自信をもっておすすめできる超特大スケールドラマシリーズ。世界の犯罪集団たちの迫力満点のドンパチものです。77点
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ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路のあらすじ
南イタリア、カンブリア州のマフィアのボス、ドン・ミーノは警察に身柄を追われ、逃亡生活を送っていた。そんな状況でも彼は5000kgもの大規模なコカイン密輸を企てようとする。しかし祖父に恨みを持つ孫のステファノが秘密裏でコカイン密輸を妨害しようと様々な工作を図る。それによって組織が分断してしまう。
一方、メキシコのモンテレイでコカインを製造しているのはレイラ兄弟。彼らはピクルスの缶の中にコカインを入れて缶詰し、イタリアに送る準備をしていた。それをメキシコ軍警察の特別部隊が狙っていた。
ところが特別部隊の隊員であるマヌエルがレイラ兄弟側に情報を流していた。
特別部隊はレイラ兄弟がアメリカのブローカーの親子エドワード・リンウッドとエンマ・リンウッドとの交渉の席についているときに襲撃するもマヌエルが襲撃情報を伝えたために逃がしてしまう。
しかしそのときの銃撃戦の怪我によってブローカーのエドワード・リンウッドが命を落としてしまい、世界を股に掛けた麻薬ビジネスのパワーバランスが崩れていく。
ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路のキャスト
- アンドレア・ライズボロー
- デイン・デハーン
- ジュゼッペ・デ・ドメニコ
- アドリアーノ・キアラミダ
- ハロルド・トレス
ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路の感想と評価
「暗黒街」のステファノ・ソリマ、パブロ・トラペロ、マウルシオ・カッツの共同監督による世界の巨大麻薬ビジネスの裏を描いたクライムドラマシリーズ。ロベルト・サビアーノによる同名ノンフィクション「コカイン ゼロゼロゼロ: 世界を支配する凶悪な欲望」を基にした衝撃の実話。
最も過小評価されているドラマシリーズの一つともいわれおり、内容と認知度が全く釣り合っていない面白いシリーズです。
名前は知られているのに駄作というのが大半な中、その真逆を行く珍しいタイプで製作は成功しているのにプロモーションに失敗しているとしか考えられない、もっと人気が出ないとおかしいドラマです。
短すぎず、長すぎもしない全8エピソードというちょうどいい尺になっているのも良く、バイオレンスものが好きな人ははまること間違いないでしょう。
お金のかけ方、スケールの大きさ、演技、演出、脚本、BGM、迫力、スリル、恐ろしさのどれを取っても申し分のない完成度で、「ナルコス」以来の強烈なインパクトを受けました。
話の中ではマフィア、ギャング、テロリストなど世界中の悪い奴らがこれでもかというほど登場し、大量の麻薬をメキシコからイタリアに送る過程で複数の組織が裏切り、騙し、殺し、復讐をしながら複雑な闇ビジネスを転がしていく様子が描かれていきます。
複数の登場人物の目線で複数の国を舞台にし、それを絶妙に一本の線でリンクしていく、という意味では「バベル」とも手法が似ていて監督や脚本家のレベルの高さに思わず唸ってしまいました。
視点の切り替え方が見事で重要人物が交差するタイミングで物語が別の視点で進んでいき、またそれが違和感なくとてもスムーズです。
アクションシーンも多いです。ただ、しっかりとストーリーラインに基づいたアクションなので不自然さがなく、無駄がないです。
やたらと死体を長い時間映すのが特徴でメイクの技術が高いからか血の流れ方や怪我の仕方なんかも大変生々しく、ゾクゾクしました。
5000kgのコカインを乗せた船はメキシコを出てアメリカのブローカー経由でイタリアに向かうんですが、その途中で邪魔が入り、アフリカのセネガルに寄港し、そこからさらに陸路でモロッコまで運ばれるといった茨の道のりをたどるんですが、常に危険と隣り合わせなのはもちろん、賄賂を駆使し、銃撃戦を搔い潜って、やっとのことで目的地まで物を届ける様子が大変すぎて、見ていてクタクタになります。
同時になんであんなリスクしかないビジネスに手を出そうとする人間が後を絶たないのか理解に苦しみますね。いくら大金が稼げるとはいえ結局、みんな拉致されたり、家族を殺さたり、不幸になるのにリターンが見合っていないんですよね。やっぱりアドレナリンを求めちゃうんでしょうか。
冒頭の年老いたマフィアのボスがいうセリフからして味があって引き込まれました。
お前は妻のことを信じてるのかい?
金が切れたら、彼女はネグレクトだって言い出すんだぞ。お前はお前の子供のことを信じてるのかい?
彼らにお金を与えなくなったら、愛されてないって言い出すんだぞ。ああ、それならお前のお母さんのことを信じるのかい?
老後の面倒を見なかったら、感謝のない子だって言われるんだぞ。
ずっとファミリーを大切にしたのに、家族に裏切られてきた老年のボスだからこそ言えるセリフなのかもしれませんね。
俳優陣たちは本当に素晴らしかったです。特にメキシコ人俳優たちはみんな良かったですね。マヌエル役のハロルド・トレスをはじめ、10代の脇役俳優たちがプロの暗殺者集団に育っていく様子がリアルでした。
イタリア人俳優たちもオシャレで、男前で、かつ悪そうなマフィアを熱演していたし、アメリカ側のブローカーファミリーも演技はよかったです。父親を失い会社の責任の一切を背負った娘をほぼノーメイクで演じたアンドレア・ライズボローはハロルド・トレスと並んで本作のMVPだったんじゃないでしょうか。
突っ込みどころはブローカーの兄弟のエピソードですかね。イタリア、メキシコのストーリーはどれもリアリティーに溢れているのに対し、兄弟の話だけぶっ飛びすぎている感が否めないです。あまりにも世界各国で修羅場くぐりすぎだし、あの弱弱しい弟が生き残れる世界じゃないでしょ。
弟の病気のくだりもいらないですよね。せっかくモロッコ人の美女といい関係になれたのになんで発狂しちゃうのよ。どんなに辛くてもあそこはスマートに振る舞って最高の夜にして締めくくらないと。
そういう意味ではバイオレンスは詰め込みまくりな割には色気は今一つでしたね。マフィアやギャングたちはもっと派手にやってそうなもんだけど、マヌエルなんて信仰心が強く、硬派っていうキャラ設定になっていたのが笑えました。犯罪者に限って信仰心強い人ってよくいるけど、あれなんなんだろうね。思考回路ぐちゃぐちゃじゃん。
コメント
ストーリーは面白いと思うんですが、リアリティー的にはどうなんですかね?
ちょっと前に日本で出版された元麻トリの人の著書だと、今の麻薬取引は複数国の複数組織が分業して国際的なサプライチェーンが形成されているから、昔みたいな利権争いでドンパチやってる様なドラマや映画は現実味が無いとか書かれていたんで。
リアリティーはあったりなかったりですね。いまだに僕の住むブラジルでもそうですが、麻薬がらみのドンパチは日常茶飯事にあるので、メキシコのパートは通じるものがありました。
弟はハンチントン病の設定なんだから”どんなに辛くてもスマートに~”なんて不可能だぞ。
以下抜粋
ハンチントン病の初期には、顔面、体幹、四肢が意図せず急速に動くことがあります。初めは、こうした異常な不随意運動を意図的な動作の中に組み込むことができるため、異常な動きはほとんど気づかれません。しかし、時間が経つにつれ、動きが顕著になります。
筋肉が短く急速に収縮し、腕や別の部位が突然ビクッと(ときに何回か続けて)動くことがあります。
操り人形のように、軽く弾むような、あるいは過剰にはつらつとした歩行がみられます。しかめ面をする、腕や脚が弾むように動く、まばたきが頻繁になるなどの症状も現れます。協調運動が難しくなり、動作が遅くなります。最終的には全身に影響が及び、歩く、静かに座っている、食べる、話す、服を着るなどの動作が極めて困難になります。
多くの場合、異常な動きの発生前または発生と同時期に精神的な変化が生じますが、最初は目立ちません。徐々にいらだちや興奮が生じやすくなります。普段行っていた活動への興味が失われることもあります。衝動を抑えられない、怒りっぽい、発作的に落胆する、分別がなくなるなどの症状もみられます。
病気が進行すると行動が無責任になり、しばしばあてもなく徘徊するようになります。数年経過すると、記憶が障害され合理的な思考ができなくなります。重度の抑うつが生じて自殺を試みることもあります。
病気が進行すると、重度の認知症が生じ、寝たきりになります。24時間の介助か介護施設への入所が必要になります。多くの人は発症してから13~15年後に亡くなります。