追いかけたくて仕方ない殺し屋と、逃げたくて仕方ない青年たちによる、エンドレスチェイシングストーリー。薄っぺらくてやたら長いです。31点
狩りの時間のあらすじ
ウォンが暴落し、大不況に陥り、治安が悪化した韓国。人々は武装し、平和な情景はもうどこにもなかった。
刑務所から出所したジュンソクは南の島で店をやる夢を親友のチャンホとキフンに語った。
しかしその前にもう一仕事やろうとジュンソクは仲間たちに提案した。その仕事とは違法カジノの金を強奪するというものだった。
違法カジノなら襲っても警察に通報することはない。上手くいけば大金が手に入り、遊んで暮らせると考えたのだ。
ジュンソクたちは計画を実行するために知り合いの武器商人から銃を手に入れ、違法カジノの従業員サンスを脅して仲間に入れた。
サンスの協力もあり、金庫から大金を奪うことに成功したジュンソクたちだったが、当然違法カジノを経営するやくざ組織から命を狙われるはめになる。
やがてやくざはジュンソクたちを追跡するために殺し屋のハンを雇うことに。ターゲットを見つけるためならハンは手段を択ばなかった。
狩りの時間のキャスト
- イ・ジェフン
- アン・ジェホン
- チェ・ウシク
- パク・ジョンミン
- パク・ヘソ
狩りの時間の感想と評価
ネットフリックス製作、ユン・ソンヒョン監督による、韓国ディストピア映画。
夢も希望もなくなった韓国で3人の若者たちが一発逆転を狙って強盗を働いたことをきっかけに犯罪組織に命を狙われることになる、追いかけっこストーリー。
スタイリッシュさはあるものの、中身が空っぽで意外性がなく、秩序を失った社会を上手く描き切れているとはとてもいえないです。
ディストピア感を出すために映像は終始薄暗くしてあります。まず、空を曇り空にしたらディストピアっていう演出が安易ですよね。国がボロボロになっても天気とは関係ないじゃん。
わざとらしいほど人が道にいない設定になっていて、ほぼインフラ整備が機能していないんじゃないか、というほど町は廃墟と化しています。街中で銃を撃っても警察は来ません。
登場人物はほぼほぼ主人公の若者数人と、それを追いかけるやくざぐらいですね。
最大の失敗点はキャスティングでしょう。なぜか不良少年たちにジャニーズ系のような顔立ちの俳優たちを起用しています。三人ともとても犯罪組織から金を奪うほど、気合と根性の座った顔つきじゃないんですよ。とにかくチャラい、チャラい。
生きるために強盗するしかないみたいなギリギリの生活をしている貧しさも感じられないし、ギラギラ感も出ていません。
そんな若者たちはお金を強奪する計画はしっかり立てているのに、その後の逃亡計画がてんでいい加減で、まるで報復されることを想定に入れていないかのような行動を取ります。
強盗が成功すると余裕ぶちかまして、ビーチで花火とかしちゃってるからね。早く島へ行けよって。
また、自分たちでわざわざ極悪犯罪組織に挑んでおいて、その報復を恐れて逃げ惑う彼らの姿が滑稽で、誰でも予想できる当然の成り行きがやってきたのに何の準備も心構えもしていないのがバカですね。
命が危険にさらされてから感傷的に夢や友情や家族愛を語り出したりするからそりゃあ安っぽく聞こえるし、最初から最後まで自業自得の道を歩んでいるだけでしたね。あれじゃあ、視聴者は主人公目線に立てないよね。
殺し屋のハンのキャラは無口、無表情で静かに近づいてくる、という点においてはターミネーターそのものです。
しかしシュワルツェネッガーのように分かりやすい迫力があるわけじゃないし、映像が暗いせいか表情もよく見えないので鬼気迫るものが感じられません。
つまり主要キャラはチャラく、メインのヴィランはよく顔が見えない、という致命的なミスをしてるんですよ。
ハンが登場してからは本当にただ主人公たちが追いかけられては逃げる、追いかけられては逃げるの繰り返しで、ストーリーを引っ張るのがいけませんね。大したエピソードもないのに2時間14分もあるからね。そのうち1時間半は逃げるだけって。
ハンはハンでせっかく相手を追い詰めたのに、「面白いからもっと逃げろ」などと言ってみすみす逃がしたり、もうなにがしたいんだか。まさか追いかけるのが趣味なの?
結局のところは設定を銃社会にして、ただ銃をぶっぱなしたいだけだったのかなぁ。
ラストは仲間を失った主人公のジュンソクが島で孤独に生活をしている様子が描かれ、本作最大のギャグが待ち受けていました。
あろうことかジュンソクは島でトレーニングをして、仲間を殺したハンに復讐しに行くそうなのです。あれだけなんも準備をしてこなかった奴が、今さら準備しだすって。試験に落ちてから猛勉強し出す奴みたいじゃん。
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