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すばらしき世界は同情を誘うつまらない話!ネタバレと感想

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この記事は 約5 分で読めます。

これといった面白いエピソードがなく、どこかで聞いたことのある話ばかりでできたやくざ映画。役所広司も別になんてことなかったです。40点

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すばらしき世界のあらすじ

他の組のやくざを殺し、13年の刑期を終えた三上は久々に娑婆に戻ったのはいいものの、反社に対して風当たりの強くなった現在の世の中では自立の道は非常に険しかった。生活保護を申請しても断られ、仕事を探そうとしても見つからない。

また、正義感が強く、すぐにかっとなって手を出してしまう三上はことあるごとに喧嘩を始めてしまい、とても生きづらそうにしていた。

そんなある日、三上の事情を知ったテレビ局の人間が生き別れた母親との再会をドキュメンタリーに映すといって連絡を取ってくる。三上はよく分からず、カメラに撮られることを承諾していたが、彼らは自分を食い物にしようとしているだけなのかと疑問を抱くようになる。

すばらしき世界のキャスト

  • 役所広司
  • 仲野太賀
  • 六角精児
  • 村有起
  • 白竜
  • キムラ緑子
  • 長澤まさみ
  • 安田成美
  • 梶芽衣子
  • 橋爪功

すばらしき世界の感想と評価

永い言い訳」、「ディア・ドクター」、「ゆれる」、「夢売るふたり」、「蛇イチゴ」の西川美和監督による、やくざ映画。佐木隆三の小説「身分帳」を原案にした映画化です。

元やくざの主人公の目線で現代の世知辛い社会を見せつつ、彼を救おうとする心優しい人々の支えと交流を描いた人間ドラマです。

世間の評価がかなり高かったので期待して見たんですが、実際は退屈な内容になっていて、ストーリーは読めるし、エンディングにも捻りがないし、特別なものはありませんでした。

なにが退屈かというと、今の世の中やくざではとても生きていけないというエピソードがあまりにもありきたりすぎて、散々メディアに聞かされてきたあるある話のまとめにすぎないところです。

生活保護が受けられないとか、携帯が契約できないとか、服役中に免許が失効しちゃったとか、すぐ警察を呼ばれちゃうとか、もうちょっとほかにないのかなぁ、と思いました。

不完全燃焼だったのは、母親との再会をドキュメンタリーにする、というストーリーラインですね。あれだけあの部分に時間を割くなら、ちゃんとドキュメンタリーにしないと。完成品を見たらやらせだらけだったとかちゃんとオチをつけないと。

長澤まさみ扮する女テレビプロデューサーがテレビディレクターの膝に意味深に手を置くシーンもその後回収されることなく、終わっていきましたよね。あえて膝に触れる部分にフォーカスするなら二人ができちゃうのが普通なんだけど、そういうのも無視なんだねぇ。やらないなら思わせぶりな態度で色気出さないで。

元奥さんとのストーリーも同じで再会を匂わせておいて再会しないっていうのもなんだかなぁ。再会が実現しなかったことに対する悲しさやせつなさを演出するのが狙いなんだろうけど、実際のところ二人が会ったところで話を膨らませる要素もなかったのかなぁと勘ぐってしまいます。

結局のところ伏線をばらまきちらしたくせにフル無視でストーリーを進めていっては特に何も起こらずに終わっていった感が強いですね。それを不運や悲劇だ、で締めくくるのは面白くないですね。

主人公のバックグランドももっと掘り下げていく必要があります。母親への思い、幼年時代、思春期といった背景がうっすらとしか語られていないので主人公に感情移入ができません。特に本人の口からは一切語られませんでしたね。それでも母親との再会シーンがあればまた違っていたでしょう。

役所広司の演技がやたらと絶賛されていますが、特に彼のパフォーマンスから狂気や暴力性を感じることはできなかったです。やばそうな雰囲気もなかったし、普通の元気ないいおっちゃんというイメージしか受けませんでした。演技を褒めるのなら仲野太賀、安田成美、キムラ緑子のほうがインパクトがありました。

話がある程度進んでもどこをゴールにしようとしているのかがあやふで、あの流れだと最終的には母親が登場するか主人公が死ぬかの二択ぐらいしか選択肢がなかったような気がします。監督は後者を取りましたね。

かといって感動があったかというと別になく、夢半ばで死んでいった悔しさ、寂しさが多少あったかなというぐらいです。

全体的に主人公を社会の被害者、または可哀想な人間として描いているところに違和感を覚えました。生い立ちを不幸にしているのも視聴者の同情を誘うための釣りにしか過ぎないし、主人公を可哀想で、真っすぐで、不器用で、正直者の男にしないとストーリーが成り立たないこと自体がおかしいんですよ。

あれならむしろ両親は健在で、生い立ちは裕福なのに道を踏み外してやくざの世界に足を踏み入れた男を描くほうが、元犯罪者の社会復帰を描くには適切だったんじゃないかと思います。

ただの自業自得だし、自分で選んだ道だし、同情の余地はないけど、そんな元受刑者の社会復帰をあなたは支持しますか、という問いを視聴者に突き付けるべきでしたね。

だって制度やルールって本来機械的に適応されるものだから。この人は根はいい人だから社会復帰させましょう、この人は自業自得だからダメ、とか感情論で語っちゃいけないものでしょ。だいたい誰が判断するんだよって話だし。

日本社会全体がこの映画みたいに感情論に傾いたら、これから元反社の人は役所でプレゼンして担当の人を感動させたら生活保護が降ります、とかになるんですかね。それはそれでちょっと面白いけど。

コメント

  1. きのこ より:

    暴対法施行以前の30年前の小説を、現代を舞台にして映画化した事に無理がある。