生きるか死ぬかの7日間の出来事をつづっているはずなのに、ちっとも恐怖を感じないテロ映画。これにつまらない実話ベースの物語は久々に見ました。29点
エンテベ空港の7日間のあらすじ
1976年、ドイツ人の男女とパレスチナ人の男二人がエアフランスの旅客機をハイジャックした。旅客機はフランスのパリ行きだったが、テロリストグループはルートを変更し、リビアで給油し、最終的にはウガンダのエンテベ空港に降り立った。
テロリストの目的はイスラエルで服役している53人のパレスチナ人の解放だった。そのために乗客に多くのイスラエル人がいる旅客機を狙ったのだった。
ウガンダは、独裁者のイディ・アミン大統領が国を統率していた。イディ・アミン大統領は反イスラエル派だったため、イスラエルには交渉の余地がなかった。
そこでイスラエルは密かに奇襲作戦を計画し、軍の救出チームを現地に送り込むことにする。
エンテベ空港の7日間のキャスト
- ダニエル・ブリュール
- ロザムンド・パイク
- エディ・マーサン
- リオル・アシュケナージ
- ドゥニ・メノーシェ
- ベン・シュネッツァー
エンテベ空港の7日間の感想と評価
「バス174」、「エリート・スクワッド」などの作品で知られるジョゼ・パジーリャ監督による、実際に起こったテロ事件を描いたハイジャック映画。
割とすぐに本題に入るため、序盤はそれなりに見れるものの、中盤以降のだらけぶりが酷く、それ以降緊張感のかけらもなくなっていく駄作です。
「バス174」では実際にあったカージャック事件をドキュメンタリーで描き、心臓バクバクの恐怖と緊張感を与えることに成功したジョゼ・パジーリャ監督ですが、本作は「バス174」と比べると、まるで気の抜けた内容になっていました。
タイトルの通り、エンテベ空港でテロリストが乗客を7日に渡って人質に取る様子とテロリストがハイジャックを計画する段階の過去の様子と共に映していきます。
それに加えてイスラエル政府がどのようにハイジャック事件を解決するのかを首相をはじめ軍の上層部や国防相がディスカッションするところを見せていくんですが、なぜか緊迫した空気がこれっぽっちも伝わってきません。
その理由の一つは、物語の大部分が捕虜目線ではなく、テロリスト目線で進んでいくからでしょう。
テロリストのドイツ人の男女が主人公の扱いだったし、彼らの大義名分を時間をかけて説明し、事件を正当化している気配すらありました。
ただし、正当化するには情報が少なかったし、ドイツ人二人のバックグラウンドも描き切れていないですよね。
ドイツ人役のダニエル・ブリュールとロザムンド・パイクの演技もひどかったしね。ロザムンド・パイクに関してはドイツ語は話せるみたいだけど、ドイツ人ですらないからね。ふざけすぎでしょ。
テロリスト目線の映画は大歓迎なんだけど、中途半端な描き方をしているせいで、テロ映画の醍醐味が失われた感があります。
それに対し、イスラエルとパレスチナの理不尽な争いに巻き込まれた、無実、無関係の人質たちの心境はほとんど無視されているのが残念です。
つまり一番の被害者である乗客たちの感情を掘り起こさずして、あくまでもイスラエル政府VSテロリストの駆け引きにフォーカスしているんですよね。
さらには全くストーリーとは関係のない抽象的なコンテンポラリーダンスのシーンがちょくちょく邪魔してきては、物語のリズムをぶち壊していきます。
冒頭だけならまだしも、中盤、そして終盤のクライマックスシーンにまでダンスを投入した意図がさっぱり分かりませんでした。あんなに的外れの演出も珍しいよ。
ハイジャック事件が動き出すのは、イスラエル軍がエンテベ空港に救出チームを送り込んで来るラスト15分なんですが、本来ならドキドキするはずの突撃シーンすらもダンスのせいで台無しになっていました。結局、最後まで見所がなかったなぁ。
これ、実録テロドラマの中では「15ミニッツ・ウォー」にも劣るほどで、確実にワースト5に入りますね。
実は僕の行きつけの歯医者がこの映画を面白いからぜひ見てよと勧めてきたんだけど、こんなつまらない映画を勧めてくる歯医者には今後一切行かないことにします。
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