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アウシュヴィッツ・レポートは本気度が足りない!感想とネタバレ

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なんだからよく分からない状況が続いて、これといった見せ場もなく、あっという間に終わっていく映画。数あるナチス映画の中でも酷い部類に入ります。33点

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アウシュヴィッ・レポートのあらすじ

アウシュヴィッツ強制収容所で捕虜になっていたアルフレートとヴォルターはある日、脱走を決行する。二人は何日も材木の中に隠れ、車で輸送されるのをひたすら待ったのだった。

しかしその間にも収容所では脱走者が出たと大騒ぎになっていた。そのせいで別の捕虜たちが次々と処刑されてしまう。

アウシュヴィッツではすでに多く人々がガス室に送られて殺されていた。また、次から次へと各地から新しい捕虜が送られてきた。彼らの運命はアルフレートとヴォルターにかかっていた。

アウシュヴィッ・レポートのキャスト

  • ノエル・ツツォル
  • ペテル・オンドレイチカ
  • ジョン・ハナー
  • ボイチェフ・メツフォルドフスキ

アウシュヴィッ・レポートの感想と評価

ペテル・ベブヤク監督による、アウシュヴィッから命がけで逃げ出した二人の男の行方を追った脱走劇。ドキドキハラハラするかと思いきや蓋を開けてみたら大したことがなく内容の薄い作品でした。

まず、「本年度アカデミー賞国際長編映画賞」などといって宣伝していますが、ノミネートされていないからね。スロバキア代表になったっていうだけで最終候補から落選してるんだから、それを売りにするんなよって話じゃないですか。ミスユニバース日本代表とか言って本大会出てませんみたいなことだからね。

おそらく多くの人がこの映画に「サウルの息子」や「シンドラーのリスト」的なものを期待するんじゃないでしょうか。しかしどちらの映画にも到底及ばないのが事実です。

人種差別映画とかと同じで、この手の映画って話がデリケートなだけに批判されづらいんですよね。それも逆にタチが悪いなあと思います。

まずストーリー性がなさすぎて、男たちが隠れる>逃げる>救出される>アウシュヴィッツの内情を報告する、というだけで、話が終わっていきます。その間に印象的な見せ場となる出来事がほとんどないです。

最大の問題点は、物語が始まった途端に脱走が始まっていて、いきなり話についていけなくなることですね。まだどんな登場人物がいて、それぞれがどんな状況に置かれているかも視聴者は分かっていない中で、いきなり「いいから隠れろ」みたいな感じで話が始まるので、ちょっと待てよってなります。

脱走劇ってその計画段階からスタートしないと当然脱走者に感情移入できないでしょ。例えば「プリズン・エスケープ脱出への10の鍵」ならそれこそ鍵を手づくりする過程を見ているから、いざ脱獄するときにドキドキするわけなんですよ。

それがこの映画のように物語が始まった途端に逃げられても、そもそもお前誰だよっていう話じゃないですか。

そこが物語の焦点じゃないっていうんだったらまだしも上映時間わずか1時間半の中で半分は逃亡の場面に時間を割いているんだから、見せ方を間違えましたね。前半は脱出計画と収容所の様子、後半は脱出決行とレポートの報告と処刑シーンにするべきでした。

ほとんどキャラクター構築をできていないせいか、不思議と恐怖もそれほど感じなかったです。もちろん収容所の世界は地獄そのものなんですが、恐怖や絶望は当然登場人物を通じて伝わってくるものだから、登場人物の描き方が甘いとこうなるんですよね。

終盤の赤十字職員に実情を報告するくだりも鬼気迫るものがないし、最後はテロップで何百万人がアウシュヴィッツに送られ、そのうちの何人が亡くなりました、といった簡単な説明で終わっているのもダメですね。赤十字職員が呑気に話を聞いている最中にも大勢の人々が処刑されていく様子をグロテスクな映像で描けよって。

大事な歴史を伝えるために作ったんでしょ、この映画? それなのに最後はちゃちゃっと文章を書いて悲惨な出来事を数字で伝えようとする意図が分からないんですよ。だったら小説でいいじゃん。もうこれを見たら半年ぐらい脳裏に焼き付いて離れないぐらいの状況を見せろっての。こんなんじゃソフトすぎてすぐ忘れるだろうよ。

そういう意味では編集、ストーリー構成、演出、なにより本気度の足りなさが台無しにした映画ともいえそうです。俳優たちの演技は悪くないのでもったいないですね。

コメント

  1. 草刈り機 より:

    本気度とかいう抽象的すぎる理由で批判してるの草

  2. 歴史を知ってから戦争映画を観よ より:

    実話を元にしている映画なので抽象的になってしまうのは仕方がないかなぁ、と。映画というエンターテインメント性を持たせるならドキドキ感は必要だと思うけど、この映画を見た個人的な感想は「真実を伝えるのには脚色はいらない。」これに限るのだと感じた。この淡々と進んでいくストーリーにした割には収容所の酷さも伝わってきましたし、脱走する囚人の「一夜明けてからじゃ、また何万という命がなくなるんだぞ」というセリフを言って、今にでも記憶が飛びそうなのにレポートをいち早く届けに行く描写には心が削ぎ落とされる思いでみてました。リアルに虐殺も淡々と行われていた、囚人たちも人間として扱われない冷酷な待遇。それに対して赤十字軍は囚人たちへ物資を送って少しでも力になれていると錯覚を起こされていた事により、耳に入る残虐行為は噂程度にしか信じていなかった現実。そこからこの短時間の映画の中で淡々と流れていくストーリーには意味があったんではないでしょうか? リポートを命がけで送り届けた若者は誰であれ、12万人を救った現実と、残虐が行われた現実は忘れてはならない。これを忘れてはまた同じ過ちを人間は繰り返すことになる。
    これがこの映画のテーマなんです。 誰が作戦を練って〜どうのこうの〜ドキドキを感じたいのなら、予算を最大限に使ったハッピーエンドの模擬戦争映画を観れば良いと思います。この映画は名も無き人種差別で囚われた罪もない囚人が命がけで戦争に立ち向かった映画だと私は評価します。