つまらないし、商業的にもとても売れそうにもないけど、アカデミー賞を獲って伯を付けて儲けを出すタイプの映画。シェイクスピア好きじゃなかったらスルーでいいと思います。31点
映画マクベスのあらすじ
反乱軍との戦いでマクベスはバンクォウと共にダンカン王の軍隊を不利な状況から勝利に導く。戦場からの帰り道、二人は3人の魔女と遭遇し、魔女たちからマクベスはコーダの領主となり、やがて王となるといった予言を受ける。
その予言通りマクベスは、ダンカン王からコーダの領主の称号を授かるも、王位継承としてダンカン王の息子マルカムが選ばれたことに腹を立てマクベス夫人と一緒にダンカン王の殺害を企てる。
やがてマクベスと夫人はダンカン王が自分の城に泊まりに来たタイミングで護衛たちを酒で意識を失わせて、その間にダンカン王を暗殺する。そして罪を護衛たちになすりつけ、悲しみ暮れているかのように装うのだった。
ダンカン王が殺害されたのを受け、息子のマルカムは危険を察知しイングランドに逃亡した。これによってマクベスが王座を継承することになり、暴政を行うことになっていく。
映画マクベスのキャスト
- デンゼル・ワシントン
- フランシス・マクドーマンド
- コーリー・ホーキンズ
- ブレンダン・グリーソン
- ハリー・メリング
映画マクベスの感想と評価
「シリアスマン」、「ノーカントリー」、「ミラーズ・クロッシング」、「ビッグ・リボウスキ」などで知られるコーエン兄弟のジョエル・コーエンが単独で監督した歴史スリラードラマ。シェイクスピアの戯曲『マクベス』を原作とした白黒映画です。
最近では毎年のごとくアカデミー賞を狙った「アーティスト」や「Mank/マンク」などの白黒クラシック映画みたいなのがリリースされますが、これもその一つです。大衆向けの商業映画ではなく、あくまでも芸術路線、映画祭路線の批評家向けの作品といった感じで、面白いかどうかでいえばつまらないです。
物語は、野心的になりすぎた将軍マクベスが妻とスコットランドの王様を暗殺し、王座を奪ったもののやがて呪われ、正気を失い、次々と裏切りそうな人々を処刑する暴挙に出て、最終的に皇太子に復讐されるまでを描いていきます。
ストーリーラインはいたってシンプルで分かりやすいです。シェイクスピアの四大悲劇の1つともいわれる作品なので、すでに話は知っている人もいるだろうし、話に入っていきやすいというのもあるでしょう。
問題は会話ですよね。シェイクスピアが好きな文学男子女子にはいいのかもしれませんが、映画にするとシェイクスピア作品ってやっぱりどうしてもダレるんですよね。セリフの言い回しはくどいし、ひとり言が多いし、言葉の掛け合いもスローだし。そんな会話が中心となっているので、スピード重視の今の時代にはきついものがあります。特にTouTube世代、TikTok世代は見ちゃだめなやつです。
また、映像は白黒で、大部分のシーンでシンプルなセットを使っていて、ビジュアルにはそんなにお金をかけているとは言えません。カラーにしたら当時の様子を再現するのに相当な費用がかかるので白黒でごまかしたようなところもありますね。会話が退屈で映像的な楽しみがないときたら、そりゃあつまらなくなりますよ。
挑戦的なのは、実在するスコットランド王を黒人として描いているところでしょうか。それも昨今のブラック・ライブズ・マターの流れを汲んでいるのでしょうが、別に実在する人物の人種まで変える必要はないんじゃないかなとも思えました。マクベスはあくまでもシェイクスピアの作品に登場するフィクションのキャラクターの一人という位置づけなんでしょうね。
野心におぼれ、破滅の道へと進んでいくそのマクベスをデンゼル・ワシントンが演じています。いつも通りの安定の演技を見せていましたが、決して特別なパフォーマンスとはいえなかったです。狂気は感じられなかったし、悪いんだけど、あまり悪く見えなかったり、王様なんだけど王様っぽくなかったり、覇気がなかったです。
それよりも魔女役のキャスリン・ハンターのほうがキャラが立っていましたね。声といい、姿といい、動きといい、魔女キャラにはまっていました。この映画の唯一評価できるポイントがあの魔女ですね。
それを除くと全体的には平凡な作品だなあ、という印象を受けました。ただ、こういう玄人向け映画ってなぜか批評家から評価されやすいんですよね。シェイクスピアだったらとりあえず評価しとこうみたいな雰囲気があるからね。これが原作者パワーってやつですよ。
コメント
マクベスの映画化なら、黒澤明の蜘蛛巣城がいちばん好きですね。
戦国時代の日本に改変してるため、ストーリーもかなりアレンジしていますが。
黒崎映画、音割れも多いのに字幕がない場合あるのがハードルが高くなって残念です。