フランスの名監督が撮った平凡な人間ドラマ。見れなくはないけど、あまり面白くないです。46点
Summer of 85のあらすじ
16歳のアレックスは友達のボートを借りてセーリングに出かけた。しかし天候が変わり転覆してしまう。そこに別のボートに乗っているダヴィドが現れ、彼に命を助けてもらった。
それをきっかけに二人は意気投合し、仲良くなった。やがてアレックスはダヴィドの母親が経営する店でバイトをするようになり、ますます二人の距離が近くなる。
アレックスとダヴィドの関係は友情だけに留まらなかった。まもなく二人は恋に落ち、アレックスはダヴィドのことが頭から離れなくなっていく。しかし同時にそれは破滅の始まりだった。
Summer of 85のキャスト
- フェリックス・ルフェーブル
- バンジャマン・ボワザン
- フィリッピーヌ・ベルジュ
- バレリア・ブルーニ・テデスキ
- メルビル・プポーー
- イザベル・ナンティ
Summer of 85の感想と評価
【読者のブルージャスミンさんのリクエストです。ありがとうございます】
「彼は秘密の女ともだち」、「17歳」、「危険なプロット」「婚約者の友人」「グレース・オブ・ゴッド告発の時」、「2重螺旋の恋人」などで知られるフランソワ・オゾン監督の青春ドラマ。小説「おれの墓で踊れ」の映画化です。
10代の少年がある天真爛漫な美少年との出会いをきっかけに同性愛に目覚める、前半面白く、後半つまらなくなっていく物語です。
ストーリーは、海辺の田舎町に暮らす主人公アレックスがイケメン美少年ダヴィドと知り合い、仲良くなり、ただの友情かと思いきや一線を越え、相手にのめり込んでいっては最後破滅へと向かう様子を描いています。
二人が出会ってから徐々に距離を詰めて行って、やがてキスしたのをきっかけに恋愛関係に発展していく様子は初々しくとても自然です。
二人がお互いに夢中になり、やがて二人の間に女の子が現れ、三角関係によって主人公がかき乱されていき、嫉妬による喧嘩が起き、それをきっかけにダヴィドが交通事故に巻き込まれる、ぐらいまではスムーズな流れでした。
それに対し、ダヴィドが死んでからの話が急激に現実離れしては退屈になっていきます。アレックスはなぜか死体に強い興味を持ち、アレックスの死体をどうしても見たいという衝動に駆られ、死体安置所にまで女装して突入したりします。
またアレックスの墓場で踊る、という生前の約束を守るといって暴走する様子をとても「愛情」とは思えませんでした。
フランソワ・オゾン監督の作品は色気があったり、それでいて人間の関係性について考えさせられるものが多いんですが、この作品に関しては考えるほどのものがなく、全体的に薄くて軽かったですね。
物語の冒頭から相手役のダヴィドは死ぬことが明かされ、それによって主人公のアレックスが逮捕されて施設に送られるシーンから始まるので、ある意味大事なオチを最初に公開しています。そもそもそこが間違いのもとでしたね。
情熱的な恋に落ち、嫉妬や独占欲から主人公が相手を殺してしまう話なのかとサスペンス要素を期待していたのですが、逮捕の部分はミスリードで実は主人公は殺人は犯しておらず、ダヴィドの死因は交通事故だった、という拍子抜け展開が待っていました。
あそこをミスリードしちゃうと肝心な面白味が崩れてしまって、本当にただの同性愛ドラマに成り下りましたよね。それもかなり短期間のお遊び的な恋愛なので、どちらのキャラクターにも感情移入ができません。少なくとも「君の名前で僕を呼んで」のような美しい恋模様はなかったですね。
喧嘩別れした後にダヴィドは死んでいるので、二人の関係性が破綻してからアレックスがダヴィドに対して深い愛情を示してるんですよね。
ダヴィドもダヴィドで自分から振っておいて、怒って帰ったアレックスをなぜ追いかけていくのかが解せませんでした。あの行動はプレイボーイのダヴィドらしからぬ行動だったんじゃないでしょうか。
ダヴィドは最初からうさん臭さがプンプンしていたし、いかにも尻軽そうだったので、そもそもアレックスは惚れちゃだめでしたねぇ。男も女も若者もおじさんもおばさんも誰でも行けちゃいます、みたいな顔してるんだもん。あいつ絶対、酔っ払いの男ともなんかあったでしょ。
コメント
リクエストご回答ありがとうございました。2人の恋愛から痴話喧嘩まではある意味若者の突っ走っていく感じで同時に危ういなってちょっと懐かしく感じました。原作だとダヴィドはそこまでプレイボーイって印象がなく硬派の2人ってイメージだったので、俳優の役作りによってもまた作品の感じが変わるのでしょうか。
あと年代だから仕方ないのですがダヴィドの服装と髪型は私にはどうも受け入れがたいものがありました…。
リクエストありがとうございます。ダヴィドは目つきもギラギラで、なかなかのキャラですよね。、
Summer of 85はちょっと肩透かしな内容でしたね。
フランソワ・オゾン監督は幼少期にいつも行く海で人が亡くなったことがトラウマでもあり原点でもあるようで『海』に対して強い拘りがあるようです。
また彼の作品の多くは父親や夫の存在が抹消されている傾向があります。
特に超初期の短編映画などは今のフランソワ・オゾン氏とはまた違う作風でした。
「サマードレス」「海を見る」の2作品、もし機会がありましたら是非…。
サマードレスはたった15分の映画です。
ただし海を見るは陰険・陰惨なので鑑賞注意かもです。
サマードレスは明るい作品ですが、海を見るは人妻が得体の知れないバックパッカーの女性を家にあげてしまったことから起こる惨劇です。
『海』に対して強い拘りがあるんですね、知りませんでした。「サマードレス」「海を見る」機会があったら見てみますね。
私も『君の名前で〜』みたいなのを想像していたので、ちょっと拍子抜けしました。
普通の恋愛映画でしたね。
冒頭が相当悪いことした雰囲気だったんで、なんだ、墓の上で踊るくらいいいじゃんと思いましたw