主演二人の演技がまあまあで、それほどストーリーに入っていけないギャングもの。これを見ても特に感情を揺さぶられることはないです。50点
SKIN・スキンのあらすじ
ブライオン・ワイドナーはスキンヘッド集団「ヴィンランダーズ」のボスの息子として白人優位主義の思想の下に育てられた。ブライオンは体はもちろん顔にまで人種差別的なタトゥーを入れていた。そしてギャングのメンバーたちと共に他人種や移民たちに対するヘイトクライムを積極的に行っていた。
ところがある日、彼はシングルマザーのジュリーと出会ったことで彼女の優しさに触れ、自分たちの活動に疑問を抱くようになる。
ジュリーには三人の娘がいた。一人で三人の子をひたむきに育てている彼女にブライオンは惹かれていった。しかしブライオンの両親はジュリーとの関係をよく思わなかった。
ブライオンがヴィンランダーズの活動から離れようとしているのを感じた両親は、ギャングたちを引き連れてブライオンを引き戻そうとする。
SKIN・スキンのキャスト
- ジェイミー・ベル
- ダニエル・マクドナルド
- ダニエル・ヘンシュオール
ビル・キャンプ
SKIN・スキンの感想と評価
ガイ・ナティーブ監督による、実在する元白人ギャングのリーダー格、ブライオン・ワイドナーの半生を描いたバイオグラフィー。
顔中にタトゥーを入れ、過激な差別主義者として生きてきた男が女に惚れたことで、普通の生活を取り戻そうと再起を図る人間ドラマです。
ちなみにこちらがブライオン・ワイドナー本人。
スキンヘッドのギャングをテーマにしている点や主人公が更生していく様子を描いているという点においては、「アメリカン・ヒストリーX」を連想させるものがありますね。
ただ、「アメリカン・ヒストリーX」と比べると、迫力とストーリー性に欠け、いまいちバイオレンスやドラマチックさにおいても見せ場が少なかったです。
主人公のブライオンは、両親が人種差別主義者にして、スキンヘッドギャングのボスだったことから、マイノリティーを差別するのが当然だという認識で生きてきた男ですが、そんな男が改心するのがやけに早いな、と思いましたね。
言ってみればジュリーと知り合って即改心ですからね。一体ジュリーのどういう部分を見て、自分も真面目に生きようと思ったんでしょうか。そんないうほど優しくもないし、素晴らしい母親でもないよね。
もっというと、ジュリーもブライオンに惚れる理由が全くないですよね。三人の子供を女手一つで育てているような苦労人が、わざわざ顔にタトゥーの入った人種差別主義者と付き合うかぁ。
子供たちを危険な目に遭わせておいて、その度に男を許してしまうお母さんってなんだよって話じゃないですか。子供が可哀想としか思えませんでしたね。
女性が見たら、悪い男が好きっていう人以外はなおさらジュリーには共感できないと思いますよ。
ブライオンがまたあんな風貌で、めちゃくちゃロマンチストなのも気持ち悪いですね。そうかと思ったら、両親には絶対に口答えできない気弱なところがあったり、あいつアウトローにしても超絶ダサいよね。
この映画の問題点は、この二人の恋愛ドラマを中心に話が進んでいく点でしょ。そのせいでスキンヘッド集団「ヴィンランダーズ」の実態や活動内容がほとんど分からず、最後はただブライオンを付け回すだけの集団になっていましたね。
また、ブライオンが堅気に戻るために手助けした団体One People’s Projectについての取り上げ方も薄いです。あんなに社会貢献している登場人物たちを押しのけて、優柔不断な男女が喧嘩したり、またくっついたりする様子に時間を費やしすぎです。
今さっき気づいたんですが、主演のジェイミー・ベルって「リトル・ダンサー」の子役の男の子なんですね。あのときのダンサー役は素晴らしかったけど、今回のギャング役はまあまあでしたね。悪党役は難しいですねぇ。
対する主人公の恋人役には「パティ・ケイク」のダニエル・マクドナルドが演じています。彼女もまあまあでした。
そしてこのまあまあな二人の演技によって、この映画が平凡なものになってしまった感は否めないです。
唯一のサプライズは、タトゥー除去のシーンでしょうか。あんなに顔中タトゥーを入れても結構綺麗に消せるんですね。もっとケロイドのように跡が残るのかと思ってたけど、このビフォアアフターすごくないですか?
ストーリーとはあまり関係ないタトゥー除去の技術の部分でびっくりしてしまう、そんな映画でした。
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