ディック・ロングはなぜ死んだのか？はぶっ飛んでる！感想とネタバレ

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アメリカの片田舎を舞台に馬鹿な男たちが友人の死を隠すために事件をややこしくしていくブラックユーモア満載のストーリー。よくこんな話を映画にしたなぁ、という話です。67点

ディック・ロングはなぜ死んだのか？のあらすじ

ディック、ジーク、アールの三人はある晩、ジークの自宅のガレージでバンドの演奏をした後、酒を飲み、マリファナを吸い、朝まで遊び明かしていた。

ところが深夜になって状況は一転する。何か深刻なことがディックに起こり、ジークとアールは彼を車に乗せて病院まで連れて行った。

しかしあろうことか二人は責任を逃れるためにディックを病院の入り口のところに放置し、そのまま逃亡する。

翌日、ジークとアールはディックが死んだことを聞かされる。二人とも嘘をつくのが下手で、事件のことを隠そうとすればするほど、彼らは一層怪しく映った。

ジークの車のシートにはディックの大量の血がついていた。それを隠蔽するためにジークはあろうことか車を川に捨て、盗まれたことにしようとする。しかし警察の捜査の手はすぐにジークのところにやってくる。

「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シュナイナート監督による、ブラックコメディ刑事ドラマ。

男たちが羽目を外したことで友人を死なせてしまい、事件を隠蔽しようとしたことで後に引けなくなり、ドツボにはまっていく様子を描いたドタバタサスペンスです。

「スイス・アーミー・マン」もぶっ飛んでましたが、これも同じくらいぶっ飛んでます。日本だったらまず絶対に採用されないプロットになっていて、アホらしくもあり、気持ち悪くもあり、そしてなによりサプライズで溢れています。

物語のカギは、死亡したディックに一体何があったのか、という一点で、よくある犯人は最初から分かってるけど、犯行の動機や背景が分からないサスペンスものと似た構成になっています。

また、事件の背景を謎にしつつ、どうやって当事者たちが事件のことを周囲にばらさないように乗り切ることができるのか、というのをハラハラしながら見るのがもう一つの楽しみでしょう。

というのもジークとアールがアホすぎて、おそよ完全犯罪とはほど遠いやり方で証拠隠滅を図るからです。二人はやることなすこと全て空回りで、大した口裏合わせもできなければ、まともな思考で自分のたちの置かれている状況を考察することもできません。

車の席に血痕がつき、洗っても取れないと分かると、川に車ごと沈めて隠してしまおうという発想になるものの、車が沈むほど深い川じゃないことを川に突っ込んだ後に気づく、といった始末です。

そんな間抜けな二人のことを笑えるかどうかでこの映画を楽しめるかどうかが変わってきますね。

僕は結構笑っちゃいました。おそろしいほど馬鹿なんだけど、演技が上手いからやけにリアリティーがあるんですよね。

いい歳した男二人が後先考えずに行動する二人の姿はまるでティーネイジャーみたいで、ああいう奴らアメリカにいそうだもん。

対して警察官役を女性にしているのも斬新ですね。一人は杖をついたおばあちゃん、もう一人は太った若い女性って最高のコンビじゃないですか。

そんな凸凹コンビが事件を解決しようと、捜査を進めていくわけですが、犯人のほうが自ら証拠を次々と提供してくれるので、特に推理する必要がないっていうね。

さらに自分の夫が殺人事件に関与していることを知ったジークの嫁の反応も面白いし、ジーク、ジークの嫁、ディックの嫁を交えて警官に質問を受けるシーンはそれぞれの深層心理をよく表した名シーンに仕上がっていました。あの演技はすごいわ。

一方で大いに笑いにしてるけど、主役の二人は人を一人死なせてしまってるし、人命救助を放棄しているし、二人のせいで助かる命も助からなかったと考えられたら結構重い罪に問われそうなもんですけどね。まず笑いごとじゃすまないでしょ。

なぜかジークだけ罪に問われているのも謎だし、アールは最初から責任を追及される気配がないっていうのも辻褄が合わないですね。

これってやっぱりディックの死因が最大の見どころになるんでしょうか。嘘でしょっていう話なので人によって色んな反応を見せそうです。色んな人に見せて、リアクションを見て楽しむのもいいかもしれません。

ただ、日本人にはあのオチは引く人続出でしょうね。まず想像がつかないし、普通の趣味嗜好の人が思いつくことじゃないからです。

一方で下品なアメリカンジョークを聞きなれているアメリカ人のツボには、はまるのかなぁ、という感じです。どうやら実際に起きた事件をモチーフにしているらしいので、実際あんなバカなことをして死んだ人がいるのかもしれませんね。

もうここでネタバレしちゃいたいところですが、面白かったんでやめておきます。ただ、ひとつディック・ロングっていうタイトルにヒントがあることだけ教えておきますね。答えが知りたければ、ぜひ映画を見てみてください。オープニングにいきなりとんでもないヒントがあるのでくれぐれも注意してみてください。