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カセットテープ・ダイアリーズはベタだけどいい話!感想とネタバレ

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コテコテのハートフル移民ドラマだけど、優しく可愛いそこそこいい話。ただ、ミュージカルの部分は特にいらないです。59点

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カセットテープ・ダイアリーズのあらすじ

1987年、パキスタン系イギリス人のジャベドはイギリスの田舎町ルートンの実家で両親と二人の姉妹と共に暮らしていた。

ジェベドの親友マットは近所に住む白人の少年で幼馴染だった。ジャベドは文章を書くのが大好きで、よくマットに自分の詩やリリックを読ませていた。

16歳になったジャベドは新しい高校に通い始めた。そこにはアジア系の生徒は彼以外もう一人ぐらいしかいなかった。ループスだ。

ある日、ジャベドはループスと学校の廊下でぶつかったことがきっかけで仲良くなり、アメリカ人ミュージシャンのザ・ボスことブルース・スプリングスティーンのカセットテープを貸してもらう。

ブルース・スプリングスティーンの歌詞はジャベドにとって衝撃的だった。まるで彼に直接話しかけてくるかのようだった。たちまちジャベドはブルース・スプリングスティーンにのめり込み、ますます何かを書きたくなる衝動に駆られた。

ジャベドが学校で力を入れたのは作文の授業だった。クレイ先生はジャベドの文章をユニークだといって褒めてくれた。同じクラスには可愛い白人の女の子イライザがいて、たちまち彼は恋に落ちた。

順風満帆かのように思われた学生生活だったが、ある日ジャベドの父親が工場の職を失ったことで、家族は内職をしてなんとか生きていかなければならなくなった。厳しい父親はますます厳しくなり、ジャベドに当たるようになった。

不況のせいでどこを探しても仕事はなかった。そんなうっぷんを晴らすかのように度々差別主義者の白人たちがパキスタン移民に対して迫害めいたことをしてきた。

ジャベドはそんなルートンが嫌いだった。なんとかしてここから出て行こうと思ったが、彼にできることといえば詩や文章をエッセイを書くことぐらいしかなった。

カセットテープ・ダイアリーズのキャスト

  • ヴィヴェイク・カルラ
  • ヘイリー・アトウェル
  • ロブ・ブライドン
  • クルヴィンダー・ジル
  • ネル・ウィリアムズ
  • ディーン=チャールズ・チャップマン
  • アーロン・ファグラ

カセットテープ・ダイアリーズの感想と評価

グリンダ・チャーダ監督による、イギリスでパキスタン移民の家庭に生まれた少年を追った家族ドラマ。サルフラズ・マンズールの自伝の映像化です。

ブルース・スプリングスティーンの音楽に出会ったことでインスピレーションを受けた少年が厳しい父親の反対に遭いながらもライターとして生きていこうと奮闘する青春物語です。

一歩外に出るとパキスタン人ということで差別を受け、家に帰ると父親から束縛を受ける、という理不尽な毎日を送る中で、主人公が反抗したり、恋をしたりしながら成長を遂げていく様子を描いていきます。

人種差別、閉鎖的な親、アイデンティティの追求、他人種の異性との恋愛など、移民家族のドラマとしてはだいぶベタな題材を扱っています。

ストーリーの流れも主人公が新しい学校生活を始める>人と出会って刺激を受ける>夢を抱く>父親に反対され、喧嘩別れをする>夢も大事だけど家族も大事と気づく、といったように特にサプライズや変化球もなく、王道の感動家族ドラマに仕上がっていますね。

そういう意味では退屈と思えなくもないけど、イギリスに住むパキスタン人の心情を伝える映画がほとんどなかったことを考えると貴重ですね。

ちなみに監督のグリンダ・チャーダはインド系イギリス人で、一貫してインド系移民の映画を撮ってきてるんですね。今回は主人公がパキスタン人でしたが、こうやってマイノリティーの監督が自分たちのルーツのストーリーを伝えていくのはものすごく意義のあることでしょう。

差別エピソードはひどいですね。家に「パキは出て行け!」と落書きされたり、玄関に小便をしに来る子供までいたり、レストランで食事をしていたら席をどかされたり、目の前でヘイトデモをやられたり、など劇中では軽いタッチで描いていますが、実際はもっとひどいことを経験しているかもしれませんね。

主人公のパキスタン人家族は父親が絶対的な権力を持っていて母、息子、娘たちはそれに仕方なく従っているといった、いわばイメージ通りの描き方になっていました。

父親は自分が失職中のくせに威張り散らして、妻や娘を朝から晩まで働かせる、という典型的なダメ親父でしたね。息子のジャベドに対する期待も高く、とにかく西洋的な思想を持つことを禁止してました。親が一番息子の幸せの邪魔をしてくるっていうのがつらいですね。

イギリス人からは差別されるは、親からは束縛されるは散々なジャベドですが、そんな環境の中でも彼によくしてくれた人たちが少なからずいたというのが救いで、特にクラスメイトのイライザとの恋愛は可愛らしかったです。

イライザはデートしてもすぐに家に帰ろうとするジェベドに不満はなかったんですかね。男なのに門限早い奴とかつまらなくないですか?

一方でジャベドに影響を与えたブルース・スプリングスティーンの音楽の下りはちょっとしつこく感じました。あれだけゴリ押しされても決してブルース・スプリングスティーンを聞きたくならないのが不思議でした。

例えば別の映画「サンダーロード」の場合はもっとさらっと同じブルース・スプリングスティーンを紹介しているんだけど、そっちのほうが逆に知りたくなったんですよね。やっぱり紹介の仕方って大事だよね。

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