キューバ危機を背景に二人の勇敢が人物が世界平和のために命をかけるスパイドラマ。特別な感動などはないものの普通に見れる映画です。58点
クーリエ最高機密の運び屋のあらすじ
冷戦の真っただ中、アメリカとソビエト連邦の関係は緊張状態にあった。ビジネスマンのグレヴィル・ウィンはある日、イギリスの諜報機関MI6とアメリカのCIAの捜査官からソ連に潜入し、情報提供者であるソ連人のオレグ・ペンコフスキーとビジネスを装って接触して欲しいと頼まれる。
グレヴィル・ウィンは最初は軽い気持ちで引き受けたが、後日それが核戦争に関わる重要なミッションであることを知る。その頃、ソ連はキューバにミサイルを設置し、西側諸国への攻撃を準備していた。これに対抗し、アメリカがいつソ連を攻撃してもおかしくなかった。
グレヴィル・ウィンはオレグ・ペンコフスキーと何度も接触するうちに彼との間に友情を深めていった。しかしいよいよ身の危険が迫る頃、MI6とCIAからソ連訪問のストップがかかり、ミッションの終了を告げられた。
しかしそれはオレグ・ペンコフスキーを見捨てることを意味していた。このままではオレグ・ペンコフスキーが処刑されてしまう。グレヴィル・ウィンは危険を知りながら自らソ連に出向き、オレグ・ペンコフスキーを救いだそうとするが、、、、
クーリエ最高機密の運び屋のキャスト
- ベネディクト・カンバーバッチ
- メラーブ・ニニッゼ
- ジェシー・バックリー
- アンガス・ライト
- レイチェル・ブロズナハン
- キリル・ピロゴフ
クーリエ最高機密の運び屋の感想と評価
「追想」のドミニク・クック監督によるスパイ映画。キューバ危機から世界を救った実在の人物をつづる実録ドラマです。
スパイ映画にも様々な種類がありますが、本作は「工作・黒金星と呼ばれた男」と同じようなハラハラドキドキの敵国潜入ものです。
主人公のグレヴィル・ウィンはイギリス人ビジネスマン。彼は一見ごく普通のフレンドリーな男ですが、東側諸国とビジネスをしていたことでMI6から絶好の人物だとして白羽の矢が当たり、情報の運び屋としての仕事を任されます。
それを引き受けたことでグレヴィル・ウィンはアメリカとソ連の緊張感が増していく中でスパイ活動を積極的にこなすようになり、後に引けなくなっていく、というのがおおまかなストーリーの流れです。
特に派手なアクションなどはなく、色気も一切なし。あくまでも地味なスパイ活動にフォーカスした大人の政治ドラマに仕上がっています。それでも十分に見れるし、その辺のベタなアクション映画よりも迫力や緊張感を感じます。
俳優たちの演技が良く、特にグレヴィル・ウィンを演じたベネディクト・カンバーバッチのパフォーマンスは素晴らしかったです。ベネディクト・カンバーバッチはどちらかというと苦な俳優なんですが、イメージが変わりました。やっぱり人気があるのはそれなりに理由があるんですねえ。
文句をつけるとしたらクーリエ(courier)っていうタイトルですね。同じタイトルの映画多くない? あと目の保養のためにもソ連で一度や二度ハニートラップ的なものがあってもよかったかもしれませんね。常にシリアスなのでエンタメ度はやや低めかなぁ。
鑑賞前にアメリカとソ連の歴史的背景をざっくり知っておくといいかもしれません。特にキューバ危機のことを知らないと、本作が伝えようとしているハラハラドキドキはなかなかピンとこないかもしれません。
キューバ危機とは、冷戦下にあったアメリカとソ連の間で最も核戦争に近づいた事態のことで、ソ連がアメリカにほど近いキューバに核ミサイルなどの武器を配置したせいで、ソ連とアメリカがお互いを威嚇し合う危機的状況に陥った出来事を指します。
結局、ソ連が核兵器を撤去したことで一大事には至らずに済んだんですが、もう少しで第三次世界大戦はおろか、核戦争になって世界が滅びていたかもしれないほどギリギリの状態だったわけです。キューバ危機関連の映画ではケビン・コスナー主演の「13デイズ」が有名ですね。
そしてその裏では命懸けでそれを阻止しようとした二人の人物がいた、というのがこの映画のテーマでキューバ危機のことを知っている人でもこの二人のスパイについては知らない人も少なくないんじゃないでしょうか。僕は知りませんでした。
実際、どこまで二人のおかげで核戦争を避けられたかは図りようがないんですが、いずれにしても本当に世界平和のために自分の命を犠牲にする人間っているんだな、と感心してしまいました。
それにしてもイギリスの諜報機関MI6とアメリカのCIAはタチが悪いですよねえ。一般人のグレヴィル・ウィンを利用したんだから。いくら政府関係の仕事をしていないほうがソ連にスパイだと気づかれにくいからとはいえ、一般人にこんな危険な仕事を頼むのは倫理に欠けます。全ては世界平和のためと言ってしまえばそれまでだけど、どうせあいつらいざとなったら見捨てればいいって考えでしょ。
グレヴィル・ウィンもなんで引き受けたのか理解に苦しみますね。正義感からなのか、最初はなんか面白そうっていう気持ちだったのか。自分でビジネスをしていたのでお金目当てということでもなさそうだし、やっぱり口車に乗せられてしまったんですかね。
グレヴィル・ウィンはソ連人協力者を救い出すためにソ連に戻って最後のミッションに乗り出しますが、そこで逮捕されてしまいます。そしてそこからは極寒のソ連の刑務所暮らしが始まり、つらい拷問や尋問を耐え抜き、それでも口を割らない男気を見せるのでした。
あのくだりはどこまで本当なのでしょうか。映画の中でスパイ同士が強い絆に結ばれる描写って多いけど、命懸けで同じ目的の下、仕事をするとあんな鋼の意思と友情が芽生えるんですかね。自分の家族も犠牲にして仲間を救うなんてちょっと信じられないですね。僕なら速攻で全部あいつが悪いんですって言いますよ。
コメント