「コンテイジョン」など毎回まともな映画をお届けするスティーブン・ソダーバーグによる男性ストリッパーを題材にした物語。74点(100点満点)
マジック・マイクのあらすじ
実業家を名乗って複数の仕事を抱えるマイク(チャニング・テイタム)は、夜になると男性ストリップクラブ「エクスクイジット」のスターダンサーとして活躍。
ひょんなことから知り合った、19歳のアダム(アレックス・ペティファー)に女性を惹(ひ)きつける天賦の才を見いだしたマイクは、彼をクラブへと連れていく。
異様な世界に驚きながらも、ステージに上がった彼は女性客たちの圧倒的支持を得てダンサーの一員に。弟分のようなアダムの面倒を見てやるマイク だったが、彼が金の絡んだトラブルに巻き込まれたのを知る。
シネマトゥディより
マジック・マイクの感想
エキサイティングかつセクシーで映像美が見事なうえ、ストーリーもしっかりしているし、ダンスもかっこ良く、ほとんど文句のつけどころがない一本です。
この映画が見ていて気持ちがいいのは主人公で売れっ子ストリッパーのマイクがカッコいいだけの男ではなく、男気あって友達思いのナイスな奴だからです。
女たちと夜通し遊び、羽目は外すけど、芯の部分に真面目さが残っているのが魅力で、将来のこともちゃんと考えて貯金してるところなんかもニクイです。
女にはモテるけど、周囲にいるのは遊び人の女ばかりで、ときどきとてつもない孤独感に襲われたりもして、自分の弱さを思い知ります。
そんな中、マイクはいつも付き合う女たちとは一線を画す真面目に勉学に励んでいるブルックと出会います。ブルックは地味で、弟アダムのことを心配ばかりしている口うるさい姉ですが彼女もまた普段自分とは無関係の世界にいるマイクに魅了されます。
このブルックを演じたコディ・ホーンがまた特別美人でもなければ、色っぽいわけでもない。演技もすごく上手いわけではない。ただ、しばらく見ていると、やたらと親近感がわいてくる、やばいもうちょっとでファンになっちまうところだった、というような危険な魅力を持った女優でした。
ほとんど文句のつけどころがないと言いましたが、ソダーバーグの弱点はずばり絡みのシーンです。映像が奇麗すぎて、性的な場面の本来のいかがわしさが薄れてしまって美しすぎるのが嫌ですね。なんか女性監督の演出みたいな印象すら与えます。
物語は人気ストリッパーのマイクと19歳の新人アダムの二人の人生を追いながら、世代交代までの瞬間を描いていたようなところがあります。しかし僕はマイクとブルックによる上質な恋愛映画として楽しみました。
マイクはいつも遊んでる女にビーチでブルックについてこう言いました。「彼女はそういう(遊ぶ)タイプの女じゃなくて、ディナーに連れて行くタイプだ」と。
いかがわしい世界で生きているマイクだからこそ、会話が上手く、知的で、家庭的な女に惚れるんです。
それはちょうど、育ちの良い奥さんと結婚していたシュワルツェネッガーが下層階級のメイドに手を出してしまったことに似ています。どうしても自分の世界にない非現実感を求めるんです。ダメだねえ、男って。
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