可愛い子役を上手く利用した、感動したくてうずうずしているおじさんおばさんが見ればいい家族ドラマ。ちょっと退屈です。47点
カモンカモンのあらすじ
ラジオ局に勤めるジャーナリスト、ジョニーはアメリカ中の子供たちをインタビューして将来世界はどんなふうになっているかを聞いて回っていた。悲観的な意見を述べる子供、楽観的な考えを示す子供、ユニークな発想を述べる子供など、意見は分かれ、ジョニーはこの企画にやる気を感じていた。
そんな中、ある日、ジョニーは妹のヴィヴから甥のジェシーの面倒を見るように頼まれる。ヴィヴの夫が精神を病んでしまい、とてもジェシーの面倒を見切れなくなってしまったからだ。
独身のジョニーは仕方なくジェシーを引き受けるが、ジェシーはかなり変わり者で面倒を見るのは一筋縄ではいかなかった。当初は短い間の予定だったが、ヴィヴの夫の様態が思わしくないことからジョニーはジェシーをオークランドからニューヨークへ連れていき仕事に同伴させることにする。
試しにジョニーはジェシーにもほかの子供たちにしているような同じ質問をぶつけてみたが、ジェシーはインタビューには興味を見せず、むしろジョニーが使っていたマイクなどの音響機器に夢中になっていく。
こうしてジェシーはマイクとヘッドホンをつけてジョニーと一緒にニューヨークの街を探索していくのだった。
カモンカモンのキャスト
- ホアキン・フェニックス
- ギャビー・ホフマン
- ウディ・ノーマン
- モリー・ウェブスター
- ジャブーキー・ヤング=ホワイト
- スクート・マクネイリー
カモンカモンの感想と評価
「20センチュリー・ウーマン」のマイク・ミルズ監督による、叔父と甥っ子の疑似親子関係を描いた白黒家族ドラマ。ゴリゴリのお涙頂戴ものではないもののエモい演出でうっすら感動を狙った作品です。
ストーリーはひょんなことから叔父が甥の少年の面倒を見ることになり、最初はお互いの強い癖に苦労するも徐々に二人が絆を深めていく様子を描いていきます。
直接の家族じゃないけど、家族のような深い関係になる大人と子供のバディー映画みたいなのは昔からよくありますよね。「セントラルステーション」とかその最もな例じゃないでしょうか。この手の話は難病映画と同じで感動を生みやすく、まあまあずるいんですよね。特に子供の可愛さを利用しているあたりがずるいですねえ。
ジェシー役の少年ウディ・ノーマンが愛らしいし、大人受けしそうなキャラを上手く演じているのもあって特定のおじさん、おばさんたちはコロッと騙されちゃうんじゃないかなあと思います。
あんな可愛い感じで、おんぶしてもらおうとしてきたり、「一緒に寝てもいい?」とか夜遅くにベッドに入ってきたりしたら世のおじさん、おばさんたちはメロメロになっちゃうんじゃないでしょうか。
一方であえて言及はしていなかったけど、ジェシーは軽度の自閉症か、発達障害を抱えているのかなと思わせるような癖の強い子供に設定にしてあって、面倒を見るのがなかなか大変だというハードルを一つ敷いています。
それによってジェシーと一緒にいると振り回されてクタクタに疲れるけど、その分愛着が湧いてくる、あるいは離れるのは寂しくなるという人間心理を利用していて、それが感動へと繋がる仕組みになっていました。いわば「レインマン」で使われた手法ですね。
そういう監督の戦略に気づかず見ると、もしかするとラストで涙する人もいるのかもしれません。ただ、あくまでも号泣映画とかではないです。
ストーリー性は薄く、大部分がたわいもない会話のやり取りで構成されている会話劇といっていいでしょう。それも大きな波もなく、さざ波がずっと続いていくような展開しかないので全体的にやや退屈です。セリフが若干寒い箇所があり、哲学的な部分がいらなかったです。
カラーではなく白黒にしていることからも意図的に大衆を遠ざけているような気配すらあり、普段商業映画ばかり見ている人にはおすすめできないです。ずばりいうと自分に子供がいるか、または自分の周りに子供がいる中年の男女が対象だと思っていいです。そういう人たちが子供の面倒を見て悪戦苦闘しているジョニー役のホアキン・フェニックスに感情移入するかどうかっていう映画です。
本作のホアキン・フェニックスはまあ安定の演技をしていますね。良くもなく、悪くもなく、よく彼がするちょいダメオヤジみたいなキャラに仕上げていました。
タイトルの「カモンカモン C’mon C’mon」は主人公の少年が物語の終盤にいうセリフから来ていて、日本語だとどう訳されるのか難しいところですね。もしかしたらカタカナで押し切るのかなぁ。もし見た人は日本語でどうなっていたかぜひ教えてくださいね。
コメント
子役が何か「賢しい」印象で、いまいち感動できなかった。
字幕は「前へ、前へ」となっていましたよ。
わざわざありがとうございます。前へ、前へ、なんですねえ
私、この監督、苦手なの忘れてましたw
20センチュリー〜も本当苦手です。
ホアキンのおかげでなんとか最後まで見られ、ラストは少しほっこりしましたが、とにかく全体的に漂うあの気取った感じがとても苦手で。
子供も、繊細すぎて大変だなあ、と思うだけで可愛く思えなかったです。
オシャレを気取った感じがありますね