下品さとバカさが売りの期待を裏切らないコメディ。アメリカ人の生のリアクションが笑えます。50点
続·ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画のあらすじ
カザフスタンのジャーナリスト、ボラットは前作の映画を世界に広め、国を笑いものにした罪で終身刑を受け、刑務所に入っていた。
ところが14年後、大統領の命令で釈放され、カザフスタンの文化相の猿のジョニーを貢物としてアメリカのトランプ大統領へと渡すミッションを課せられる。そうすることでトランプ大統領の敬意を勝ち取ってくるのがボラットの役目だった。
トランプ大統領が無理なら、彼の側近に近づけばいいということだった。女好きの副大統領マイク・ペンスは絶好のターゲットだった。
アメリカに着いたボラットは貨物として運ばれてきた箱の中からジョニーを取り出そうとすると、そこにはジョニーの死骸とボラットの娘トゥーターが中に入っていた。
ジョニーが死んでしまった今、ボラットは仕方なく、自分の娘を副大統領の貢物として持っていくことにする。
続·ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画のキャスト
- サシャ・バロン・コーエン
- マリア・バカローヴァ
- ダニー・ポペスク
続·ボラット栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画の感想と評価
ジェイソン・ウォリナー監督による「ボラット・栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」の続編にして、主人公のボラットが実際にトランプ大統領の側近に突撃していくモキュメンタリー。
[amazonjs asin=”B00IHWG01G” locale=”JP” title=”ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 (吹替版)”]
アメリカ社会をあざ笑う風刺+ブラックユーモア満載の企画で、かなり際どい、あるいは完全にアウトなネタで笑いを取ろうとする爆笑映画です。
サシャ・バロン・コーエン扮するボラットのキャラに対してどんな姿勢で鑑賞できるかがまず鍵となるでしょう。「ブルーノ」などを見て笑えたという人は見ても大丈夫でしょう。一方で差別ギャグとか、下ネタとかに引いてしまう人には向いていないです。
相変わらずきついユダヤ人差別発言のオンパレードで本作ではホロコーストまでギャグにしています。サシャ・バロン・コーエン自身がユダヤ人なので、まだ許されている部分もありますが、もしそうじゃなかったら殴られてもおかしくないし、実際ホロコーストの被害者の出演者には訴えられたそうですね。さすがにあのパートはやりすぎでしたね。
ちなみにロックダウン反対集会では、激怒した集会参加者に襲われたそうです。
This was not the easiest movie to make. #BoratSubsequentMoviefilm pic.twitter.com/oagfJoGjNt
— Sacha Baron Cohen (@SachaBaronCohen) October 27, 2020
ただ、やり過ぎかどうかで言ったらボラットのやることはほぼほぼ全てがやりすぎなわけで、そういった部分も含めて寛容的、あるいは生理的に見れるかどうかがポイントでしょう。
ちなみにボラットが今回突撃したのは次のようなところです。
- 女性医療センター
- 上流階級の舞踏会
- 共和党の集会
- 美容整形外科
- 黒人女性のベビーシッター
- 共和党女性クラブ集会
- ユダヤ教の会堂
- ロックダウン反対集会
- トランプ大統領の顧問弁護士ルドルフ・ジュリアーニ
中でも女性医療センターと上流階級の舞踏会のシーンは爆笑でしたね。どちらも下ネタですが、迷惑こそかけてもまだなんとか誰も傷つかないタイプの笑いだったと思います。
それに対してトランプ大統領の顧問弁護士であり、元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニへのアプローチはよく実現したなぁ、と感心しちゃいました。
それも女好きの相手のことをちゃんと理解したうえでボラットの娘をインタビューアーとして出向かせ、ホテルの部屋に誘い込んだのはしてやったりでしょうね。あれ、止めなかったら絶対最後までやってたでしょ、あのお爺ちゃん。ズボン脱ごうとしてたもんね。
トランプ本人もそうだし、彼の側近って女好きばかりで、スキがあり過ぎるのがアホですね。ハニートラップにあんなに弱い奴らが国を動かしてるんだから。
しかしもうトランプ自身、そういうダークなイメージが最初から根付いているからもう今さらスキャンダルでは立場が揺るがない領域にまで達しているような印象すら受けます。
ルドルフ・ジュリアーニがもし日本人で、あんな映像が出回ってしまったらそれこそ政治生命はお終いでしょう。なのにまるでノーダメージだもんね。普段からあんなことばかりしてるんかなぁ。絶対初めてじゃないだろ。
黒人女性のベビーシッターはただのいい人で、それ故に真面目な人特有の面白さがあります。彼女に限らず、素人出演者たちはボラットが滅茶苦茶なことを言ってもちっとも疑わず、ちょっと変わった外国人みたいな感覚で接するのがいいですね。あんなにバカなこと言われても吹いたりしないんだよね。
そしていい人も真面目な人もスケベな政治家もみんな含めてあざ笑い、アメリカを散々こけにするボラットの姿は、皮肉の分かるアメリカ人やアメリカ人がいじられているのを見るのが好きな人々にはなんとも痛快に映るんじゃないでしょうか。
ただ、正直、前回ほどの笑いや衝撃はなかったかなぁ。前回は腹抱えて笑ったもん。また、日本では本作はあまり見られてないみたいですね。まず、アマゾンのレビューの数が全然少ないし、前作から14年も経っているせいか、そもそもボラットを知らない人も多いんだろうなぁ。
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