可もなく不可もない、いたって普通の映画。サプライズがないまま普通に話が進んでいき、思ったとおりの結末を迎える人間ドラマで、普通の演技しかできないベン・アフレックが妻子持ちの普通のサラリーマンを演じるという普通ずくしの一本。50点(100点満点)
カンパニー・メンのあらすじ
ボストンに本社を構える総合企業の販売部長として必死に働いてきたボビー(ベン・アフレック)は、ある日突然リストラを宣告される。すぐに再就職できると考えていたボビーだったが、現実は想像以上に厳しく解雇手当は底をつき、車も家も手放すことに。そんな中、工務店を営む義兄のもとで大工として働き始めた彼は、自身の生き方を見つめ直していく。
(シネマトゥデイより)
カンパニー・メンの感想
「8月の家族たち」のジョン・ウェルズ監督による面白くないけど、つまらなくもない。笑えないけど、いらいらすることもない作品です。日常を描くことに成功も失敗もしていない極めて珍しい映画ともいえます。
この映画をなんとか見られる映画にしているのはクリス・クーパーでもなければトミーリージョーンズでもなく、ケビン・コスナーだったと思います。
ケビン・コスナーといえば、一時期主役で数々の映画に出演したイケメン俳優ですが、それが脇役をこなせるようになったというのがなにより新鮮でした。
なんとか数人の職人を食わせていける口の悪い大工の親方という役柄もぴったりで飾り気がなく、男気溢れる彼だけが唯一登場人物の中で人間味を感じさせてくれる存在でした。
失業中の義理の弟を気遣って給料袋に200ドル多く入れたり、従業員たちを先に帰らせて自分だけ残って仕事を続けたり、普通にかっこよかったです。
それにつけてベンアフレック演じるボビーは大企業で働いていたとか、MBA持っているだとかを自慢にしているような安っぽい男で、高望みばかりして再就職先がなかなか見つからず結局は家まで手放してしまうというほどの負け犬っぷりでした。
現実の世界にも今はろくな仕事もしていないのにやれおれはいい大学を出たとか、やれ昔は大企業で働いていたなどの過去を自慢する輩がたくさんいます。
日本国内ならまだしも海外に出てもそういう自慢をする日本人が必ずいてブラジルにも「おれは早稲田大学を出てるんだぞ」とか「ソニーで働いたときにはかなりいい給料もらってたんだぞ」などと自慢するバカを知っています。
このように所属する、あるいは所属していた組織の価値=自分の価値という考えをもっている人たちこそがこの映画でいうところのカンパニー・メンなのではないかと思います。そう考えるとカンパニー・メンの真価や本性が問われるのは会社にいるときよりむしろ会社を出たときなのかもしれませんね。
コメント
>ブラジルにも「おれは早稲田大学を出てるんだぞ」とか「ソニーで働いたときにはかなりいい給料もらってたんだぞ」などと自慢するバカを知っています。
ブラジルで早稲田大学出を威張るのですね。面白いです。
日本もこれだけ景気が悪いと大学を出ただけでは食べていけない時代になりそうです。うちの子供たちはトミーリージョーンズの映画が好きなのでこれは期待しちゃうでしょうね。
メン・イン・ブラックが大好きだから。
mamarin42さん
コメントいつもありがとうございます。トミーリージョーンズの映画は外れが少ないのがいいですよね。
はじめまして。
今日「未来を生きる君たちへ」を見て泣いてきました。
他の方はどう感想を表現してるのかなと思って検索したらこちらに行きあたり、暴力が隣にある世界に生きている方による評は、他の映画好きとは違うと感じました。
そして、映画館でチラシをみて面白そうと思った「カンパニー・メン」にたどりついた次第です。
そうですか。
チラシにケビン・コスナ―の顔があって「久しぶりだな」と思ったのですが、一番よかったんですね。
作品は凡庸でも、俳優の生き様が見られるのは興味深い映画といえるかもしれません。
常々、人間は階段を降りるときに真価が現れる、と思っている、企業人のひとりですから。
かのケビン・コスナ―の今を見てみようと思います。
これからもこちらの映画評、ときどき参考にさせていただきます。
norinoriさん
コメントありがとうございます。ケビンコスナーがよかったというより、ほかの俳優がダメだったのかもしれません、とくにベンアフレックが。
先日見ました。無駄にキャスト使って普通の映画に仕上がってましたねwこれならもっと奥さんの内助とか押し出してもっとベタな家族の助け合い良いなあな仕上げにしても良かったのではと思います。
ベンアフレックはキムタクみたいですよね。どんなキャストでもベンアフレックとしかなれない。でも今回の主人公キャラにはそれなりにはまってると思いました。
が、まあ主役張れる俳優じゃないですよねえ。トムクルーズ系のハンサム俳優が不足してるとは思えないんだけどねえ。
エルレーンさん
コメントありがとうございます。本当に普通の映画でしたね。まあ、普通の映画を作るってのも案外難しいのかもしれません。
普通の映画ってなんですか?解雇手当は底をつき、車も家も手放すという経験したことありますか?映画を深読みができない、バカはたぶんあなたでは?
私はアメリカで生活をしています。
この映画は確かに普通の作品かもしれませんが、
明日は我が身という、他人ごとで済まされない、
とても身につまされる映画です。
アメリカではかなり話題に上がった作品でもあります。
確かに、ベンアフレックは普通かもしれませんが
他のキャストもみんなキャリアが長くて、トミリージョーンズでなければあの役は誰も出来ないだろうという、ドンぴしゃりだったと思います。
高学歴、高収入の方々が解雇になると
ハイレベルからぐっと収入もライフスタイルも変化させなきゃ、でも周りの環境がそれを許してくれないので精神的に追い詰められてしまって、離婚、家族がバラバラになったりと、もう悲惨な状態になるのです。
この映画はそういうディープなところまでまだ映していませんが
アメリカで企業勤め、解雇経験があったり、職探し難航している人たちや、親の仕事の影響で引越し、学校が変わったという経験を持つ人たちが見たら(って、みたくもないかもしれません。)
もういてもたってもいられない感情だと思います。
私はこの映画、もっと大勢の人たちに見てもらえたらいいなぁと思っています
Bellaさん
コメントありがとうございます。この映画がいまいちなのは、最後でなんだか全て丸く収まってしまうところです。あれでボビーが妻と別れて、家族がバラバラになるぐらいのほうが現実的でよかったと思いますね。つらくて見てられないぐらいの内容のほうが逆に映画の質が上がるとも言えるんじゃないでしょうか。