見やすい映画ではあるものの、ただ保守的なアレンジを加えただけの映画。音楽に対するこだわりもなければ、ストーリーも甘いです。40点
アマゾンプライム・シンデレラのあらすじ
シンデレラは継母と血のつながっていない二人の姉と暮らしていた。彼女はドレスを作るのに夢中でいつか自分の店を持ちたいと考えていた。しかし継母は娘たちには金持ちの家に嫁ぐことを望んでいた。女が商売をするだなんてもってのほかだとシンデレラの夢を否定した。
一方、ロバート王子は領土を広げるための政略結婚の話を受けていた。国王も王位継承者であるロバートに自覚を持つように促し、早く結婚するように言っていた。しかしロバート王子は政治的な理由で結婚する気にはとてもなれなかった。
そんなある日、ロバート王子はセレモニーで銅像に上るシンデレラの姿を見た。周囲の目など気にしない天真爛漫な彼女に彼は心惹かれた。
翌日、ロバート王子が街に繰り出すと、シンデレラが道端で道行く人たちにドレスを売ろうとしていた。ロバート王子は前向きに自分の道を切り開こうとしているシンデレラに惚れ惚れし、彼女を舞踏会に招待する。
アマゾンプライム・シンデレラのキャスト
- カミラ・カベロ
- イディナ・メンゼル
- ニコラス・ガリツィン
- ビリー・ポーター
- ミニー・ドライバー
- ピアース・ブロスナン
アマゾンプライム・シンデレラの感想と評価
ケイ・キャノン監督による、同名童話の実写版。ソニーピクチャーズがディズニーに対抗して作ったかのような独自路線のミュージカルです。
長年ディズニーが牛耳っていたところに切り込んで行って、誰もが知るクラシックなストーリーに違った解釈を加える、という試みは面白いと思います。
王子様がシンデレラと結婚して、めでたしめでたしではなく、そこに現代的なテーマや要素を織り交ぜているのがポイントです。
シンデレラをか弱いいじめられっ子の女性ではなく、図太い出しゃばりキャラにしていて、意図的にイメージを崩しにかかっていますね。それを良しとするかしないかは視聴者の好みにかかっているでしょう。
シンデレラを通して女性の人権保護、地位向上、社会進出などをわざとらしく推しているふしがあり、フェミニスト臭もつきまとうので、抵抗を覚える人も少なからずいそうです。
シンデレラを現代のキャリアウーマン風に描いているのは一つの大きな新解釈ともいえますね。王子様も妹に王位継承を譲ったりして、地位にこだわりを見せない、というオチまでついていました。
結婚するだけが女の幸せじゃない、出世だけが男の人生じゃない、といったメッセージ性が込められているのか、とにかく全体的に現代化を目指した話にはなっていました。挙句の果てにはガラスの靴をシンデレラがぶん投げたのには驚きました。デザイナーを目指してるとか言ってたくせにファッションアイテムの取り扱いが雑で笑えますね。
そういった新しい試みは褒めてあげたいけれど、一方でミュージカル映画としては完全に手抜きでした。音楽はすでにあるものを当てはめただけだし、何回デズリーの「You Gotta Be」流すんだよって思いました。
なんでオリジナル曲で勝負しなかったのか理解できません。とにかく手っ取り早く短期間で作りたかったんでしょうか。映像も基本的に全部セットとCGなので2,3か月で作れそうな映画ですね。
音楽のジャンルをバラバラにして、ラップやラテンミュージックをチョイスしているのはお約束のグローバル社会やら多様性やらのアピールに違いないです。それならそうと、ちゃんと演歌も流さないと。ハリウッド映画の多様性ってそもそも範囲が狭すぎるんだよね。白人と黒人とヒスパニックで仲良くしましょうよ、みたいなほかのマイノリティーは無視っていうね。
ヒロインをラテン系の女優、フェアリー・ゴッドマザーを黒人のゲイにしていたりと、ちょっとしたあざとさや偽善も感じたりしなかったり。どうせならシンデレラをトランスジェンダーにして、王様が実はゲイだったとカミングアウトし、王子様はバイセクシャルで一夫多妻にするぐらいの大胆なことをしてもらいたかったですね。
あと、若干シンデレラのキャラがうざいのと、王子様に魅力が感じられないのが残念でした。お互いどこに惹かれているのかがよく分からないので、勝手にやってくれとしか思えなかったし、僕的には王子様の妹のほうが気になる存在で、彼女はどんな男を選ぶのかにむしろ興味をそそられました。
結局のところ誰もが知っている話だし、プロットはすでに完成されているし、あとは簡単なアレンジを加えるだけで、ある程度ヒットが約束されているのが童話ベースの映画なんですよね。童話ってすごいなあって思うと同時に、大衆ってやっぱり全くのオリジナルストーリーより、馴染みのある話を何度も見聞きしたい、新しいことに挑戦するよりも、安心を得たいみたいな習性を持っていることに改めて気づかされました。こうしてこれからも永遠に童話が繰り返し映画化されるんでしょうね。
コメント
確か、シンデレラの元ネタが欧州民話「五日物語」の1エピソードだったと思いますが、そっちの方が面白いんですよね。
お母さんが死んで、新しく来た後妻に虐待されたシンデレラが家庭教師に泣きついたら、「クローゼットの奥に大きな衣装箱があるから、お母さんにドレスを探してもらいなさい。お母さんが箱を開けて中を覗いたら蓋を閉めて首を折ってしまいなさい。」とか的確な助言を受けて継母殺しを決行するという。んで、その後も「お母さんが死んだら、お父さんに家庭教師の〇〇先生にお母さんになって欲しいというのです。」とか洗脳。「三匹の子豚」も、レンガの家を壊せなくて煙突から侵入してきた狼を鍋に落として煮殺して晩飯に子豚が食うとか、「白雪姫」も美女の死体に惚れたネクロフィリアの王子が小人達から遺体を買って、何処に行くにも従者に死体と棺を担がせていたら、従者たちがいいかげん気色悪くなってキレて死体を取り出してボコボコにしていたら、そのショックで毒リンゴ吐き出して姫が蘇生したとか、そんな話だったと思います。ディズニーがアニメ化する時に、ダーク要素を全部省いたとか。
童話の原作は実際かなりグロくてエグいらしいですね。だからダークホラーにして実写化したほうが今の時代は新しくて売れそうだけどなあって思います。
シンデレラ、そうでしたか。
最近はあまりにもポリコレにも配慮した映画が多すぎてウザったくなります。映画男さんの言う通りその内の大体がアジア人はガン無視なのも笑えます。
リクエストなんですが、Netflixの「セックス・エデュケーション」というドラマの感想を聞いてみたいです。Netflixドラマの中でもクオリティが高く、素敵な青春コメディなのでよろしければ🙇♂️
アジア人はガン無視ですよね。「セックス・エデュケーション」機会があれば見てみますね。
今晩は。本作、以前アマプラのCMで観たのですが、どうも全体的に「安っぽい」感じがして、結局観ていません。やはりこういう作品なんですね。本作もピノキオも、こういう童話はリメイクしやすい題材なんですね。
アマゾン製作の映画は安っぽいの多いので注意ですね。
お返事ありがとうございます。そうですね、そこは配信映画の落とし穴だと思います。※勿論、良作もありますけどね。