アカデミー賞外国語映画部門ノミネート品。手作りのいかだで南米からポリネシアまで渡る人類学者トール・ヘイエルダールの無謀な挑戦をつづった冒険もの。56点(100点満点)
コン・ティキのあらすじ
南太平洋の諸島に住むポリネシア人の起源について南米のインカ文明とポリネシア文明との相似点が多いことから、ポリネシア人の祖先が南米から海を渡って渡来したアメリカ・インディアンである、という説があった。
ノルウェーの人類学者、トール・ヘイエルダールらはこの説を立証するため、インカを征服したスペイン人たちが描いた図面を元にして、バルサや松、竹、マングローブ、麻など、古代でも入手が容易な材料のみを用いて一隻のいかだ、コンティキ号を建造し、ポリネシアへと向かった。
コン・ティキの感想
「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」のヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリによる冒険ドラマ。
特に大げさな演出もなく、胡散臭いドラマもなく、わざとらしい感動のエンディングもない、気持ちよく見られる作品です。
トール・ヘイエルダールを含むコンティキ号のクルーが皆教養を感じさせ、冒険者っぽくないのがよかったです。
これがアメリカ映画ならバリバリのワイルド男たちをキャスティングしたところでしょう。さすが北欧の映画という感じがします。
航海中、クルーたちが考えの違いからケンカをしますが、そのケンカの仕方まで冷静で知性溢れます。
あれがラテン系だったら怒鳴り合い、罵り合い、果ては殺し合いにもなっているところでしょう。
あの悪条件で航海を成功させたのには、そういった冷静さとクルーのトール・ヘイエルダールに対する忠誠心が大きな要因だったのではないかと思えます。
しかし映画の中ではそうでも実際の航海中はどうだったのでしょうか。空腹に耐え、いつ嵐に呑まれるか分からないような状況では冷静に振舞うより、異常な行動に出るほうがむしろ普通のような気もします。
実は「KON TIKI」というドキュメンタリー映画も存在し、1951年にアカデミー賞ドキュメンタリー賞を受賞しているそうです。それを観れば実際の航海の様子もかなり分かりそうで、ぜひ観てみたい作品です。
この映画の一番の失敗というか不運は、「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」と同時期にリリースしてしまったことでしょう。
ジャンルもストーリーも違うのに、偶然かそれともパクられたのか、かぶっているシーンが結構あって驚かされます。
どちらの映画を先に見るかで印象もかなり違ってくるだろうけれど、なんかどこかで見たことあるな、という印象があってとても初めて観た映画とは思えない余韻が残りました。
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