姉弟が悪魔に追い詰められる様子を描く見ていてゾクゾクする怖い話。中身はそれほどないけど、演出とアイデアでそれをカバーしているホラーです。65点
ダーク・アンド・ウィケッドのあらすじ
父親の体調が思わしくないとの知らせを聞き、テキサスの実家に帰って来たルイーズとマイケルの姉弟だったが、母親は帰ってくるなと言っただろ、と二人を突き返そうとする。
母親は父親の最期が近いことを知ってか気が動転していた。まるでそこに意識がないかのようで顔色も悪かった。夕食のときも母親はルイーズとマイケルを突き放すばかりでずっと下を向いていた。
翌日、母親は羊小屋で首をつって死んでいた。ルイーズとマイケルは母の死の原因を突き止めようとするも彼らの常識ではとても説明がつかなかった。やがて二人は実家でそこにいないはずの人たちの幻覚を見るようになり、なにか恐ろしいものに取りつかれていく。
ダーク・アンド・ウィケッドのキャスト
- マリン・アイルランド
- マイケル・アボット・Jr
- ザンダー・バークレイ
- ジュリー・オリバー・タッチストーン
- マイケル・ザグスト
ダーク・アンド・ウィケッドの感想と評価
「ストレンジャーズ/戦慄の訪問者」のブライアン・ベルティノ監督によるホラー映画。
少ない出演者とアイデアで勝負している低予算ホラーで演者の見事な顔芸と数々のグロいシーンによってなかなか怖い話に仕上がっています。上映時間も1時半ほどで終わるので緊張感や恐怖が途切れることなくサクッと見れて面白かったです。
俳優たちの演技が良く、特にヒロインのマリン・アイルランドのやつれていく感じとか怖がり方がいいですね。やっぱりホラー映画になるとなぜか男性より女性のほうが比較的いい仕事しますよね。女性の怖がり方ってわかりやすいんですかね。
物語は、危篤寸前の父親のために実家に戻って来た姉弟が、得体のしれない悪霊に取りつかれていく、というシンプルなものでストーリー性は低いです。
登場人物は、姉、弟、父、母、ヘルパー、牧師とほか数名でそれぞれに特にバックストーリーもありません。ただ、次々と登場人物が悪魔的なものに遭遇し、悪魔の力にコントロールされるように自ら命を絶っていくといった悲劇をつづります。
家族の関係性などもほとんど描かれないので感情移入することは簡単ではないでしょう。姉弟が両親を長い間、ほったらかしていたということだけは微妙に伝わってくるものの、ほかにはこれといった情報はありません。両親をないがしろにしてきた姉弟に対して天罰を下す悪魔といった構図が見え隠れもしますが、そこに悪魔がいる原因や理由は結局分からず終いです。
つまるところあれこれ説明の入るホラーではなく、「どういうわけか悪魔にとりつかれた家族」という設定の下、話が進んでいき、姉弟が恐れおののく様子を見て楽しむタイプの作品ですね。ジャンルでいうと憑依系ホラーに入るんでしょうか。
恐怖のシーンの半分はそこにいないはずのものが見える幻覚で、死んだはずの母親が突然庭に現れ、また消えて行ったり、といった場面が続きます。
もう半分はグロテスクなシーンで悪魔に操られた人々が自分自身をナイフや包丁などで傷つける瞬間は思わず「うわー」と声を出してしまいます。見るからに痛そうだし、痛そうなシーンの映し方に遠慮が一切ないです。かといってスプラッター映画のような大げさな血生臭ささはなく、ちょうどいい恐怖がありました。
ダーク・アンド・ウィケッドのネタバレ
この手のホラーにありがちなのは、姉弟の両親に対する後悔と自責の念が「悪魔」というメタファーとして表現されていて、最後は自分たちの行動を反省し、両親に対する愛情を再認識することで悪魔や霊が成仏してどこかへと消えていく、というパターンです。ちょうど「レリック」がそうでしたね。
本作も最後の最後までその路線で行きます。弟のほうが怖くなって投げ出し、両親を見捨てたことで悲劇な運命をたどるのもお約束だったと思います。
一方で姉は最後まで父親を見捨てませんでした。父親の死の瞬間に「アイラブユー」と魔法の言葉をかけます。ディズニーでいうところの魔法や呪いが解けるシーンに相当し、本来ならお許しを受けるところでしょう。
しかしこの映画は「と見せかけて」といわんばかりにそんなの関係なく、姉にも不幸が訪れて終わるというサプライズエンディングになっていました。
まるで、今頃後悔して懺悔したって遅せえよ、今までずっと両親を大切にしてこなかったんだろ?といった悪魔の声が聞こえてくるようでした。あの終わり方は素敵です。
コメント
こんにちは。世間からの絶賛が理解できないときにこちらを見て同感したり、逆にお気に入りの作品がボロクソ言われるのを見て「これもダメか〜。」と思いながら楽しく見ています。
中国映画のレビューをもっと読んでみたいので、下記のような映画の中に興味があるものがございましたらぜひお願いいたします。
・少年の君
・流転の地球
・上海要塞
・戦狼
・インファナル・アフェア
・オペレーション・レッドシー
などなど。
ここで挙げている作品はほとんど見ようとしたんですが、特にバトルものは暑苦しすぎて途中で断念しました。唯一、インファナル・アフェを昔に最後まで見た記憶があります。
もし悪魔が本当にいるとしたら、現れ方は死霊館のようではなく、こんな感じだろうな、と思って見ていました。
最後まで悪魔は悪魔であってヒーッとなりました。
親、見捨てませんw