アクションはそこそこ格好いいけど、相変わらず中身がほとんどないマーベル映画。作っても作らなくてもよかった、つなぎの映画です。40点
ブラック・ウィドウのあらすじ
1995年、ナターシャは妹のエレーナ、母のメリーナ、父のアレクセイとアメリカのオハイオスフで幸せに暮らしていた。
ところがある日、アレクセイが家に帰ってくると夕食もろくに取らずに外出の支度を急がされる。ナターシャはどこに行くかも分からず車に乗せられた。
着いた場所はセスナ機が隠してある小さな飛行場のような場所で、すぐに追手がやってきた。追手と銃撃戦になりながらも家族はなんとかセスナ機で脱出した。
しばらくするとセスナ機はキューバに到着。そこにはソ連の軍人たちがなにやらアレクセイと話していた。やがてナターシャとエレーナだけ連行され、両親と離れ離れになってしまう。
そしてそのまま二人はレッドルームプログラムの一環として女スパイとして育てられるのであった。
ブラック・ウィドウのキャスト
- スカーレット・ヨハンソン
- フローレンス・ピュー
- デヴィッド・ハーバー
- レイチェル・ワイズ
- O・T・ファグベンル
- オルガ・キュリレンコ
ブラック・ウィドウの感想と評価
「ベルリン・シンドローム」、「さよなら、アドルフ」のケイト・ショートランド監督によるマーベルヒーロー映画。人気キャラナターシャ・ロマノフの生い立ちをざっくり描いた作品で、前半はいいものの後半かなり失速する映画です。
劇場公開が度々延期になったせいもあってか、正直賞味期限切れを感じました。これがもし「アベンジャーズ・エンドゲーム」の熱が冷めないうちに公開されていたら間違いなくもっと盛り上がっていたでしょう。しかしこうも延期に次ぐ延期になると、やはりどうしても興奮度が落ちますね。
前半は、ナターシャが妹のエレーナとどのようにアメリカから国外に連れて行かれ、有無を言わさず誘拐され、ロシアのスパイとして育てられるかをかなりざっくり描いていきます。
レッドルームプログラムが一つのテーマとなっているのだから本来ならスパイとして育てられる過程を描かないといけないはずですが、そこは完全にすっ飛ばしています。ほかの作品ですでに描かれているからというのもあるんでしょうが、今一度別の視点で描くべきでしたね。
ナターシャとエレーナがロシアに連れていかれたかと思ったら次の瞬間には「21年後」のテロップと共に二人ともすっかり大人になっていて、命を狙われている態で話が進みます。だからその間、二人に何があったかは分からず終いで、特にエレーナは新キャラなんだからもっと詳しくバックストーリーを見せる必要があったでしょう。
また、あれよあれよという間にブダペストに行こう、ということになり、ナターシャとエレーナがそこで再会するのも強引でした。そこで姉妹喧嘩が始まり、二人は喧嘩の最中にロシア語を一言話しただけで、なぜかぴたっと手を止めるのも意味不明です。さっきまで誰も信用しないと言って銃をぶっぱなしたり、ナイフを振り回していた二人が突然「いやあ、大きくなったねえ」などと言ってお互いをすっかり信用し、停戦するのはコントでした。
そんでもって今度はお父さんを救出しに行こうとか言って、雪山にある刑務所に押しかけていって脱獄作戦を遂行し、大暴れします。この時点でかなり話は滅茶苦茶ですが、いかんせんテンポとアクションは悪くないので、まあまあ楽しめました。
問題は母親と再会し、家族が久々に集結した辺りからですね。急に話の流れが失速し、休憩に入るかのような間延びした感じになります。そしてあれだけ強かったナターシャ、エレーナ、アレクセイ、メリーナがいとも簡単に軍隊に捕まってしまう、というベタなパターンに陥ります。
家族がところどころエセロシア語を交えながら喋ったり、ロシア訛りの英語を喋って謎のロシア人アピールが続くのも面倒ですね。それなのにロシア語を本当に話せるキャストはタスクマスター役の俳優だけだからね。本人は全然喋らないけど。毎度のことだけど、あんなことしてたらロシア人に怒られるよ。
後半からは脱出からの復讐というお決まりの展開になり、最後はレッドルームプログラムの黒幕であるドレイコフを倒す、というのが話の全てです。
ヴィランの一人であるタスクマスターの使い方が下手で、あまり活躍したとはいえなかったですね。相手の動きを真似することができる能力がそれほど発揮できておらず、真似したからどうした?っていう程度の真似でしかなかったです。ミミックキャラは漫画などでもよく登場するけど、もっとやっかいな相手にしないと意味がないですよね。
物語の唯一のサプライズはタスクマスターの正体でしょうか。まあそれもだからどうした?レベルのサプライズだけど、あれ意外はサプライズがなにもなかったからね。
一方、エレーナとアレクセイのキャラは良かったです。二人ともユーモアが利いていて、特にエレーナがナターシャのポーズをいじるシーンは笑えました。エレーナ役のフローレンス・ピューがムチムチしていて可愛いんですよね。典型的なセクシーで、やせ型のモデル体型のハリウッド女優じゃないところが逆に個性になっていて、新たなポジションを確立しつつありますね。
「ミッドサマー」、「ファイティング・ファミリー」、「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」などにも出ているけど、作品ごとにがらっと雰囲気を変えてくるのがいいし、エレーナ役でこれから出続けるようになったらヒーローのイメージが定着しちゃいそうなので、それだけが心配です。
本来ナターシャの単独ヒーロー映画になるはずが、フローレンス・ピューの存在感のせいでエレーナをマーベルユニバースに紹介する映画になっちゃっていました。まさに世代交代とはこのことで、スカーレット・ヨハンソンは完全に主役の座を奪われましたね。それはある意味スカーレット・ヨハンソンの人気も陰りを見せてきた、ということなのかもしれません。
コメント
おお!ブラック・ウィドウの最速レビューありがとうございます!僕はMCUの中だったら上位に入る面白さだと思ったのですが、やはり映画男さんにはイマイチでしたね。フローレンス・ピューの良さは共感しかないです。めちゃくちゃ可愛いですよね。
ドラマ「ロキ」のレビューも楽しみにしてます!低評価と予想…
普通の映画と比べるといまいちですが、ほかのマーベル作品と比べたらいいほうだったと思いますよ。エレーナ良かったですよね。ロキもシーズン終了したら感想書きますね。
以前のMCU作品も雑なの多かったけれど、最終的に「アベンジャーズ」につながるから許されていた感がありましたね。
個々の食材の質はイマイチだけど、鍋にしちゃえば無問題!みたいな。
成金、真面目バカ、アホガキ、脳筋、ドーピング緑と、個々のキャラ立ちも個性的だったから、ストーリーが雑でも「キャラ」で補完できた。
今作の妹ちゃんやネトフリでやってる他のを観ても、雑なストーリーを誤魔化せる程にキャラが成立していないから、ちゃんと「鍋」作れるのか不安です。
その通りですね。今のフェーズはキャラが薄いのが多いから、インパクトに欠けますね。
劇場で観ましたが、スカーレットヨハンソンは完全にフローレンスピューに喰われてましたね。
逆に言えば、それ程見せ場がある訳でないのにインパクトを残したんだから、フローレンスは大したものですね。
フローレンスはいい女優ですね。
映画に賞味期限なんてありますか?
ありますよ