パラドックスと矛盾とぶっ飛んだアイデア溢れるSF超大作。全体的には面白い作品だけど、後半特に話を複雑にしすぎちゃってるのは残念です。58点。
TENETテネットのあらすじ
主人公ことCIAエージェントの男はウクライナの首都キエフのオペラハウスの突入作戦に潜入していた。彼はスパイ仲間を助け出し、同時に未知の物体を回収する。そしてオペラハウスにしかけられた爆弾を拾い、なんとか観客たちの命を救った。
作戦を終えると、男はロシア人に捕まり、拷問を受けることになった。彼は仲間の命を救うために自ら毒の入った薬を飲み込み、死を選んだ。
男が目を覚ますと、ベッドの上にいた。スーツを着た男からあの毒薬は主人公が任務に適任かどうかを測るためのテストだったと言われた。
主人公に課せられた任務は世界を救うことだった。そのときから彼はテネットと呼ばれる謎の組織のメンバーにさせられた。男はある女性科学者のところへと送られる。
そして女性科学者に時間を逆行することのできる銃弾が何者かによって開発されていることを聞かされる。その銃弾を使って銃を撃つと、弾は銃の外に出るのではなくマガジンの中に入るのだった。
主人公は銃弾の出どころを探ろうと、インドに向かった。インドで武器商人のアジトに潜入した。すると、武器商人の妻プリアも同じくテネットのメンバーであることを知る。
プリアによると、逆行弾の出どころはロシアの武器ディーラー、アンドレイ・セイターだという。彼は未来と過去の仲介人で、なんらかの方法で未来と交信しているそうだった。
それを聞いた主人公はアンドレイ・セイターに接近するためにアンドレイ・セイターの妻キャットとコンタクトを取った。しかしそれが主人公の人生を大きく変えるとはそのとき彼は知り由もなかった。
TENETテネットのキャスト
- ジョン・デヴィッド・ワシントン
- ロバート・パティンソン
- エリザベス・デビッキ
- ケネス・ブラナー
- マイケル・ケイン
- クレマンス・ポエジー
TENETテネットの感想と評価
「ダークナイト」、「バットマンビギンズ」、「インセプション」、「インターステラー」、「インソムニア」、「プレステージ」、「メメント」、「ダンケルク」などでお馴染みのクリストファー・ノーラン監督によるスパイアクション。
時間の逆行をテーマに物理の要素をふんだんに取り入れた、新感覚のタイムトラベルもので迫力満点のアクションに対し、難解なストーリーが視聴者の集中力と娯楽要素を逆に奪ってしまっている感のある作品です。
「インセプション」や「インターステラー」が好きだという人は間違いなく大興奮するでしょう。世界各国で本作の興行成績が予想外に好調だったのは、そういったファンがストーリーを理解するために複数回鑑賞している、というのが要因の一つだと思います。
二回見ないと分からない、などと言われる映画がたまにありますが、これもその一つですね。ある意味、この手の映画は二倍の入場料と時間が必要なわけで、商売としてはかなり上手です。
その一方で消費者目線では二回見ないと分からない映画ってそもそも商品として欠陥ありなんじゃないのかなぁ、と僕は思います。
単純に面白いからもう一度見たくなるのならまだしも、理解できなくて胸に残ったもやもやを解消するために見るような映画は特にそうです。
SFって複雑にすればするほど実は製作側にとっては都合がいいんですよね。だって視聴者は自ずと深読みしてくれるし、話を理解することに価値を見出してくれるからです。
そんでもって理解度が高い人が低い人にマウントを取って優越感に浸れるし、鑑賞後さも賢そうに語るにはもってこいなんですよ。
「インセプション」や「インターステラー」が好きだっていう人ってだいたいそのタイプでしょ。
でも僕からしたらもっとシンプルに分かりやすく作ったらいいのにって思っちゃいますね。タイムトラベルものでいったら、やっぱり「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は偉大だなあ、というのがこの映画を見ても改めて思います。だって誰が見ても分かるほど、物語内のルールがシンプルなんだもん。
逆に本作の場合は、様々な複雑なルールとコンセプトが純粋に映画を楽しむのを邪魔しちゃってる感があるんですよね。
物語はかなり早いテンポでスタートします。いきなりウクライナのオペラハウスの突撃シーンで始まり、何が起こっているのかよく分からないまま、拷問シーン、そして昏睡状態から主人公が目を覚ました後のシーンに続きます。
テネットという謎の組織の名前が出て来てからもノンストップで主人公はインド、イギリス、ノルウェーなど世界を飛び回ります。
その早いテンポの中で、時間を逆行する物体の解説が入り、また、物体を逆行させる機械やそれを利用して世界を滅亡させようとする組織、そしてそれを阻止しようとする正義の集団テネットの活躍を描いているので、予備知識なく見たら当然分からなくなるんですよ。
最初に出てきた女性科学者が逆行するエントロピーの話をしているとき、なぜか早口で早々に説明を切り上げるのが笑えますね。主人公もCIAエージェントながら理解力がありすぎるし、逆行弾を使いこなせるようになるまでにほとんど時間がかからないのもかなりご都合主義です。
挙句の果てには「理解しようとしないで、感じるのよ」などと、科学者がまるでブルース・リーのアドバイスみたいなスピリチュアル論に走るからね。逆行した物体を操るには直観が大事なんだって。ずっと理詰めで来ていた人が急に神様の話し出すみたいなことだよね。
あと、人類滅亡を企む悪玉アンドレイ・サターの弟子たちは、回り回って自分たちの命も危険にさらされているのにアンドレイ・サターの言うことを聞いてるってちょっと間抜けじゃないですか。側近が全力で阻止しないと。
主人公がキャットことキャサリン嬢に恋しちゃってる感じも嫌ですね。世界を救う重大な任務を背負いながら途中から個人的な恋心で動いているような気配があって、結果的にキャサリンの存在が重要なのはいいとしても、それを知る以前から私情を挟んじゃってるのが素人スパイですね。
一方、分からない箇所は多々あったもののこれまでのタイムトラベル映画のように行きたい年月にタイムマシーンを使ってピンポイントで過去に飛んでいくのではなく、未来から時間を逆行させて過去にたどりつく、というコンセプトは面白いです。
そして同じ時間軸の中に順行する登場人物と逆行する登場人物を同時に見せたり、順行バージョンと逆行バージョンの話を前半と後半で描く、といったアイデアはぶっ飛んでますね。緊張感のあるBGMに乗せた逆行アクションシーンは見ごたえ十分だし、一度見る価値は十分にあるでしょう。
ただし、二度見る価値があるかどうかというと微妙なところですね。僕は二回見たけどね。なんのためって? マウント取るために決まってんじゃん。
コメント
解説読みましたが解説の最後、ニールは撃たれたあとに、車で主人公を救出、ではなく救出のあとに撃たれにいきます。ここ、結構大事なシーンなので解説修正してください。てか、アルゴリズムを主人公に渡して別れるシーン、全然解説されてないけど、あの部分だけはネタバレ禁止なんですか? なんか解説読んで最後ちゃんと理解されたのかなと疑ってしまいました。レビュー自体は同感です。必要以上に難しく作ってるのが映画への集中をさまたげてると思います。ほとんど監督自己満足作品ではないかと。私も2回見る必要全然ないと思うし、1回しか見てないし。どうせ何回見ても映画が語っていない部分は分からないし、逆に映画として見るべき部分は1回見れば十分に理解できるからです。ノーラン作品ということで期待して見にいったけどインターステラー同様、ちょっとがっかりした作品でした。
インセプションもインターステラーも好きなんですがこれはちょっと駄目でした
難解なら難解でいいんですが説明台詞がテンポを悪くして興味の持続が後半薄れました
やり過ぎた感じがありましたね。
サクっと調べてもらえば分かると思いますが、クリストファー・ノーランの佳作・良作って、殆どが弟のジョナサン・ノーランが原案や脚本やっているんですよ。
この監督のクソつまらん失敗作は、大概弟が抜けています。
何というか、この監督は「アイデア先行」で、その無茶ぶりをいつも弟がフォローしている感じ。
漫画家とかでも、絵はクソ美味いのに、ストーリー作れない作家っているじゃないですか、原作無いとダメな人。
クリストファー・ノーランという監督はそんな印象なんですよね。
なるほど、そういう背景があるんですね。
だからダークナイト三部作が面白いのか!弟のジョナサンさんのおかげで。
個人的には結構理解できたし面白かったですね。ただ言う通り時間の流れの理解がなかなか難しく初見の場合は早めに設定を理解しないとちんぷんかんぷんになる所は一般向けでは無いかと思いました。
逆に設定等を深読みする考察する人には楽しい作品です。映画最後に簡単なネタばらしがありましたが、それ以前に考察できている人は終盤のシーンでハッとするバズです。
まぁ、筆者が言いたいことはわかりますけど「分からん」で思考停止して
理解しないままは勿体無いなぁと思いますね。頭使うって割と楽しいですよ?
こういうマウント野郎に限って、ニールがマックスだったことすら気づいてなさそうで怖い。
「ニール=マックス」とか気付くんですが、「だから何だ?」って感じなんですよね。
肝心のメインストーリーがクソつまらないから。
むしろ、この下らんオチを持ってくる為に、あのボスとその女房との三角関係描写を延々やったのか?と怒りすら感じる。
実は恋愛ドラマだったっていうオチですね。
「恋愛ドラマ」という程に「人間」がきちんと描けているわけでもないし。
今日観てきました。正直いってよく理解できなかったのですが、まあ別にいいや、って感じです。
理解力が低いので、ニール=マックスも解説サイトを観るまで思いも寄らなかったのですが、知ったところで感慨がないっていうか。。
SF設定って、観る側の頭を使わせることで脚本の薄さを取り繕うことができてしまうんだなと分かったことが収穫でしたー。
(映画男さんと同じく、私もメメントやダンケルクの方がずっと好きです。シンプルでスタイリッシュだし)
ダンケルクの足元にも及ばなかったですね。
監督自身、時間を逆行してましたね。
彼は初期にこの作品をしたいだけの作ったのでしょうか?
そう言えば、逆行している私自身も、ずっと以前にこの作品を見た気がします。
とりあえず、次回作のインターセプターに期待します。
なるほど。
これは!ノーラン監督のターミネーター?!
終始ワクワクして、確かに全体的に面白かったです。
よくはわからなかったけど、、
ニールが登場するとほっとして、
自分にとって彼が主人公になっていきました。
ニールは主人公を守り、そして死ぬ(ように見えた)けれど、
別れ際のシーン、嘘でも、
I’ll be back みたいなことを言って欲しかったです。
この映画を見て、ターミネーターを連想する人も多いみたいですね。そういう意味では小ネタ的なセリフがあってもよかったかもしれませんね。
監督の事前情報なしでダークナイト、ダンケルクが気に入ったので、ノーラン作品が好きなのかも、と思ったりもしましたが、そうではなかったことに気づけました。インターステラーを見損ねたことを後悔してましたが、同じような路線だとすると本能的に避けたのかもしれません(笑)
>>頭使うって割と楽しいですよ?
>>こういうマウント野郎に限って
あははw ほんとねぇ。
こういうのは何度も見返したり、演出効果楽しむのをそっちのけで「突き詰めて知る」のではなく、設定やお話に埋め込まれた時限爆弾が発火して「気づきを促される」のが良作だと思います。
あ、あと解説のリンク集ありがとうございます。
一通り目を通しておこうと思います。
『なんのためって? マウント取られないようにするために決まってんじゃん』(w
こう思わされることが、難のある作品といえる証左といえるかと。
ダンケルクは名作でしたね。
あなたに必要なのはシンプルな作品では無くシンプルに映画を楽しもうとする姿勢じゃないの?人生難しそうですね。
この映画のレビュー記事じゃないがつまらない記事だった。
つまらないというより気持ちが悪いというべきかもしれない。
内容につっこみ所が多々あり、コメントで指摘待ちをしているかのような誘いを随所に意図的に作成しているように見える。
もしそうでないのであれば視点が低すぎるのではないか。
誰も映画の登場人物自体に役割が擬人化されている真意に気付いていない。
これは物語ではなく詩だと思う。
思っていたよりスピード感や映像がかっこよくて面白かったのですが、やっぱり難解でした。
映画男さんのネタバレ解説を読んで理解が深まった感じです。
映画館向きな映画なのに、映画館で1回見ただけじゃ理解できないですよねー。
マニアックすぎましたね
スピード感のある展開で面白いと思いますが、一回でお腹いっぱいです。