真夜中のゆりかごはクズしか出てこない！感想とネタバレ

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登場人物が、もれなくモラルに欠けていて、なにひとつリアリティーのない物語。赤ん坊に対する扱いがひどすぎて、イライラしてきます。23点

真夜中のゆりかごのあらすじ

刑事のアンドレアスはある日、相棒のシモンと麻薬中毒のカップル、トリスタンとサネのアパートを訪れた。すると、そこには汚物まみれの赤ん坊のソーフスがいた。二人が赤ん坊をまともに育ててないことは明らかだった。

アンドレアスは福祉施設に通報し、赤ん坊を二人から取り上げようとした。ところが赤ん坊のソーフスは汚れていただけで健康的だったため、この時点で両親から取り上げるのは難しかった。

アンドレアスが家に帰ると、妻のアナ、そして赤ん坊のアレクサンダーが彼を待っていた。アレクサンダーは二人にとって生きがいだった。その一方で夜泣きがひどく、子育ては大変だった。アナはストレスを抱え、情緒が不安定になりだしていた。

そんなある日、アンドレアスが夜中に目を覚ますと、アナがアレクサンダーの前で発狂していた。アレクサンダーは息をしていなかった。アナは動転し、救急車を呼ぶこともできなかった。

アレクサンダーとひと時も離れたくないといい、もし彼を連れて行くなら自殺すると言った。

アンドレアスはアナに薬を飲ませ、アレクサンダーの死体を病院に運ぼうとしたものの、途中で考えを変え、あろうことか麻薬中毒のカップルのアパートに向かった。そして自分の子供の死体を、彼らの赤ん坊と取り換えるのだった、

「未来を生きる君たちへ」のスサンネ・ビア監督による、デンマーク発のスリラー。

死んだ自分の赤ん坊の代わりに、他人の赤ん坊を誘拐してきてしまう、というありえないカップルの話で、赤ん坊に対する両親の行動がいちいちずれていて、現実感もなければ、辻褄も合わないストーリーです。

これまでも「そして父になる」や「もうひとりの息子」などいくつか話題になった赤ちゃんスイッチ映画はありますが、これはその中でもワーストの部類に入るでしょう。

特に赤ちゃんが入れ替わった理由が、病院の手違いじゃなくて誘拐なので、登場人物に対してなんの感情移入もできませんでした。赤ちゃんを死なせてしまってつらいよねぇ、そんなときはほかの赤ん坊と取り換えたくなるよねぇ、って誰が思うんだよ。

唯一の言い訳は、赤ちゃんを誘拐してきた先が麻薬中毒者のカップルということです。どうせあいつらに育てられてもろくな運命にならないから、俺たちが育てようみたいな感じで誘拐が正当化されていました。

基本、どっちのカップルもクズなので、クズ同士がなんかやらかしてるなぁ、という気持ちの悪い話になっていましたね。

主人公のアンドレアスは刑事です。にも関わらず、自分の息子が死んだときに一切法的な手続きを踏まずに、突如としてアウトローの道を突っ走り始めます。

自分の息子を病院に連れて行かないし、火葬もしないし、あろうことかほかの赤ちゃんと取り換えるために、他人の家に遺体を置いてきちゃうんだから、どんだけぶっ飛んでんだよって。

子供を愛しているがゆえにっていう人がする行動じゃないよね。息子の遺体に対しても何も思うことがないのかなぁ。どうせ死んでるからいいやって感じなのかな？

そもそも自分の子供の存在なんて唯一無二のはずなのに、ほかの赤ちゃんと取り換えれば済むっていう話じゃないじゃん。物語全体が子供を大人のおもちゃかなんかと捉えてていて、さもそれが普通かのような世界観にものすごい嫌悪感を覚えました。

そしてまたそれは子供を失った両親が判断力を失い、ついつい狂気に走る、というのとも違うんですよね。どう考えても最初から狂ってたじゃん。

アンドレアスとアナの二人は息子が生きていたときから行動がおかしかったですよね。

新生児の赤ちゃんが夜泣きをするからといって、夜中に眠い目をこすりながら赤ちゃんを車に乗せて、ドライブに連れて行くとかありえないでしょ。

妻のアナはアナで、夜中に起きた赤ちゃんをベビーカーに乗せて真っ暗な道を散歩しに行ったり、なんでいちいち日常的にあんなに危険なことをするのかが理解できませんでした。家の中であやせよ。

旦那は刑事っていう設定なのに家が豪邸だし、あれだけの家に住めるならベビーシッターいるだろ、普通。

なにより最も納得がいかなかったのは、ラストでアンドレアスが誘拐してきた赤ん坊を母親に返しに行く下りですね。

相棒のシモンは、「お前は大変なことがあったから情状酌量の余地があるし、実刑にはならないから」とか言ってたけど、絶対実刑になるだろ。デンマークって警察官が赤ん坊を誘拐しても刑務所行かないのかよ。すげえ国だな、おい。

アンドレアスから赤ん坊を返してもらった母親も「ありがとう」みたいな感じだったし、あいつら全員頭おかしいでしょ。