ソフトな興奮を売りにした若者向け犯罪ドラマ。ひょんなことから男たちに売られそうになるヒロインの悪夢のような数日間を終始ふざけた感じで表現していくエンタメ映画です。50点
Zolaゾラのあらすじ
デトロイトでポールダンサーをしながらレストランでウェイトレスとしても働いているゾラはレストランの客ステファニーにアテンドしたことをきっかけに意気投合する。
その晩、ゾラはさっそくステファニーと出かけ、翌日にはフロリダのタンパのストリップクラブで簡単に稼げるいい仕事があるからと言われ、誘われるがまま付いていってしまう。
ステファニーはヒモ男のXと恋人のデレックを連れてゾラを迎えに来た。ところがいざタンパに着くと、さびれたストリップ小屋に連れて行かれ、最初の話とは全く違っていた。
それどころかステファニーがゾラとのツーショット写真をSNSに挙げて一晩過ごす客を募集しているのを知ってゾラは騙されたことを理解した。ゾラは逃げようとしたがXに脅され、仕方なくステファニーと客を取ることになる。
Zolaゾラのキャスト
- テイラー・ペイジ
- ライリー・キーオ
- ニコラス・ブラウン
- アリエル・スタッチェル
- コールマン・ドミンゴ
Zolaゾラの感想
ジャニクザ・ブラヴォー監督による、ツイッターでバズッた人気ツイートから映画化が実現した、実話ベースの物語。
ちなみにこの人が実物のZolaです。
そしてこちらがそのツイートをまとめたものです(英文)。
夜の仕事をするヒロインが見舞われる災難の数々をロードムービー風のブラックコメディとして描いている映画で”ノンフィクション”にもかかわらず現実路線ではなくエンタメに振り切っているのが特徴です。
登場人物をこれでもかっていうほどアホに設定してあって、ヒロインをはじめ、友人がわざとらしくバカな喋り方をします。そうしてマジ路線からあえて外してあって、頭が足りない男女たちがトラブルをなんとか切り抜けていく様子を見て笑えるかどうかという作品ですね。
映像がスタイリッシュで話のテンポが良く、BGMも効果的に使われているので実際最後までは難なく見れちゃいます。なんとなく危険でセクシーな要素を含んだコンテンツを好む若者には比較的受けやすいでしょう。なによりツイートを映像化させることに成功したという部分は評価できそうです。一方で子供が見るものじゃないし、成熟した大人の男女が見ても特に何も感じないかもしれません。
ヒロインはついさっき知り合ったポールダンサーの友達の甘い言葉に乗せられて付いていったらヒモ男に脅迫され、無理やり男性客の相手をさせられそうになったり、ギャングに拉致されたり、と散々な目に遭います。そうした出来事を面白可笑しく見せようとしているんだけど、いかんせん性犯罪の被害者や性産業で搾取されている人たちを笑いにしているので悪趣味ですね。ツイッターの原文が軽い文章だからって笑いごとじゃないだろって思っちゃいましたね。
普通に当事者や似た体験をしたことのある人からしたら恐ろしいことだろうし、トラウマ級の話だと思うんですよ。ギャングの家にいったときに大勢に囲まれるシーンなんてあの後どうなったのか想像するだけでも冷や汗ものだし、笑えないもん。
フィクションならまだしも実話ベースで人身売買のような犯罪を軽視するかのように皮肉とユーモアたっぷりに取り上げているのはちょっと方向性を間違ったかなあ。その辺の自分との温度差もこの映画を評価するうえでは重要になってきそうです。
どうせアホな笑いしか提供できないんだったら、もっとシリアスに描いてドキドキハラハラするホラーかスリラーにすればよかったんですけどね。なんでこんなに遊んじゃったんだろう。
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