ホラー映画ながらゲーム要素と遊び心の詰まったアイデア作品。架空の状況を楽しむ暇つぶし映画です。58点
映画キューブのあらすじ
謎のキューブ型の部屋に送られた、クエンティン、ハロウェイ、レブン、レン、ワース、
カザンの6人の男女はそこから脱出しようと試みるが、部屋によっては罠がしかけられており、むやみに動くとセンサーが作動し、部屋にいる者を死に至らしめるのだった。
6人は自分たちがなぜこの部屋にいるのか理解できなかった。ある日、目が覚めるのと、部屋の中に閉じ込められていたのだ。なぜ自分たちが選ばれたのか。また、その目的とは一体なんなのか。
なにも分からないまま6人は身の危険を感じながらも部屋から部屋へと移動し、キューブの出口を探し続けていく。
映画キューブのキャスト
- モーリス・ディーン・ウィント
- ニッキー・グァダーニ
- ニコール・デ・ボア
- ウェイン・ロブソン
- デヴィッド・ヒューレット
- アンドリュー・ミラー
映画キューブの感想と評価
読者の目海さんのリクエストです。ありがとうございます。
ヴィンチェンゾ・ナタリ監督によるSFシチュエーションホラー。ある日、突然キューブの中に閉じ込められた若者たちがそこから命がけの脱出を図る生存劇です。
アイデアと脚本だけで勝負している低予算映画で、登場人物はたった7人、製作費もわずか35万ドルしかかかっていないそうです。
1997年公開の映画ながら、それほど古さを感じさせないし、2020年現在でも普通に見れる内容になっています。
それこそ公開当時は話の斬新さから衝撃を受けました。怖さはそれほどないんだけど、完全密室で立方体の小部屋が延々とつながっていて出口がない、というシチュエーションがゾクゾクしました。
小部屋のドアにも味があって、まるで金庫を開けるかのようにロックを回すと、プシューっという音が鳴って開くのが最高です。
部屋によっては針が飛び出してきたり、酸が撒かれたり、炎が放射されたり、といった多種多様な罠が用意されているのも面白いです。
なにより理由はどうあれとにかく生きて脱出する、という単純明快なプロットがこの映画の成功の鍵だったんじゃないでしょうか。
もし誰の仕業か、何の目的か、といったことにフォーカスしていたら結局はチープな結論にしか導かれないからね。
謎解きのヒントに素数や因数といった数学的要素が使われているところも好奇心を刺激します。登場人物の中に数学の天才が二人もいるっていうのはできすぎだけど、カザンを「レインマン」のようなキャラにしたのはオマージュなんですかね。
オマージュといえば最近の密室系シチュエーションホラーは本作の影響を受けているなあ、と思わせる作品が多々あります。
例えば、ネットフリックスのスペイン映画「ザ・プラットフォーム(原題El hoyo)」とももろそうですよね。
松本人志監督の「しんぼる」もホラーではないものの、かなり影響を受けているなあ、という気がしました。
ほかにもあるんだけど、ちょっと思い出せないです。もし似たような映画があったらコメント欄で教えてください。
そういえば当時はヴィンチェンゾ・ナタリ監督って天才とか、鬼才とか言われてたけど、残念ながら本作以降は鳴かず飛ばずでしたね。一発当てただけでももちろんすごいんですが、もっと期待してたんだけどなぁ。
今回再び見て気づいたこの映画のマイナス点は俳優たちがもれなくB級だということですね。
最初に見た当時、彼らの演技のレベルがなんで気にならなかったのか不思議でなりません。今見ると、まあひどいですね。
低予算だからしょうがないといえばそうだけれど、もうちょっとどうにかならなかったのかなぁ、というレベルでした。
特に一番よく喋る警察官のクエンティンの演技が最悪で、緊張感や世界観をぶち壊していますね。
二番目によく喋る医者のハロウェイもダメダメでした。精神科医なのになぜか一番精神的に不安定で、何かと大声で発狂する心境が理解できません。
ちなみにそれぞれのキャラクターの名前は世界各国の刑務所の名前から取っているんだそうです。
カザンはロシアのカザン刑務所、レンはフランスのレン女性刑務所、ハロウェイはイギリスのハロウェイ女性刑務所、クエンティンはアメリカのサンクエンティン州立刑務所といった感じになっています。どうせなら日本の刑務所のキャラがいてもよかったね。アバシリとかフチュウとかね。
コメント
エンタメに徹しているところが好感持てます。
仮に、今この映画が撮られたら、ゲイか黒人が主人公で、どうでもいい様な社会批判的メタファーとかどうでもいい様な聖書からの引用とかが含まれた、似非アート映画にされそうな気がします。
シンプルが一番ですよね。
赤青黄白の部屋の色とか意味がありそうで特に無いのが良かったです。名前の話は知りませんでしたが、作品の中で解説とかもしなくてそれも良かったw
確かに部屋の色は気になりましたよねぇ。
キューブ懐かしい
シンプルだけど独特の雰囲気があって印象に残ってます。
映画男さんはキューブ2やキューブゼロも観られましたか?
続編は監督が違うので、スルーしました。
この作品の面白いところは一つ一つのセルが独立して動いていて遠くを見渡すことができないので全体の構造がわからないこと。
なので登場人物たちは自分が見えている狭い部屋の中で勝手に絶望したり間違った判断を下したりするところが現実社会での所詮一個人のポストとか知識で生きている人間の皮肉を表現してるんだと思う。
まあ映画の見方は人それぞれだけど、これをただのエンタメだと思うのはちょっと読解力ないかな
『ミスト』とかもそんな感じの印象受けますね