全裸監督シーズン２はただのヤクザドラマ！感想とネタバレ

それなりに面白いけど、前作と比べるとどうしてもストーリー性やクオリティーの差を感じてしまう続編。無理やり話を引き延ばした感が半端ないです。55点

全裸監督シーズン２のあらすじ

AV業界で帝王の名を欲しいままにしてきた村西とおるはナンバーワンになるために次の一手を考えていた。TVのような制約もなく、宇宙からお茶の間にコンテンツを届けられる衛星放送という技術を知って強い可能性を感じた。

そのときから村西とおるは衛星方法にとりつかれていく。やがて無謀な投資に打って出たことで保守的な社長川田と衝突し、長年ともに歩んできた川田と別々の道に進むことにする。

一方、なかなか自分を新作に起用しようとしない黒木香も不満を募らせていた。最近の村西とおるは売れる作品を作ることばかりにこだわっていて芸術性をちっとも感じられなかった。

村西とおるの事業は順風満帆に進んでいるように見えたが、自転車操業だった。さらにそのタイミングで社員が資金を持ち逃げする事件が起こり窮地に立たされる。

全裸監督シーズン２のキャスト

• 山田孝之
• 満島真之介
• 玉山鉄二
• 柄本時生
• 伊藤沙莉
• 後藤剛範
• 森田望智
• 冨手麻妙
• 吉田鋼太郎

全裸監督シーズン２の感想と評価

「百円の恋」、「パッチギ! LOVE&PEACE」、「銃」などで知られる武正晴総監督による人気シリーズ第二弾。AV監督村西とおるの半生をつづった波乱万丈の物語です。

シーズン１がサクセスストーリーなら同シーズンは転落ストーリーになっているのが特徴で、いかにしてAV業界で帝国を築き上げてきた男が事業に失敗し、落ちこぼれていくのかを早いテンポと爽快なBGMに乗せて描いています。

普通に最後まで見れるドラマシリーズではあるものの、前シーズンに比べると明らかにフィクション度が増し、内容、完成度ともに劣る作品になっていました。

出だしからなにかが足りないなあ、なんか前回みたいな興奮や楽しさがないなあ、と感じました。その理由の一つは村西とおるにフォースしていない点にあると僕は思います。

一見、村西とおるの物語のようで同シーズンはサブキャラに時間を費やしすぎてますよね。一見AV業界の話のようでただのヤクザドラマになっているのも問題です。

ヤクザエピソードについてはお金を借りた、ということ以外はリアリティーがほとんどないです。同じキャバクラにやくざとチャイニーズマフィアとコロンビアンギャングがいるってどんな偶然だよ。それも日本なのにマシンガン持参でキャバクラ行かないだろって。ナルコスかよ。

あそこまでヤクザエピソードの話を広げているのは、ほかに村西とおるのネタがなかったと勘繰らずにはいられないです。

破天荒なネタといえば衛星放送事業に投資して失敗したくだりでしょうか。確かにあれは後先考えずに自分の信じた道に突き進む村西とおるの生きざまを見せるにはうってつけのエピソードだったけど、あれだけでワンシーズンはとても持たないです。だからサブキャラのストーリーをこれでもかというほど膨らませ、ヤクザドラマの要素を強めたんだろうなあ、と想像しました。

黒木香のキャラをあまり活かせていないのも残念なところです。彼女の時代が終わり、後釜として新人女優が頭角を現してくる世代交代を描くならもっと新人女優のほうにもスポットライトをあてないとダメですね。二人とも必然性のないヌードシーンがちょろっとあるだけでもったいない使われ方をしてたなぁ。

一方でAV業界をはじめとする時代の変化はよく描かれていました。顔射文化を作ったのが村西とおるだったとは知らなかったし、計画は破綻したものの、横浜ベイブリッジを封鎖させて駅弁で端から端まで歩かせる、とか狂ってますね。ジャニーズ事務所のタレントのゴシップをパロディーにして売るアイデアもさすがです。ああいうエピソードがもっと欲しかったですね。

俳優たちの演技は前作に引き続き素晴らしかったです。バイオレンスとベッドシーンのバランスもいいので娯楽作品としてはまあ見れるでしょう。洋楽BGMの使い方も相変わらずセンスがいいし、多数の著名人がカメオ出演しているなど遊び心もありました。そういう意味ではストーリーうんぬんよりもファンサービスとして作ったシーズンだったなあ、という印象を受けましたね。

最初からシリーズ展開を考えて製作しているドラマとヒットしてからシーズン２の製作を決めたドラマはやはり違いますね。本作は間違いなく後者だし、後者だとどうしてもつぎはぎ感がでるんですよね。シーズン１は面白かったなあ、と改めて思ってしまう作品でした。