないと躍起になってるとしか思えません。
そうそう、隠喩、引用、メッセージの押し売りがすごいんですよ
映画公開前に批判的なネタバレするのは、結構酷く悪質ですね。
あと登場人物が『目るな、見るな!』って叫ぶそうですが、誤字なら清書した方が良いですよ。
[映画公開前に批判的なネタバレするのは、結構酷く悪質ですね]
そうでしょうか? いつも映画行く前に参考にしてますし、観てからも参考にしてます。ネタバレ箇所は事前に見なきゃいいですよ。
2流の娯楽作品に高級感を持たせるために、聖書の引用や作りて自身が切実な関心も持っていない様な社会的メッセージをメタファー表現するとかいうコスい手法にはいいかげん辟易する。
案の定、ネットでは「深読みバカ」が謎解き祭りに狂奔しているが、「テネット」の時と同様に半年もたてば誰も語らなくなるレベルの作品だと思う。
語り継がれる作品ではないですよね
とても共感しました!映画を鑑賞してるとき、した後の不快感全て言語化されていてしっくりきました。ありがとうございます。
たしかに不快感ありましたね。
隠喩を解く力の無さを批判に当てる人が居るんですね!
勉強になります。
過去のジョーダン・ピール作品は人種差別を表面的にし過ぎで好きではありませんが、ノープは過去の名作のオマージュを多分に含んだ映画愛が溢れるエンタメ作品で実に面白かったです。
特筆すべきはその革新的な撮影方法と夜空の表現です。
まぁ、感想は自由なので!
TVの見過ぎにはご注意をば。
話が動き出すまでに長くて長くて寝ましたw
やっと動き出したと思ったら、クラゲみたいなのと戦い出しましたけど、結局、何を見せられていたんだ?と言う感じで終わりましたw
チンパンジーのエピソードも上手く絡んでるように見えなかったです。
メタファーとかいろいろあるようですが、そうゆうのを考えながら見なきゃいけない映画って苦手です。
メタファー、面倒くさいですよね
自称映画オタクみたいなやつが絶賛してて寒気がしました
この映画は信じられないくらいクソで構成力もなく、誰かこんなものを作るのを止めなかったのか不思議でなりません
隠喩wだかなんだか知らんけど普通の感性の人間にとっては意味不明、冗長、時間の無駄でしかないです
変に深読みする人には受けるみたいですね
いつも、歯切れのいい感想ありがとうございます。
アマプラで観ました。
歳取ると、前半で面白くないと観る気無くなるんですよね。
「ゲットアウト」は過程が面白かったですが、この映画は退屈でした。
(役者にも魅力が無いし)
UFO型のクラゲはエヴァの使徒みたいでしたね。
ほんと、年齢重ねると最後まで見るの諦めますよね、僕も最近その傾向強いです
見ました。自分は正直好きですが、酷評にも納得です。
序盤は休み休みでしたが、後半はそこそこ楽しめました。監督の名前とか気にせずに変に期待していなかったからでしょうね。昔からゴジラとかで鍛えられていたため、クリーチャー系は話のつまらなさは置いておいて造形とか音楽とか演出に注目するクセがついてしまっているのもありますが。
特に、血の雨が滝みたいに家に降り注ぐシーンと、変形後の巨大クラゲは印象に残りました。気持ち悪いだけじゃなくて、美しさみたいなのがあって良かった。
こういう未知のモンスター系はどうしても大味になりがちで、テーマがそもそも難しいのだと思っています。現実的に本気で未知のモンスターを対策しようとしたら、たぶん専門家にしか分からない世界になってしまうのでしょう。空を目で見たら襲われるというのはシンプルすぎますが、分かりやすい解決法を用意しないと2時間映画として成立しないので自分は大目に見てしまいました。
シンゴジラとかオモチャにしか見えなかったので、こういう映画をまともに見られる映像で作ってくれるだけでもありがたいと思っています。
クリチャー系が好きな人はやっぱり造形を楽しめるんですね
映画やドラマでチンパン君が暴れて人を傷つけた例が本当にあったのかな。
全くの作り話なのだろうか。
テレビ番組志村けん動物王国にて人気者になったチンパンジーのパン君はその後元いた阿蘇の動物園で飼育員を襲い大怪我をおわせた。動物学者などによると発情期が近づくと凶暴になるらしいが小さい頃でもテレビ番組などに出演しているのはかなりのストレスらしい。
志村けんと人間の子供の様に仲良くしている姿を見て視聴者は楽しんでいるかもしれないが実は動物を扱う番組こそ一番動物を虐待しているというのはテレビ業界では常識らしい。そんな事を思った。
後、主人公の黒人が映画に呼ばれて色々説明するシーンとかいるのかな。なんか思わせぶりなシーンが多かった。
でも夜中に見たせいかまあまあ面白かったよ。
実際、TVに出てたチンパンジーが人を襲った事件があったみたいですよ。
後、字幕で鑑賞したが主人公と妹の会話がアメリカ的?なのかいまいち理解できなかった